FOW閑話シリーズ
二人のアストレア

作者 ナニコロ

「俺は正義のヒーローになりたかった」

 値段は安いが味も悪い薄汚れた居酒屋で、ランドロフ・シューマッハはそう語る。

「だから俺は警察官になったんだ。熱い信念を力に、悪い奴らを逮捕してやろう……てね」

 ほろ酔い状態のランドロフは、薄笑いを浮かべてグラスを揺らす。

「ところがどうだ。いざなってみると、仕事なんて誰もしてねぇ。職場も上司も汚職に熱心さ。
 下っ端の同僚すら、万引き少女に親へ連絡しないことを条件に金を請求してやがった」

 ランドロフは早口に喋ると、グラスを一気に飲み干した。
 やや乱暴にグラスを机の上に置くと、溜息とも深呼吸とも取れる深い息を吐き出した。

「だから、俺は職場の連中、全員殴り飛ばしてやったさ。
 馬鹿なことはやめろ、ってな。
 そしたら……」

 親指を立てると、首に線を引くように横へ移動させる。

「クビさ」

 そのまま、カラカラと笑い出す。
 そして……深いふかい溜息を吐き出した。

 社会というルールが作り出したこの世界には、薄っぺらい偽善と悪意に満ちている。
 普通であろうとすることで他と区別されることを逃れる薄暗さと、妬みや嘲笑……果ては犯罪といった悪が往来している。
 勿論、かけなしに『良い人』というのものは存在する。
 だが、彼らは『善人』であれど、正義の味方ではありえない。

 そんな歪な世界で正義の味方が本当に存在したらば、人はどう思うか。

 決まっている。

 彼らは犯罪者と同じ……鼻つまみ者として扱われるだろう。

「俺は正義のヒーローになりたかった」

――――

「サトミ。サトミってばぁ!」

 鼻歌交じりで歩いていたサトミことサトミ・ゲンダは、呼び止められて足を止めた。
 そこには友人であるルーシア・ルージュが立っていた。
 早足だったのやだろう、やや息咳切っている。

「やほやほー、ルーシアじゃない。どったの?」
「まーったく、やっと振り向いた……。
 いやね、サトミ君があまりにうれしそーなんでね。どうしたのかな?」
「あやー……わかっちゃった?」

 指摘されたサトミの顔は……確かに妙に嬉しげである。
 ルーシアもそれを見ると、目をしいたけのようにして、微笑む。

「さーてーは……彼氏でもできたのかなー」
「まーさーかー」

 言われてサトミは苦笑しながら手をパタパタと振る。

「実はね。理想のアルバイトにつけたんだー」
「理想のアルバイト?」
「そう、理想の」

 虚を突かれてルーシアは、頭に?印を浮かべた。

「ナニソレ?」
「んんー……そうだね……」

 サトミは言葉を考えながら、空を見上げた。
 その顔はどこか寂しげで、瞳はどこか深遠に沈んでいた。
 だが、すぐさまルージュに顔を向けると、ニパっと笑う。

「アタシがなりたかった理想の職業! みたいな感じかな」
「理想の職業ねぇ……ちなみに、なんのアルバイト?」

 ルージュに言われて、サトミは今度は『ふっふっふ』と笑い出す。

「それはね」

 次の瞬間。

 サトミはダッシュで走り出していた。

「秘密だよーん」
「あぁ、ちょっとサトミ! 教えないなんて卑怯だぞー!」



 ランドロフ・シューマッハことランディは、清掃会社に勤める清掃員である。
 無精ひげを伸ばし、伸ばし放題の銀髪は後ろでまとめている。
 仕事に文句を言うことも無く、静かに仕事を続ける中年男性だ。
 彼は今日も市役所のロビーを、ただ黙々と清掃機で磨いていた。

 突如、周りがざわめき出す。
 明らかに場違いな未成年者数名が、市役所に訪れきたのだ。
 ひとりは頭をモヒカンにし、ひとりはジャラジャラと鎖のようなものを身体に巻きつけ……つまりまあ、そういう輩だ。
 犯罪者候補といっていいならず者達だが、レッテル状、『不良』に分類される。

 彼らは別に市役所に用事があったわけではなく、いわゆる、冷やかしを行いに来たのだ。

 多くの職員も市民も彼らと係わり合いたくないらしく、誰一人、注意も干渉も視線さえも合わせない。
 ランディもあえて視線を合わせず、寡黙に仕事を続けていた。
 ところが不良たちは目ざとくランディの存在に気づいたのだろう。
 わざわざ彼の目に映る位置まで移動し、今しがた清掃を終えた床に痰をぶちまける。

「清掃員さーん。ここ、汚れてまーす」

 不良たちは嘲笑を浮かべ、ランディの行動を生暖かい目で見守った。
 ランディはただ無言で、清掃機を痰が吐き出された床に向かって進路を向けた。

――――

「正義のヒーローっていうのはな。サンタクロースみたいなものさ」

 値段は安いが味も悪い薄汚れた居酒屋で、ランドロフ・シューマッハはそう語る。

「小さいころは教え込むのさ。
 サンタがクリスマスプレゼントをくれます。正義のヒーローが悪を倒します。
 夢を持って生きましょう。正しく行きましょう。
 ……てな。」

 新しく注がれた酒を一気飲みで飲み干すと、グラスを持ったまま腕を真横に伸ばす。
 ランドロフはニヤリと笑った。

「そして、ある日……」

 呟くと同時、ランドロフはグラスを半回転させた。

「手のひらを返したように裏切るのさ」

 グラスに残った氷が床へと落ちていった。

「夢なんて見るな、現実を見ろ。
 サンタなんているわけねぇ。
 正義なんて下らない。
 そして、最後に残ったのは……」

 ランドロフは床に転がった氷を踏み潰す。

「悪に満ちた社会だけさ……」

――――

 ルーシア・ルージュは、一生にあるかないかという大不幸に遭遇していた。

 ハイスクールの帰り、バーガー屋で毎日のようにアルバイトし、こつこつと貯めた貯金。
 今日の給料を銀行から下ろせば、とうとう念願のゲーム機『ペケペケ−BOX』が買える!
 といった矢先の出来事であった。

 自動振込機の順番待ちをしていると、銀行の入り口から、ショットガンをもった覆面の男たちが大量に乱入。
 あれよあれよという間に事態は進展し……気が付けばルーシアは、他の客と一緒に人質になっていた。
 彼らは銀行強盗団であった。

 警察がすでに銀行を取り囲んでいたが、人質がいる以上、強行突破が難しいと判断された。
 そして、今、無駄に時間だけが過ぎていく。
 その無駄な時間が、ルーシアたち人質を絶望へと追いやった。
 どんな些細なことで殺されるか分からない恐怖。
 ただ小さく丸まり、震えることさえ許されない状況下。
 一筋の希望があるのさえ分からない。

 そんな時である。

 銀行のトイレの扉から、誰かが勢いよく突入してきた。

 ひとりの少女だ。

 ひとりの少女が扉を蹴破り、躍り出てきたのだ!
 そして、足元の段差に足を取られ、一回転しながら床に顔面から激突する!

 場に、沈黙が流れた。
 白々しいまでに。

 だが、少女はめげることなく、立ち上がると、服の誇りを払い、軽く咳払いする。
 ビシィッと強盗たちを指差した。

「正義の味方! ただいま参上!
 さぁ、覚悟しなさい、犯罪者!」

 場に、沈黙が流れた。
 痛々しいまでに。

 少女は奇妙な格好をしていた。
 茶色いタイツのような服。黄色いジャケット。腰には黄色い帯を巻いている。
 サングラスをかけており、瞳の色は分からない。
 分からないのだが、ルーシアには人目でそれが誰だか分かった。

(サトミ――――!? なんで、こんなところに!?)

 犯罪者たちはというと、冷ややかに珍客の様子を見ていた。
 リーダー格の男は他のメンバーに首で合図をすると、仲間の一人がショットガンを構える。
 ショットガンの火は、ためらうことなく少女……サトミに向かって放たれた。

 と、ショットガンの弾、全て天井へと跳ね返った。

 場に、沈黙が流れた。
 驚愕に震えて。

「見たかぁ! これが正義のパワー!
 イリュージョンマスターの超必殺技の力を!」

 再び、ビシィッ! と指差すサトミ。
 強盗団の一人が間髪いれずにショットガンを撃つが同様の結果に終わる。

 ――と、一人の強盗団が突然、倒れた。
 何者かに背後から殴られたように気絶している。
 強盗団のメンバーは慌てて周囲を見渡すが、人質のほかに、誰もいない。
 だが、見渡す瞬間しゅんかんに次々と強盗団達は倒されていく。

 人質が味わった恐怖を、今度は強盗団たちが味わうこととなった。
 そして、最後、リーダー格の男になった時。

「答えを知りたい?」

 今まで、強盗団の目の前にいたサトミが突如、姿を消した。
 いや……リーダー格の真後ろに立っていたのだ。
 手にした棒で、そのままリーダー格の後頭部を痛打する。

「答えはフェイク」

 リーダー格の意識は混沌の闇に消える。

「ショットガンを跳ね返したのも、天井の弾痕もみーんな光学改良迷彩によるニセモノ画像なんだよん」


 警察が強制突入した時には強盗団は全員縄で縛られ、床には一枚のカードが落ちていたという。

 表には天秤をもった正義の女神……アストレアのイラストが描かれており、そして裏には一言が添えられていた。

『この者、銀行強盗』

 この事件に関して人質全員は、何故か硬く口を結んだという。
 ただ……ルーシアという少女だけがコメントを残した。

「正義のヒロインが現れた」

 警察は勿論、一笑するだけだった。

――――

「だがな、この世界を形作っているのも、結局、悪ってやつだ」

 値段は安いが味も悪い薄汚れた居酒屋で、ランドロフ・シューマッハはそう語る。

 ランドロフは、新しい酒を注文していた。
 彼の目の前に、バーボンが運ばれる。

「悪ってヤツは確かに醜悪だ。腐った政治屋どもの贈賄も、犯罪者の行いもな」

 ランドロフは空になったグラスに氷とバーボンを注ぎ込むと、軽くクルクルと回した。
 濃い茶色の液体が、彼の顔を歪めて映す。

「シチリア・マフィアのベェルレッタ・ファミリーを見ろ。
 ガイア・マフィアの『ANGEL』を見ろ。
 そして、ガイア共和国のゴードンが裏でして来たことを見ろ。
 奴らは、このバーボンよりもどす黒い悪だ。
 だがな……」

 ランドロフは手を止める。
 グラスの中のバーボンは、勢いを止まらせず、グラスの中で回り続けた。

「だが、奴らの行いはすでに社会のシステムの歯車のひとつにまでなっていやがる。
 奴らのどれか一つ潰すだけで、社会に大きな歪みが発生しちまう。
 そんなレベルでだ。
 奴らは決して止まらなねぇ」

 グラスの中の回転がゆっくりになるのを待って、ランドロフはバーボンを口元に寄せた。
 バーボン特有の鼻に抜ける甘い香りが、鼻腔をくすぐる。

「だがな。それでも存在するんだよ」

 匂いを堪能すると、ランドロフは一気にバーボンを飲み干した。

「どうしようもない下種な悪ってヤツがな」

――――

「……まったく、つまらねぇぜ! あのオヤジ!」

 人気の無い路地裏で、不良たちがたむろしていた。
 彼らは昼、市役所で清掃員をからかって楽しんでいたことを話していたのだ。
 清掃員は、どのような対応に対してもほとんど何の反応も示すことなく淡々としていた。
 最後の時など明らかなる妨害をし、暴行を加える勢いであった。
 だが、市役所の役員が電話したのだろう……警察が介入してきたのだ。
 不良たちは少年保護法により今回の件はなかったことになり、むしろ清掃員の態度が悪かったと、責任を清掃員に押し付けることで事態は収まった。

「それよりも、この前の方が面白かったよな」
「ああ、あれは面白かった」

 不良たちは、違う場所でも似たようなことをやっていた。
 先日は、たまたま目に付いたビルで、同じ行いをし、警備員が注意してきたのだ。
 その場で警備員を殴りつけると、裏路地にまで連れていき彼らは暴行を開始した。
 両手両足の骨を折って、逃げられないようにして、だ。

「あいつ、泣き叫んで『助けてください』って言うから、思わず言っちまったよ」

 一度、間を置き、雰囲気を盛り上げてから言葉を続けた。

「『バーカ』!」

 不良たちは爆笑した。

「そして、警備員を殺すまで痛めつけたわけだ。お前たちは」

 不良たちは思わず腰を浮かした。
 この場には自分たち以外に誰もいないはずなのに、明らかに違う誰かの声が割り込んできたのだ。
 慌てて、周囲に目を配る。
 だが誰もいない。
 いや……。

「あの警備員には奥さんがいてな。警察署に泣いて頼み込んでいたよ。
 あいつらを逮捕してくれ、死刑にしてくれってな」

 路地裏の角……もっとも深い闇の部分に、一筋のタバコの火が浮かび上がる。
 中年男性だ。
 銀髪を後ろでまとめ、黒いズボン、灰色のトレーナー、黒のマント……。

「なんだ……テメェは!」

 不良たちは殺気立つ。
 だが、中年男性は淡々とした様子で言葉を続けた。

「警察の答えはこうさ。
 彼らは未成年ですから、彼らの輝かしい未来を潰す逮捕ということは出来ません。
 とな」

 中年男性の言葉に、不良たちの殺気が一気に嘲笑へとすり代わる。
 警戒心はすぐさま解かれ、態度は見下した余裕のものへと変貌してた。

「そうだよ、俺たちゃ天下の未成年さ!」
「犯罪を犯したって国が守ってくれるんだよ!」

 中年男性は、彼らの言動に微動だにせず、ただその場に立っていた。

「捕まったとしても、
『まさか、こんなことになるなんて、知らなかった。反省しています』
 とか言って、言い逃れするつもりなんだろうな。お前らは」

 中年男性は両手を動かさず、タバコの煙を、ふー……っと吐き出す。
 不良たちの余裕の態度も、再び途切れ始めた。
 最初の問題、『この中年は何者か』というところに頭が戻り始めていた。

「あぁ……だからなんだってんだ? 何が言いたいんだよ、オッサンよぉ」
「おい、待てよ……そう言えば、こいつ……昼間の清掃員だぜ」

 不良の一人が中年男性のことに気づいた。
 男性は……いや、ランドロフ・シューマッハことランディは、それでも動かなかった。

「さてはてめぇ、昼間の仕返しに来たんだな」
「でも、恐くて、そこから動けねぇんだろ」

 不良たちは、爆笑した。
 ランディは相変わらず静かであった。

「あの程度じゃ俺は怒らないぜ。だが、あの後、一応調べたのさ。
 お前たちが何をしたのか」

 不良たちの頭に、?マークが浮かぶ。
 何を言っているのか、分からない。

「似たようなことで何人も病院送りにし、何人かは死んでいる。
 ただ、己の快楽を満たすためにな」

 淡々と言葉が続く。

「てめぇらは……どうしようもない悪だな。
 犯罪者カーマ・ギアの尻尾みたいなものだ。
 救いようがない、どうしようもない……本当の悪だ」

 タバコの煙を吐いた。

「だが、貴様らは少年保護法とかいう、下らない法律が守っている。
 この国では決して裁かれない。
 だから……」

 この時……初めてランディが口元を歪ました。
 『笑み』の形に。

「貴様らは裁かれる……アストレアにな」

 瞬間。

 不良たちを無数の矢が撃ち貫いた!

 絶叫と、悲鳴が周囲に木霊する。
 1本か2本……そんな単位ではない。
 一人に付き30〜50本……そんな単位で矢が刺さっているのだ。
 あるものは膝を貫通され、あるものは眼球を撃たれ、あるものは完全に矢が貫通せず貫いた状態で残っていた。

 暗闇で気づかなかったが、ランディの手には二対のボウガンが握られていたのだ。
 ランディはタバコの煙を吹いた。
 そして、再びボウガンを不良たちに向ける。

 この時、不良の一人が泣き叫びながら『助けてください』と言ったという。
 そして、ランディはこう答えたという。

『バーカ』


 翌日、警察が路地裏を訪れたとき、不良たちの惨殺死体が転がっていた。
 死体の側には一枚のカードが置かれていた。
 表には天秤をもった正義の女神……アストレアが描かれており、そして裏には一言が添えられていた。

『悪は死ね』

――――

「悪はあれど、この世界に正義はない。
 だが……正義であろうとするヤツは見かけたことがある」

 値段は安いが味も悪い薄汚れた居酒屋で、ランドロフ・シューマッハはそう語る。

 ランドロフはこの時、初めて表情を大きく変えた。
 ただそれは、嬉しそうな、笑いを堪えるような不思議な顔をしていた。

「ハイスクールガールなんだがよ。
『正義の味方がいないなら、アタシが正義の味方をする!』ってよ」

 ランドロフはその奇妙な表情のまま、バーボンを口に運んだ。

「なんでよ。思わず、言っちまったのさ。
 『お前アホか。アホだろう。さもなきゃ馬鹿だ』。
 そしたらよ」

 この時、ランドロフは大爆笑した。

「『アタシはアホで結構よ。
  同じアホなら踊らにゃ、損損っていうでしょ?
  アタシはみんなの笑顔を守りたいだけ』
 だとよ」

 一頻り笑ったあと、ランドロフは冷めた顔でグラスを覗いた。
 いつの間にか、空っぽだった。

「こんな狂った世界で、正義なんて吼えるのは、よほどの変態か……
 正義であろうとする強い信念の持ち主だけさ……」

 新しいバーボンのビンを開けると、グラスに注ぎ込む。

「だが……そういうヤツから潰れて行くもんさ。現実っていう壁によってな。
 何せ『夢と希望』を信じるよりも険しく……そしてあやふやな存在だからな。
 『正義』なんて代物は」

 十分に酔っていたのだろう、何気なく飲む気になれずグラスを手元で揺らしていた。

「あのハイスクールガールの『正義』が正しいのか、俺が考える『正義』が正しいのか。
 そんなもんは分からんさ。
 だが、人が『夢と希望』を信じるように、俺は俺の信じる『正義』を貫く。
 例えそれが……血塗られたものでもな」

 ランドロフはグラスのバーボンを一気に飲み干した。
 大きく息を吐くと、おぼつかない足取りで、ゆるりと席を立つ。
 そして……目の前にいる男性に向かって、静かに声をかける。

「お前だってそうだろ? ガープ・ダッシュウッド」

――――

 翌日、二人の人物にある命令書が届く。
 どのような内容であるかは定かではないが、その命令書には『暦』『ガイア』『涅槃』『格闘大会』……様々なキーワードが飛び交っていた。

「よっしゃーー! 頑張るぞ!」

「……いいだろう」

 二人の人物は、その時、別々の場所にいたが、彼らは同じ言葉を同時に放っていた。

 それはたった一言。

『正義のために』

 ただし……その言葉の意味合いは決して相容れることは無いだろう。


【二人のアストレア・ED】


 

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