【月華ZH】


「仙崎」

目の前にいる男は…

いつも僕を憂鬱にしていた男…

会うたびにぼくを見下し…

虐げ…

嘲笑っていた男…

今日もいつもと同じように…

ソイツはぼくを憂鬱にした…

たまらず…

ぼくは目の前の空間を薙ぎ払う…

いつもなら意味のないこと…

ぼくの滑稽な姿がソイツをますます愉しませるだけ…

でも…

目の前に立っているコイツ…

なんで…

今日は首から上が…?

手の中にあるコレは…?

ああ…

そういうこと…

その手に軽く力を入れてみたら嫌な感触がした…

幼い頃、素手で焼き魚を食べた時のような…

そんな生臭い感触だった…

ぼくは今までこんなものに脅えていたのか…

こんな矮小なものに…

とりあえずこの手…

どうしよう…

水道で洗おうか…?

水道管…

つまっちゃうんだろうな…

はあ…

今度からはゴミ箱に捨てよう…

排水溝に散乱している沢山の白い歯と…

キラキラ丸いビー玉のようなものが…

流れる紅に染まっているのがとても綺麗だと思った…



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