チキンの名を持つレスラー ストーリーデモ |
原案:ナニコロ
■2試合通過デモ ・チキン仮面の控え室にて。 突然、風が吹き荒れ、チキン仮面の後ろに出現する太った中国人男性。 右手にワイングラス、左手にワイン瓶を持っている。 太った男 「2回戦突破、おめでとうございます。 なかなかの凄腕ですねぇ」 チキン仮面 「おわあ!? ……と、私の部屋に無断で入る貴様は何者だ!?」 太った男 「おっとこれは失礼しました。 私はこの大会を主催させて頂いております 『白豚(パイトゥン)』と申します。 御見お知りおきを……チキン仮面さん」 チキン仮面 「あ、これはどうも失礼しました。 主催者様でいらっしゃいましたか。 私はWWF所属のレスラー、チキン仮面です」 太った男(白豚) 「はっはっは。まあ、用事というほどでもないのですがねぇ。 ……私の見立てに間違えがなければ、貴方は決勝戦に進出する逸材です。 そこでもし、決勝戦に進出なされたらば、 わざと負けていただきたいのです」 チキン仮面 「……この大会は、八百長の無い公正なものだと伺いましたが?」 白豚 「なぁに、無料(ただ)で負けてくれとは言いません。 もし負けてくださるというのであれば、 優勝賞金の1.5倍の額を支払いましょう。 ……お互いに悪い話ではないでしょう?」 チキン仮面 「……そうですね。分かりました。 私の役どころとは所詮、そういうものですから」 白豚 「はっはっは。話が早くて助かります。 では……残りの大会も有意義に過ごしてください……」 この後、白豚は風と共に姿を消す。 チキン仮面 「……きな臭い話だ……」 |
■準決勝:vs月影なのは (特にデモがない場合) なのは、胸の前で拳を握り、まぶたを閉じている。 目を開くと、腕をクロスさせ挨拶 「押忍! お願いします!」 周囲に羽根のようなものが舞い散る。 |
■決勝戦前挿入デモ 決勝戦会場に向かう途中、そこには黒服・サングラスの 大量の『監査官』がいる。 「決勝進出おめでとうございます」 監査官はそう言いながら、チキン仮面を取り囲む。 チキン仮面 「……これはどういうことでしょうか?」 監査官 「念には念を……という事でして…… 決勝戦であっさり負けるぐらいには痛めつけさせていただきます。 悪く思わないで下さい……ふふふ」 その後、大量の監査官との戦いに。 |
■決勝:vs炎虎 (特にデモがない場合) リングの端に座り、酒を飲んでいおり、 プレイヤーを見つけると、立ち上がる。 「……ふん……白豚め、余計な真似を…… ……だが、あいつ等程度も捌けないようでは……話にならんぞ……」 その後、気合と共にリングを踏みしめる。 画面が激しく振動。 「……さぁ……さぁ……さぁさぁさぁさぁさぁ! 戦え! 己の力を誇示しろ! この俺に、お前の翼を見せてみろ!」 |
■ラスボス前デモ 審判(特別ゲスト:シルバー山田)がチキン仮面の手を掴み 優勝を高々と宣言しようとした瞬間、 会場に突然の強風が吹き荒れ、チキン仮面の姿をかき消す。 場所はどこかの高層ビルの一室へ。 チキン仮面 「むう、ここはどこだ?」 部屋の壁は大きな窓になっており、100万ドルの夜景と言われた 香港の夜景が広がっている。 部屋全体は明かりがついておらず、薄暗い。 チキン仮面と相対するように、大会の主催者『白豚』が立っている。 白豚 「やれやれ……貴方にはしてやられましたよ。チキン仮面さん。 まさか炎虎に勝ってしまうとはねぇ…… 折角の賭け試合が台無しですよ」 チキン仮面 「ここからはオフレコだな…… 口約したにも関わらず、 裏で袋叩きにしようとするなんて、立派な契約違反だ。 そんなのは、人としてもレスラーとしても許せない。 特に……インチキ賭け試合は」 白豚 「まあ、貴方にとっては関係ない話なのですがねぇ。 私にとっては大きなことでして…… 今回の大会が成功すれば、やっと溜まるハズでしたよ。 イタリアマフィアやガイアマフィアとの全面戦争資金がね……」 チキン仮面 「本当に僕には関係ない話なんだけど…… それで袋叩きにされるなんて、流石に自分の生き様が悲しくなる……」 白豚 「それを貴方が全て台無しにしてくださいました…… まったくもって予想外の失敗です。 ……そう……貴方には、償ってもらいませんとねぇ……」 白豚を中心に風が突然吹き荒れる。 チキン仮面 「うぉ!?」 白豚 「『旋風の白豚』と呼ばれる私の道(タオ)の力、 存分に味わってください。 ……死を持ってね」 |
■ラスボス戦勝利 ビルが爆発し、天井が崩れ落ちてくる。 床が落ち、プレイヤー、白豚共々落下。 場面は白豚。 白豚はボロボロで、足を引きづりながら地下通路を歩いている。 「く……まさか、このような事が…… しかし、私はまだ……まだ終われませんよ。 いずれ、世界の裏社会の頂点はこの私になるのですから……」 「随分と、下らない野望ネ」 暗闇の中に一人の女が立っている。 シルエットでよく分からないが若く見える。 「龍ですか……」 「貴方は少しやりすぎたネ……報いるときが来たヨ」 「まったく……無能な老人をブチ殺して、 私が頂点に立って差し上げたというのに……いつの邪魔ばかりしますねぇ アモンも、貴女も……」 言いながら、指を真っ直ぐ伸ばす白豚。 「ここいらで消えていただきましょう!」 白豚デモ終了。 |
■各キャラED とある日本人のプロレスファンはこう言ったそうだ。 「アメリカのプロレスはショー。日本のプロレスはスポーツ」 それを示す通り、アメリカのプロレスはショーに徹している。 「……というわけで、俺がラリアットするから、情けなく負けてくれよ」 「うん、任せてよ」 アメリカのプロレスファンは、ショーだと知っていて来るのだ。 まるでコメディ映画のようなストーリーをリングの上でひろげ、 しかし、本気で殴り合い、本気で投げ技を受け止めるそれは そこらのショーには無い本物の迫力が存在するのだ。 今日もプロレスの会場には多くの観客が詰め寄せている。 リングの上では、アメリカ一のプロレス団体のオーナーが、 気に入らないレスラーをどうやって陥れて、 解雇させようか策謀を入れている。 と。 「そこまでだ! 如何に他の団体とはいえ、見逃せない!」 ニワトリの姿をしたレスラー、チキン仮面が登場する! 彼はインディーズ団体のプロレスラーでありながら、 数々の謀略をめぐらす大御所プロレス団体のオーナーが許せず、 ケンカを売っているのだ! だが、繰り出す数々の技を悪徳オーナーに弾かれる! 悪徳オーナーは強かった。 そして、無様に滑稽に逃げへつらうチキン仮面。 観客の間からドッと笑いが上がる。 チキン仮面は正義感こそ人一倍だが、実力はまったくない、 チキン(臆病者)レスラーなのだ。 悪徳オーナーがチキン仮面にトドメを刺そうとする瞬間、 マイクパフォーマンスが挿入、 会場のライトが一斉に選手入場口に向かれる。 そこにはヒーロー……スラッグ・ロウがいる! 湧き上がる観衆。 いつの間にかリングの上から消えたチキン仮面のことなど もう誰も覚えていない。 「ふぅ」 試合が終わり、控え室でチキン仮面はマスクを外しくつろいでいた。 疲れにまみれた年老いた男性の顔がそこにあった。 「お疲れ様」 そこにはリング上の悪徳オーナーが立っていた。 実際に彼は団体のオーナーであり、実生活は紳士な人間であった。 「これから皆で飲みに行く予定だが、君に来るかい?」 「いやいや……遠慮するよ。僕は医者に酒を控えるように言われていてねぇ」 「それは残念だ」 「ところでオーナー、聞いて欲しいんだ」 苦笑していたオーナーに、チキン仮面が話題を変えた。 年老いた彼に決意の光が見えた。 「僕はもう、プロレスをやるには高齢だ。もう引退することにするよ」 「そうか……残念だ。 君のような面白おかしい負け方が出来るレスラーは貴重なのだがな」 酷いことを言っている様だが、 オーナーは決して彼をけなしている訳ではない。 『ショー』である以上、 『変な負け方が出来る』『いつでもどこでも好きなだけゲロが吐ける』など そういったスキルは、重要なのだ。 決してスター選手にはなれないが、ある種スターよりも必要な人材である。 チキン仮面はそのことを重々承知していたし、それに徹していた。 「知っているさ」 チキン仮面は笑うように答える。 彼はインディーズプロレスで、 メジャーなプロレスのリングに立てることを夢見て、 50になっても身体を鍛え続けた。 念願適ってスカウトされた時、彼に与えられたのは 『無様に負けて、スター選手を輝かせる引き立て役』とチキンのマスク。 チキン仮面となった彼は、10年以上、ショーの中で負け続ける。 それで構わないと思っていたし、それこそが自分の役割だと認識していた。 「だけど」 チキン仮面は、口を開く。 「だけど、僕は見てしまったんだ」 「見た? 何を?」 「拳に翼を宿した少女を」 それは偶然見た試合だった。 三つ編みをした一人の小さい少女と、 体躯が異様にでかいプロレスラーとの試合だった。 誰が見ても、少女が負けるのは日を見るより明らかだった。 だが……。 結果は逆であった。 少女の勝利。 レスラーの得意技一発で、少女は沈みかけた。 だが、踏みとどまった少女が一発の拳を放つ。 瞬間。 レスラーの背中に翼が生えたと錯覚するほどの、 波動のような『何かが』突き抜け……レスラーは沈んだ。 一撃だった。 何よりもチキン仮面を驚かせたのは、 あのパンチを放った刹那、 確かに少女の拳に翼が生えていたのだ。 いや、これも『生えていたように見えた』ぐらいのものだが。 チキン仮面はこの時、理解した。 少女は、勝つためでも負けないためでもない。 『羽ばたくため』に戦っているのだ。 一方、自分は何だろう。 ニワトリの名を持ち、ニワトリの装いをしているのに、 決して、空を飛ぶこともしない。 いや……はなから飛ぶことを諦めている。 「その少女に夢を見てしまったんだ。 だから……もう止まれないんです」 「そうか」 いつの間にか壁に寄りかかり、オーナーは話を聞いていた。 「チキン仮面の最後は……せめて夢に準じたいんです」 「そうか」 呟くように言うとオーナーは壁から離れ、 チキン仮面に背を向けた。 2、3歩歩き、足を止める。 「ショーレスラーが総合の試合に出るのは、 私にしてみたら自殺行為だと思っている。 だから、勝て……とは言わないが……」 オーナーは顔だけ振り向くと、微笑んだ。 「負けるときは誇りたくいけよ」 「オーナー……ありがとうございます」 翌日、スポーツ新聞紙はビックニュースを報じた。 ガイア主催のかの異種格闘技大会に、プロレスのスター、 スラッグ・ロウが参加! それはアメリカのプロレスファンを大いに沸かせた。 そして。 三面記事の小さな一角に扱われた、チキン仮面の参戦に 誰しも振り向きはしなかった。 |
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