AZUMI

「あ?俺達から金取ろうってのか!?」
ある日の昼過ぎ、商店街の一角の大衆食堂内にて人相の悪い男
が3人、店主らしき男に対して因縁をふっかけていた。
体格のいい男が二人、そしてやせ型の男が一人。
どうやら一般的に「やくざ」と呼ばれる者らしい。
その他2名の客は店の片隅で震えていた。
「し・・商売なんで・・・一応」
声を震わせながら店主が言う。
「いいか?耳かっぽじってよう聞けよ!俺たちはなあ・・・」
その時、玄関が開き一人の人物が入って来た。
赤いズボンに上着、無造作に分けた短髪、右手に木刀を持った
その人物は男達の間を通り抜け椅子に座った。
「なんだ?てめえは!」
男の一人が叫ぶ。しかし男の言葉を無視し低めの声で・・
「・・・・親父、焼きそば大盛りだ。」
「てめえに聞いてんだよ!」
無視された男は逆上しその人物の肩を掴み強く引っ張ると
上着が取れその人物の体型が明らかになった。
「!?」
その人物の正体は見るかぎり女性のようだ。
しかし体格的には女性的なラインを残しつつ男顔負けの筋
肉を所有ししかも身体全体に大小様々な生傷の跡が目立って
いる。その女性は無言で立ち上がると男達の方を向いた。

つづく


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