カプエス
DJステーションシリーズ
『カプエスナイト』

作者 ナニコロ

 ラジオというものは、不思議な魅力がある。
 映像という華やかな着色が無いため、音声だけのラジ
オは一見すると非常に地味である。
 にも関わらず、ラジオは時として、テレビにも及ばな
いほどの娯楽と有意義な時間を提供してくれる。

 そして今日も、ラジオから音声が流れる……。

『カインと』
『グラントの』
『カプエスナイト』
 ラジオの中で、二人の男性は声を揃える。
『こんばんわ。セカンドサウスの支配を目論むカイン・
R・ハインランです』
『こんばんわ。カインの優秀な右手、グラントだ』
『…………』
『…………』
 時間にして『かなり』の沈黙。
 そして、カインと名乗る男が呟く。
『楽しいな……』
『ああ……』
『では、さっそくリスナーからのハガキを読むことにと
しよう』
『うむ』
『……む』
 カインの低くうめく声が聞こえた。
 明らかに不快な響を帯びている。
『どうした』
なんて汚い字だ。見るに耐えない
確かに。読むに値しないな
捨てよう
 なぜか、紙が燃える音がラジオから聞こえた。
『では次のハガキ。……む』
 再び、低くうめく声がした。
 今度は、家畜の豚を見るような明らかに見下した響が
こもっている。
『どうした』
これも酷い。誤字脱字だらけだ。
 ちゃんと勉強しているのか?

確かに。読むに値しないな
捨てよう
 では次のハガキ。……む』
『どうした』
ペンネームに品が無い
確かに。以下同文
捨てよう
 おっと……そろそろ終了の時間のようだ』
『うむ。時間の経つのは早い』
 いえ、その前に……ハガキ一枚も読んでないみたい
なんだけど……。
『次回もこの時間で、『カプエスナイト』を……』
 ラジオは批難を聞いてくれません。
聞け(命令系)
 そして……なぜかラジオから殺気が漂うのだった。


 今日もラジオは音声を流す。
 情報を流し、曲を流し……CMを流す。
『あの人気ラジオドラマがついにCD化!
 バビっと参上、バビっと解決!
 人呼んで、流離いのヒロイン!
 怪傑バビット
『お兄ちゃん……その人は……その人は私たちの!』
『何……! 「私たちの」!?』
はおーしょ^−^こーけん! ッチ
龍虎!?(やられボイス)
『ああ……! お兄ちゃんが!
 誰がこんな酷いことをッチ!』
い……いや……お前だろ……
ひえんほ−▽−おーきゃく
武力!?(やられボイス)
『ああ……! お兄ちゃんが!
 誰がこんな酷いことをッチ!』
……いや……だから……お前だろ……(ガク)
『おにいちゃーーーん! ッチ
『地獄を見たあの日から、私の奏でるメロディ。
 復讐のメロディ、地獄節。
 憎き仇を探して、怪傑バビットは今日も戦う!
 人気ラジオドラマ『怪傑バビット』近日発売!』
バビッと、やっつけちゃうぞ!


オチが無いまま終わる。

ひたすらやるせない気持ちで2へ
図書館に戻る