FOW閑話シリーズ

作者 エルさん

 頭痛がする。
 頭痛がする。頭痛がする。
 頭痛がする。頭痛がする。頭痛がする。
 頭痛がする。頭痛がする。頭痛がする。頭痛がする。
 頭痛がする。頭痛がする。頭痛がする。頭痛がする。頭痛がする。

 ベッドの上で悶えて起きる。
 綺麗に整えたはずのシーツがグシャグシャだ。
 しかも、汗でぐっしょり濡れている。
 不快、この上なし。

 悪夢を見たような気がする。
 何かに追いかけられる夢だったような気がする。
 最近は、そんな夢ばかりだ。

 頭痛がする…。

 額に手を当てながら、枕元の時計に目をやる。
 時計は良い。
 狂いなく、一定感覚に、針を動かし、正確に時を刻む。

 午前5時3分……。

 3分も寝過ごしてしまった。
 無駄な時間を費やしてしまった。

 頭痛がする。

 シャワーを浴びよう…。
 不潔なのは耐えられない。

 朝食は取ろう。
 始まりの食事は重要。
 頭痛薬は、いらない。
 どうせ、治らない。

 今日はいつもに増して、頭痛が酷い。
 きっと、任務のせいだ。

 "九月"様の研究棟の立ち入り検査……。

 あの少女は苦手だ。
 わけがわからない。
 しかも、頭の回転が速いから性質が悪い。

 頭痛がする。

 ああ、目眩もする。
 吐き気もする。
 わかってる。
 どうせ、治らない。

 仕事。
 仕事を…!
 頭痛、頭痛、頭痛…。
 消去、消去、消去……。






「"九月"様。本日は立入検査です。ご協力ください」
「ああ、そうでしたね」
「ところで、リヴィーナさん」
「はい?」
「"九月"様というのは堅苦しいですね」
「はぁ…?」
「ここは一つ提案なのですが、まきりんと呼んでくれませんか?」
「はあっ?」

 まきりん?

「長月真紀。略して、まきりんです」

 略してないと思うのだが…。
 特に、「まき」の後についている「りん」とは…、「りん」とは…。

「つまり、親交を深めるスキンシップですよ。
私もリヴィと呼ばせてもらいます」

 それは、私に死ねと言っているのですか?

 今日は一段と、頭痛が激しい…。
 吐く…。

「と、とにかく、検査を始めさせていただきます。
よろしいですね、"九月"様?」
「……今日は良い天気ですね、リヴィ」
「"九月"様?」
「……今日は良い天気ですね、リヴィ」
「あの…?」
「……今日は良い天気ですね、リヴィ」
「……」
「……今日は良い天気ですね、リヴィ」
「……」
「……今日は良い天気ですね、リヴィ」
「……」
「……今日は良い天気ですね、リヴィ」
「……」
「……今日は良い天気ですね、リヴィ」
「……」
「……今日は良い天気ですね、リヴィ」
「……」
「……今日は良い天気ですね、リヴィ」
「……」
「……今日は良い天気ですね、リヴィ」
「……」
「い、良い天気ですね…九が…」
「……」
「九月…九月…九月九月九月九月九月九月…」
「……」
「……」
「イイテンキデスネ、まきりん……サマ…」
「まぁ、良いでしょう。次は敬称無しでお願いしますよ」

 う、うぬれ〜…。
 頭痛が酷くなるわ。

「さあ、それでは、さっさと始めて、さっさと終わらせましょう」

 それはこっちのセリフなんですが……?

 ……研究棟の周りで、『ひまわり人間』が見えた。
 一気に頭痛のレベルがヤバくなった。

「それともう一つ」

 厄日だ。
 今日は厄日過ぎる。
 脳が疲れる。

「今日の昼食は一緒に牛丼でも食べましょう。
コミュニケーション&レクリエーション」

 ず、頭痛が…。


 

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