FOW閑話シリーズ
三枚の報告書のお話

作者 以津真天さん

注意 これは冗談です。
実際の暦とは関係が―・・・・・・・あ・・ある・・かも・・




一枚目
※某月某日 トゥエルヴムーンシティ射撃訓練場


マズルフラッシュが出ている割には硝煙のにおいがしない。
だからすぐにリヴィーナ嬢には合点がいった。

ガルベットだった。
彼の腕に仕込まれたエネルギーバルカンは、弾は使わずエネルギーが飛び出る。
そのエネルギー弾が、横一列に並ぶ的を次々と吹き飛ばしていく。
ふと、リヴィーナ嬢は訓練を何分やっているかのタイマーを見た。

「一時間!?」

これはとんでもなく珍しかった。
一時間ぶっ続けで射撃練習など、普通の日でも滅多にしないハードなものだ。

「プロトさん。」
思わず、語りかけた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・反応が無い。

近寄ってみてみる。
プロトの腕が、実に機械的に動いている。その腕を手で止めてみた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・反応が無い。

エネルギーバルカンはそれでも撃ち続けていた。
ひじにあるスイッチを切ってみる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・反応が無い。

強い光や危険物から目を守る装甲マスクをめくってみる。

・・・・・・・・・・・・・眼が閉じていた。
ついでに軽い寝息も立てていた・・・・

「・・・・・・・・・・・・・」



報告
プロト・ガルベット 全治一週間 交換部品二点
詳細?・・・・・聞くな。


二枚目
※格納庫


疲れたとか人使いが荒いとかの文句は、プロトはあまり言わない。
その分、サボる、逃げる、雑になるからだ。
これは、その三番目の典型である。

「C4はまだか?」
ヴァイスハウプトは部下に小さく尋ねた。
「はっ!現在、こちらに搬送中であります!」
「遅いな・・・誰に頼んだ?」
「はっ!トルーパーです!」

沈黙。

「・・・・・・・・・なに?」
「人手不足の折でしたので・・トルーパーに頼みました・・」

沈黙。U

C4とは、爆弾の事である。
それを・・・・・それを・・・・・・・
「ガルベットに任せただとおっ!?」
「は・・はあ・・・・」
ヴァイスハウプト氏の脳裏で、様々な憶測が飛び交った。

サボっているのか。
ひまわりに手伝わせているのか。
それとも別の仕事があるのか。
それでだるくなって引きずってきているとか・・・・・・

考えれば考えるほどホラーだった。

「今すぐに行って来い!早くしろっ!急げよッ!」
「い・・いや・・・来ましたが・・・」
部下が指差した方向に、風呂敷に爆弾を山ほど包んで背負う、
トルーパーの姿があった。

「いんやあ、おくれましたなあ。入れ物が無かったんで、仕方なくこれに入れてきました。」
予想以上に良かった結果に、4月氏は胸をなでおろした。
「けどねえ・・・」
けど、という言葉に、再び緊張が走る。

「適当に爆弾いっぱい持ってきたせいか、一個か二個落としちゃったみたいで。」

今度こそほっとする4月氏・・・・・・・・・・・・・って
落としたあっ!?


「早く拾って来いバカモノッ!!!!」

報告書
プロト・ガルベット 厳重注意。
詳細 4月氏がまた血圧を上げて一時騒然となるものの、なんとか収拾がつく。


三枚目
※研究棟


ふくらまして、形を整えて、置く。
ふくらまして、形を整えて、置く。

ちょっと冷えて固まったのに9月嬢が泣き叫ぶひまわり人間を詰める。
「わ゛あーっ!!わ゛あーっ!!」

それに中尾氏が、酒を注いでラベルをぺたりと張り、栓をする。
一応、空気穴はあけておく。


向日葵酒一丁上がり。

「今度、遊園地で販売しますから、ややペースをあげて下さい。」
「承知しました。」
「ムズカしーなー・・ビン作るの・・・」

「ねえっ!ちょっと!タイム!ってか聞いて!ちょっと!お


報告
向日葵酒 本日は七十八本生産
詳細 ガイア遊園地のレストランで飲めます。(持ち帰りは不可




おしまい。


 

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