KOFXX閑話
緋雪さんと個性的な看守たち

作者 蓮華


キャラに関してはKOFXX内ホリナイ事典、監獄とWOKαの久留間悟を
参照してください突発話です。なお、一人載っていません。
微妙な話です

【緋雪さんと個性的な看守たち】

――――――――全く、何でこんなものが好きなのかな?

何度も考えてしまうことを、数えるのが飽きるぐらいに考え、ため息を一つ着いた。
手で抱えている薄い紙袋に入っているのは白ワインの瓶が一本と赤ワインの瓶が一本だ。仲良く並んでいる。
彼にとって酒というのは実は天敵で、肝臓がアルコールの分解要素を先天的に持っていない……要するに酒に弱い……
せいか、酒を愛している人間も、酒のおいしさも理解できていなかった。
ダークブラウンの髪の毛とサドルブラウンの瞳と白い肌を持った青年は町中の注目の的だった。
町を歩いている女性は必ずと言っていいほど青年を見て顔を赤らめたり、歩きながら見ていたりとしていた。
少数ながら男性も彼の方を見ている。それほどまでに青年は人目に付く顔をしていた。
着ているものが安物のコートながら、まるでモデルのようだった。

「アールリッヒ!」

アールリッヒ・ラークシュタイナーを呼んだのは、金髪の少女だった。活発な少女といったイメージで金髪は
肩の所で切りそろえられていて、肌は焼けている。オレンジ色の瞳をしていた。服装も活動的なものである。
もう一人、隣を歩いているのは黒髪の青年で少女と同じぐらいの歳のようだ。手には大量の荷物を持っている。

「買い物は終わったのかい?」

「大体は買った。所長のお土産は?」

「あるよ」

お土産と言って買わされたワインの袋をアールリッヒは軽く持ち上げた。所長はザルなので二本のワインぐらいは
敵ではない。それ以上飲んでも平然としているのだ。アールリッヒも自分の買い物はすでに済ませてある。

「行こうか。長く離れているとまずいし」

久留間悟が言う。荷物と早く縁を切りたいのだろう。それに言っていることももっともだ。停めてある車の
トランクに荷物を放り込む、悟に持っている荷物は六割、カリン・プリムラ・ストケシアのものだ。
真新しそうな車の助手席に悟が乗り、運転席にアールリッヒが乗った。シートベルトをちゃんと付ける。
車が発進すた。ワインの瓶はカリンの隣に置かれていた。割れないように気を配っている。

「本部の方に用事があるし先に帰ってて貰えないかな」

「解った。用事って?」

「細々としたこと」

ラジオから流れる音楽を聴きながら、しばし車を走らせていると着いたところはひときわ大きな建物だった。
車を手頃な場所に停めた。ここは政府武力組織『ホーリーナイツ』聖騎士団の異名を持つ国際警察の一因である。

「義姉さんに渡しておくよ」

「よろしく」

「速く帰ってこいよ」

アールリッヒと悟、カリンは別れた。アールリッヒは本部の方へ、悟とカリンは本来の職場の方へだ。
本来の職場はここからしばらく歩かなくてはならない上に入るのに手間がかかった。それもしょうがない。
犯罪というのは年々増加している上に質も上がっていて、このところは異能者や能力者、何らかの使い手も犯罪を
するようになってきたのだ。彼等に一般的な刑務所や牢獄を与えても、すぐに脱獄されてしまう。

「着いた……」

それを防ぐために作られたのが、ひときわ大きな、白い隔離されたような建物。『ホーリーナイツ』本部内にある監獄だ。


「これを買おうと想うのよね」

監獄内の一室、看守や所長用の部屋にいたのは十代に見える少女だった。黒髪が外に跳ねていて活発そうに見える。
久留間緋雪、悟の義姉にして、監獄内の所長だ。緋雪が見せたのは通販カタログだった。

「……何に使うんだ……所長?」

通販カタログを見て、其れしか言えなかったのは黒髪で、黒い瞳と紅い瞳のオッドアイの青年だ。通販カタログで
欲しいと言ったのは”焼き芋制作器”だ。器の中に芋を入れて焼くと、美味しくできるらしい。

「兄貴兄貴、美味しそうだよ」

飛行眼鏡を付けた青年が通販カタログを見て同意していた。二人は兄弟で、兄の方をグスドと言い、弟の方をカルドと言った。
名字は二人してケディギーだ。グスドとしては焼き芋制作器なんて買っても何に使うのだろうと考えてしまう。
焼き芋を焼くぐらいしかなさそうだがわざわざそんなものを買って焼くのだろうか。

「もうちょっと実用的なものが良いと思うが」

「じゃあさ。これなんてどう?」

カルドが指さしたのは”洗濯用ボール”だった。これを洗濯機の中に入れて洗濯すると洗剤が必要ないという経済的なボールだ。

「……お前、洗濯するのか?」

「いや、ぐるぐるしてるのはコインランドリーだし」

「実用的な食べ物とかを選べ」

「無駄もいると思うよ、兄貴」

「お前には無駄が多すぎる」

二卵性双生児のいつもの会話を聞いていると、悟とカリンが帰ってきた。悟は重そうに荷物を持っていて、カリンはワインを
抱えていた。荷物を置いた。カリンの買った六割と、緋雪が頼んだ三割と自分の分の一割が手に重みを伝えていた。

「おかえりー」

「これ、買っておいたって」

アールリッヒが渡して置いてくれと言っていたワインをカリンは緋雪に渡した。

「お疲れ。筋肉がぐきぐき言ってない?」

「そこまでやわじゃないよ。カルドさん」

「……全くだ」

カルドの言葉に悟は苦笑する。悟はこれでも看守をしているし、たまにハンターとして自分も犯罪者を捕まえに行くので
この程度で筋肉痛になることはなかった。

「アールはどうしたのさ?」

「用事だって」

「そっか。ところで悟とカリンはさ。これ良いと思わない?……”ビリヤード兼卓球兼ルーレットなども出来る万能台”」

「えー、私としてはそっちの”万能スライサー”が良いと思うけど」

所長の義理の弟と妹のような少女は通販カタログを見せられて、コメントに困る。万能台と万能スライサーの
どっちが良いか何て比べられないと言うか、それ以前に緋雪は料理を暇な時がない限りはしない。

「……コメントが無理なら言わなくてもいいぞ」

グスドの小声の言葉に、悟とカリンはほぼ同時と言っていいほどに肯いた。


本部内で大体の手続きを終えたアールリッヒはここでもやはり注目されていた。人の目を引く姿をしているせいか、
視線を気にすることはなく、本部内を出て行こうとする。余り居たくはない場所だ。
向こうの方で金髪をしている少女が三人ほど居たが、一瞥すると本部を出て行く。

「行くかな……」

アールリッヒは呟くと、自分の職場へと戻っていったが、まさか”節約シャワーヘッド”と”お風呂の温度を下げない機械”
どっちが良いかと聞かれるなんて事は彼は知るよしもなかった。


【Fin】


 

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