They meeted to 8 years ago

ここはブラジル某所のある場所。
二人の傭兵が板張りの床の上でトランプゲーム
をしていた。
「早く次だせよ、クラーク」
「………パス3……」
どうやら七並べをしている二人。
一人はバンダナを頭に巻いたさる傭兵隊の大佐、ラルフ。
トランプを出さない、いや、出せないほうを
カードが出るまで待ってる男である。
このトランプを出せない男は、同じ傭兵隊の中佐、
クラーク。
ただ、そのトランプを出せない原因は。
「……大佐が俺の出せるカードの前や後のカードを
避けてだしてるから…」
「なんのことやら〜」
クラークの設問をあっさり避けるラルフ。
「へへ、もうギブアップしたらどうだ?」
もはや口が裂けそうな感じで笑うラルフ。
「……く……ギ……」
クラークが言葉を言いかけた、が。

「……え?」
ラルフの一定のカードに、一瞬で小さいナイフが
刺さった。びっくりしてカードを落とすラルフ。
落としたカードには当然、クラークの欲しかった
カードが。
「……あ……あうっ………」
「ごめんなさい…でも、こうでもしないと、あなたは
ずっとそのまま七並べを続けそうだから…クラークに
カードをなるべく出させずに、ね」
部屋の前にいつのまにか勲章で髪を縛った少女が
立っている。当傭兵隊の教官の娘、レオナであった。
「……感謝するぞ、レオナ。大佐がカードをこんなに
隠し持ってて、しかも出さないのは嫌がらせだと
思うからな」
笑ってクラークは言う。何も言わずに頷くレオナ。
「お、お前ら二人で意見合わせんなーっ!!」
嫌な手段をかましていたラルフは二人から非難された
感があり、だだをこねてしまう。
「四十にして惑わず」とは言うが、これはこれで
いいのだろうか。
            ★
「クラブのクイーン…」
いつからかレオナも参加して、七並べのカードが
揃ってきた。あとは、ダイヤのジャックを含めた後、
スペードのエース、ハートのクイーンを含めた後。
だが。
「…パス」
「俺も」
「…」
なぜか皆カードが出ない。正確に言えば、出すカード
数枚がなぜかなくて出せない。のだが。
「おい、だれかカード止めてるんじゃねぇだろうな!?」
さっきの悪事の犯人、ラルフが叫ぶように問う。
ただ、二人は目線でジーッ、とラルフを見る。
「な、なんだよ!?俺をまた疑ってんのか!?違うぞ!」
そんな反論をラルフがしていると。
「スペード・エース、クローバー・キング・
ハート・クイーン。お前たちの探しものはこれか?」
いつのまにか、部屋の中に眼帯をした男がカードを
3枚、表向きに持って立っていた。
「教官!」
「部屋の外に落ちていたぞ。多分、風かなにかで
ドアの下の隙間から外にとんだのだろうな」
傭兵部隊を率いる眼帯の男、ハイデルンはそう推測する。
そしてラルフたちと同じように、床に直に座ると、
「しかし、七並べというのもよいものだな。では」
「そのカード3枚を使ってやるつもりですか?
ひょっとして」
「今から参加するならやむをえぬだろう」
「って、それだと一番先にカードが無くなるのは…」
「運命だと悟れ」
二人は嫌という様子である。
「おい、レオナ、お前からもなんか言ってくれよ」
ラルフは、娘のレオナが言ってくれれば納得して止めると
思い、彼女になんとか頼みこむ。
「…運命だと思って…」
が、効果はなかった。
「じゃ、クラーク…」
「なんで俺に振る」
どうやらラルフ(とクラーク)は、この時点でハイデルンが
あのカードの組を持って乱入されると勝つのが決まって
しまうので、入ってもらいたくないようだ。
「俺が抜けるからお前は後を頼む」
「俺はもう若くない」
錯乱してるのか、そんな意味不明の会話が続く。
「…フッ…」
そんな中、そのハイデルンの微かな笑い声らしきものが。
「きょ、教官?」
「…フフ、私の前でお前たち二人のそんな素振りを
見られるのは、ずいぶんと久しい気がしてな」
「ずいぶん?いつですか?それって?」

「…8年前だ。お前たちがここに来た年で、
レオナを連れてきた年だ」
「そう…あれから8年になるのね…」
「へへ。教官のアレにはびっくりしたぜ、最初」

昔話の花が咲く。
それは4人の運命の出会いの話。



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