雨の日の出会い

〜プロローグ〜

 夕暮れの空が遠吠えをする。どうやら、夕立がふるようだ。山の中で、エリスは旅の友人と共に雨宿りすることに決めた。
 エリスはやや背の低い十四ほどの少女で、優しい顔立ちをしている。
 岩場のかげに隠れ、焚き火をたくと、エリスはその場に座りこむ。旅服姿のエリスの背に、鉄の塊ともいえる友人は身をよせた。
 雨が木々の葉をちらして、大地にはねる。落ち葉は小さな船となり、小さな冒険船団は、ちいさな雨水の大河を流れていく。
 なんとなくそんな風景を眺めているエリスに、友人は話しかけてきた。
『雨の日になると、君との出会いを思い出す』
「そうだね」
 エリスは相槌する。背中に感じる冷たく、しかし暖かいぬくもりを楽しみながら、彼女は友人との出会いを思い出していた。

 友人との出会いの日……その日もまた、雨だった。


第一話へ進む
雨の日の出会いトップへ
小説の部屋へ