FOW閑話シリーズ
続 朝
作者 エルさん
| 「レイファーガ、エヴィルファーガ……ふむ」 長月真紀がいかに私の理解を超えていようと、 この両機が恐るべき力を持っているは見ただけでもわかる。 特に、レイファーガは、この"九月"が、全てを注ぎ込んで作ったらしいことを 延々と一時間近く聞かされた。 しかも、まだ未完成らしい。 恐ろしい天才だ。 だが、話が長い。 おかげで、頭痛が酷くなった。 そして、エヴィルファーガ…。 この魔力の波動は…。 「……"二月"様ですね」 「ほぅ、さすがに、そちらの知識はお手の物のようですね」 私の言葉を肯定して、大きく頷く"九月"。 "二月"アルシャンク様の魔力波動を私が間違えるはずもない。 しかし、あのアルシャンク様が、"九月"の『おもちゃ』に手を貸すとは…。 頭痛がする。 「そして、これが、ファーガシリーズ第三段『サン・ファーガ』」 そう言って、先程から、周りをうろついている『ひまわり人間』を指す"九月"。 頭痛がする。 これも、ファーガシリーズだったのか…。 数だけは多いようだが…。 「役に立つのですか?」 「雑用とかいろいろと役に立ちます」 「……あまり、強くはないということですか」 頭痛がする。 ようは、長月真紀の趣味か。 そう思った私に、"九月"は、言った。 「水と炎とどちらが強いと思いますか?」 「は…ぁ…?」 何を言い出すのか、この少女は。 水も炎も原初の力の一つ。 どちらが勝ると言うことはない。 同等の力だ。 「水と炎は同等ですが?」 「それと同じですよ。ファーガシリーズもね」 「……」 「『象が蟻を倒すこと』と『蟻が象を倒すこと』に違いなどないのですよ」 この少女は……。 「『レイファーがにサンファーガが勝つはずがない』とか、 『サンファーガより、レイファーガが優れている』とか、 それは可能性を限定することにしか過ぎません」 アルシャンク様がなぜ、この少女の『おもちゃ』に手を貸したのがわかった。 |