ルリルダイアリー
番外編3
ややグロあり
| 番外編 カヴァとティーナの日記 めがさめると、ふたりだった。 あったのは、しびれるようなさむさ。 からだにしみこんで来るような、そんなさむさ。 たいおんきのうもなぜかついているからわかった。 だれもいない、わたしたちのいえ。 いえっていっても、ラボ。 しんでしまったような、わたしたちのいえ さびしくて。こころぼそくて。 みんなをさがして、ほんぶないをあるきまわった。 「…………」 「…………」 「…………」 ……だれも、いない。 もっとさびしくなって。もっとこころぼそくなって。 ふらふらとそとへでる。きっと、みんなはそとにいる。 ………… ああ、まちがいじゃなかった。だってこえがする。たのしそうにさわいでいる。 はいっちゃだめだってところきこえてくる。だからわたしはだめだってところにはいっていった。 みちはまっくらで。さっきよりさむくて。 でもだれかのこえがするから、さびしくも、こころぼそくもなかった。 ――ふかい、ふかいけんきゅうじょ。 さきにすすむ。 つめたいくうきがはだにふれる。 それでも、さきにすすむ。 すると、ひろいばしょにでた。 カプセルがそこをかこんで、そこはまるでもりのよう。 そらからふってくるうすぐらいひかりにうかんだ、ステージ。 そこにだれかがいた。 おなじような、それよりもこうせいのうなやつが たのしそうにおどりながら、てがなくなったり、あしがなくなったり。 もっとバラバラのアンドロイドもいる。 みんなたのしそうにおどっている。そのなかに、わたしたちの「おかあさんみたいなアンドロイド」がいた。 それをもとにして、わたしたちはつくられた。 それが、とつぜんわたしたちの方をむいいて、おどろいたようなかおになって。 ――びしゃ。 じめんをみると「おかあさんみたいなアンドロイド」がはんぶんになってころがっている。 わたしたちのかおはぬれていて。それはあったかくて。トマトのようにまっかだった。 そのあかいろがわたしたちのめにしみこんでくる。みえるものが、みんなまっかになっていく。 あかいあかい、ぎじたいえきっていわれているものが、ちらばっていく。 ――ぐしゃ。 むこうでまただれかがバラバラになる。 バラバラにしたやつが、わたしたちのほうを向く。 その人も、まっかだった。 きんいろのかみのけをしていた。なんだか、わたしたちのしっているだれかににているけれど おなじようで、ちがうやつ。 ………… わたしたちは、けっきょく。 なにがいいたいのか。 なにがしたいのか。 なにもかも、よくわからないけど。 わたしたちはどうしてか、ないてしまいそうだった。 くみこまれたプログラムがそうしたのかもしれないけれど、 でもないちゃいけないといわれてるから、わたしたちはなかないようにそらをみあげた。 そこにはぽっかりとあいていたてんじょうとつきがあった。しろいまんげつがいた。 ……ああ、どうしてきがつかなかったんだろう。 しろいひかり。つめたいひかり。 まわりのくうきよりも。 あしもとのじめんよりも。 わたしたちのかおについているあかいみずよりも。 ツメタイヒカリ。 ……こんやはこんなにも。 たったひとりで。よるのくろいカーテンのなか、そのしろいすがたをみせつづけている。 そんなつきがうかんでいた。 ……つきがキレイ…… |
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