KOFXX−EX2
神宝チームストーリー

作者 蓮華


【神宝チームストーリー】

「……で、これを送ってきたのは高原さんなんだな」

「はい」

ある高校の図書館で、抑揚のない声がした。人気がないところに青年が居た。ブレザーを着ている。
青年は一人だけしかいなかったし、話すための携帯電話だって持っていなかったのに会話をしていた。
これ……KOFの招待状を見て、土方洋介は声に話しかけた。

「暇つぶしって訳じゃあるまい」

「当然です」

適当に持ってきた小説を読みながら洋介は話をしている。よく見るとそれは、洋介の左耳に着いている
イヤーカフスから聞こえてきた。朝の新聞とともに入っていた四枚のKOFの招待状を洋介は机の上に並べていた。

「開催の理由は?」

「九龍一族を誘き出すためだそうです」

淡々と別の時間帯で別の国で生きている茶色い髪を三つ編みにした無表情に見える少女は応対した。

「……略奪で奪ったのか?」

「はい。隊長会議の時に」

略奪、と聞いて少女が頷いた。洋介は別に咎めることはなかった。

「……懐かしいな……」

「懐かしんでどうするんですか?「ホーリーナイツ」漆番隊隊長」

皮肉と言うべきか、嫌みというか、どちらにしろ、つっこみの言葉だった。政府武力組織「ホーリーナイツ」
暗躍するものやテロリストと闘うために作られた武力組織、洋介はその漆番隊隊長をしていた。
見た目には高校生にしか見えないのだが、歴戦の修羅場をくぐってきたような人間の眼をしている。
隊長会議というのは別名円卓会議とも呼ばれていて、でかい丸テーブルに「ホーリーナイツ」の隊長達が集まり
会議をするのだ。洋介は隊長だったのだがここしばらく出ていない。出ているのは副隊長だった。

「三種の神器と十種神宝の<力>を狙っているとか言われている……」

「情報を集めてみましたが、それぐらいですね」

「なるほど……KOFという網をしかけたのか……」

「そして、網を巻き取るために……」

「だが、何でウチなんだ?他にも番隊はあるだろう?」

漆番隊隊長をやっている洋介ですらホーリーナイツは何番隊が居るのか解らないのだ。

「伝言を承っています。貴方の実力が見たい。再戦をしたいと」

「……………誰からだ?」

洋介が聞いたときに、洋介の居るところに人の気配が近づいてきた。きるぞ、と洋介は手早く言うとイヤーカフスを
弾いた。通信を切断する。洋介の居るところに来たのは、身長の高い茶色い髪の少女と大人しそうに見える少女、
そして小春日和のようにぼんやりとしている青年だった。

「それ、KOFの招待状……?」

大人しそうに見える少女、朽樹梓はテーブルの上にあるKOFの招待状を見た。先ほど来た三人と洋介は仲が良い。

「参加するのかい?洋の字」

身長の高い方の少女、十隠霧絵もKOFの招待状を拾い上げる。白い封筒に書かれているのはKOFの文字だ。

「しようと想って」

本当はさせられるの方が正しいが、洋介としても闘うのは悪くないと想っているのだ。
問題はメンバーだ。洋介が一人はいればいいが、「ホーリーナイツ」漆番隊から引っ張ってくればいいか。

「洋介が出るって言うなら、僕も出るよ」

「鳥の字が?」

「腕試しってことでさ」

名乗り出たのは、草薙飛鳥だ。草薙という名字で解ると想うが、彼は草薙家の人間である。霧絵が問い返すと飛鳥は頷いた。

「……佳いのか?」

「京さんも出るかも知れないし」

「あ、飛鳥くんが、闘ってみたいって言ってる?」

「うん、ウチ一族が多いからね……」

梓が聞いてみるとその通りだった。
草薙家は長い間続いてきた家だ。一族が多いので飛鳥でも把握し切れていない。その中でも草薙京は現在の草薙家当主で
そしてオロチを倒した人間だ。一度で佳いから、闘ってみたかったのだ。
飛鳥が軽く手を翻すと、炎が出た。草薙家の人間は炎を出すことが出来る。飛鳥も例外ではない。
例外と言うべきなのはその炎は赤いのではなく白かった。最高温度に近い炎を飛鳥は出すことが出来る。

「相変わらず綺麗だねぇ……」

「そう言ってくれると嬉しいよ。それに俺の方も闘いたいみたいだし」

俺、と言う言葉を聞いて霧絵が神妙そうに瞳を細めた。飛鳥の俺という意味を知っているからこそ言える言葉だ。

「洋の字と鳥の字が出るのなら私も出るよ」

「霧絵ちゃん!?」

「丁度、古武術もやっていたし、腕試しにね」

霧絵の家も古くから続いていて、代々古武術が伝わっている。それを霧絵は習得していた。
下手な不良よりも強い。現にそれを使って親友である梓に絡んでくる相手を倒していったのだ。

「十隠と飛鳥か……後一人だな」

「……あの、それなら……私も……出る」

消え入りそうな声で言ったのは梓だ。全員が一斉に梓の方を見る。

「梓が?」

「うん……私も一応……古武術とか……それにあの力もあるし……それに……」

梓はそれっきり黙った。事情を知っている霧絵は梓の肩を叩いた。

「参加したいなら、した方が良いよ。一人足りないんでしょう?」

「大丈夫だよ。朽樹さんも、強いからさ」

飛鳥の言葉に梓は嬉しそうに微笑んだ。引っ込み思案なので意見を言うのも一苦労するのだが、認められて嬉しかったのだ。

「って分けでよろしくね」

「そうだな……佳いところまで行けそうだ」

「……うん……頑張ろう……」

乗り気でいる霧絵と同意をしている飛鳥とそれなりに頑張ろうとしている梓を見て、洋介は軽くイヤーカフスを弾いた。

「アイン、チームについてだが」

「はい」

「決まったから」

「……誰ですか?」

「飛鳥と十隠と朽樹」

洋介が名前を言うとアインと呼ばれた少女は数秒間思案していた。数秒間だけだった。アインはデーターを
引っ張り出していた。洋介の任務である、見張っているという任務のこともだ。

「白い炎と十拳剣と生玉ですね……確かに、九龍一族が狙っている可能性はありますが……」

「網に魚を引っかけるには引きずるのも佳いが餌もいるだろ」

「……隊長……御学友の皆さんも……お気をつけて」

隊長の命令というのは絶対のようなものだ。止めない。アインのデーターの中にも彼らについては入っている。
十種神宝の一つである生玉を司る家の人間である朽樹梓と十拳剣を司る家の人間の十隠霧絵と
草薙家の歴史の中でも滅多なことでは現れなかった飛鳥だ。それに洋介が居る。

「隊長!!私たちが居なくて佳いんですか!?」

アインが居る部屋に勢いよく入ってきたのは焦げ茶色の髪にアイボリーと赤を基調とした服を着た青年だ。
「ホーリーナイツ」漆番隊副隊長であるツヴァイはイヤーカフスの回線に割り込んできた。

「ツヴァイ、お疲れ様です。会議」

自分のペースを保ちながら、アインは応答した。

「大体、今回のKOFは……」

「きるぞ」

「では、後に」

何か言おうとしたツヴァイを制して、洋介は回線をきった。


「土方くん、どうしたの?」

梓が心配そうに洋介を見ている。先ほどまで何かをしていた洋介が気になっていたのだ。KOFの参加を決めたので
それについて飛鳥と霧絵は話し合っていた。

「何でもない」

「僕も俺も、楽しみなんだ……どんな相手と戦えるのかなって……」

「私も、腕試しには丁度良い」

(お兄ちゃん……見つかるかな?)

それぞれの思惑を胸に四人はKOFに参加を決意した。

(僕が思うに……KOF、荒れそうだな。俺も、そう言ってる気がする)

(……九龍一族、か)

KOFで起きることを予感しているもの、予想しているもの。

(何が起きても、やるしかないんだよね)

(……逢えるかな?)

受け止めようとするものと探そうとするもの。それぞれの思いを胸に四人のKOFは幕を開けた。



「……アイリス隊長が参加する?」

「他にも居ますけど、高原隊長や、それと……」

その頃、アインとツヴァイはKOFのデーターを見ていた。書かれている名前を見ると、常連から新しい
参加者まで居るのだが今、注目しているのは「ホーリーナイツ」についてだ。

「隊長に言うべきでしたね」

「後で知ることになるでしょうけど……完全にきりましたからね」

漆番隊の中でも、セブントリガーと言われる七人のうち、一と二は、違った意味で嫌な予感がしていた。


【Fin】




後書き

アイン:……こんにちは、政府武力組織「ホーリーナイツ」漆番隊
隊員のアインです……

ツヴァイ:副隊長のツヴァイです。隊長命令で後書きを

アイン:……一応、ストーリーみたいですね

ツヴァイ:紹介風になっています。ト書きにするか悩んだみたいですが

アイン:オフィシャルでも二種類ありました。遣りやすい方を

ツヴァイ:それとアイリスさんと高原さんの名前を借りましたね

アイン:これから……またキャラを借りるかも知れませんが、その時は
よろしくお願いします

ツヴァイ:隊長……アイリスさんのこと苦手なんですよね

アイン:……自慢ではないですが、ウチの隊長は不真面目なので

ツヴァイ:それでは意見や質問などがありましたら、連絡を

アイン:また逢いましょう…逢えたら


 

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