カプエス
DJステーションシリーズ
『新・BOFストーリーズ』

ライブ16

作者 タイ米

 K´はかりんの家に案内された。
 どうやら、大富豪のお嬢様らしく、家は豪邸だった。
 その余りにも豪華な家の様子に圧倒されるK´であっ
たが、中に入るや否や、さらに凄い光景を目にする。

 そこかしこに並べられたクリザリッドのグッズの数々。
 壁にかけられてる絵画は全てクリザリッドがモデルに
なっていた。

 ここまでクリザリッドづくしだと、正直見ているこっ
ちが引いてしまう。
 ジゴロのK´も例外ではなかった。
「ここが私の部屋でございますわ」
 早速、部屋に入ってみる。
 その広さは尋常ではなく、4畳一間の山崎の部屋が百
個は入りそうなものだった。
「どうぞ、こちらにおかけになって下さい」
 かりんに勧められるままに座るK´。
 辺りを見回しても、やはり、部屋の中にクリザリッド
グッズがぎっしりあった。
「よくここまで集められたな…」
「当然でございますわ。私にとって、クリザリッド様は
人生の全て! 私の将来には既に、クリザリッド様のお
嫁になるという輝かしいビジョンが存在しているのです
から…」
 かりんの目があさっての方向を向いている。
 クリザリッドの妄想でもしているのか、既にテンショ
ンは正気ではなかった。
「あ、あの、お嬢さん?」
 K´がジゴロの呼び方でかりんの意識を戻す。
「失礼。つまり、私とクリザリッド様は一心同体。私が
彼について知らない事などないのですよ!」
「はぁ…」
「それが、あなたに対して、クリザリッド様は意味深の
言葉を仰られた。あなたはクリザリッド様とどんな秘密
の関係にあるのですか!?」
 テンションがさらに高くなっている上に、言葉も妖し
くなっている。
「いや、んな事言われてもね。俺もあいつとは初対面だ
からわからな…」
「嘘をおっしゃい! あなたへの言葉は私をはじめ、ス
タジオの外にいたファンクラブ会員全員が聞いているの
です! あなたに逃げ場など存在しないのですよ!!」
 凄い剣幕で捲くし立てるかりん。
 K´の言う事など、全く聞く耳を持たない。
「しかしねぇ。俺もあそこで初めて、あいつにあんな事
言われたんだ。君がどんなに問い詰めたとしても、問題
は解決しやしないよ」
「では…」
「方法は一つしかないだろう…」
 K´が一回黙る。
 辺りの空気がピンと張り詰める。
「あいつらの事務所にでも行って、直接聞くしかねぇ!」
 K´がそう言った直後だった。
 かりんの様子が急におかしくなった。

 まるで、何かに恐れてるような…。

「ん? どうした?」
「だ、ダメです。あそこには、事務所だけには近づいち
ゃ…」
「え? 何で?」
 急な展開に戸惑いを隠し切れないK´。
「BBBの事務所は、一度行ってしまったら最後、二度
と戻ってこれないので有名な場所なのです」
「はぁ!?」
「実は何人か、BBBに会いに行こうと事務所に行った
ファンがいたのです…」
 いきなり照明が暗くなり、怪談の音楽が流れる。
(いくら何でも、ここまで雰囲気作らなくても…)
「何事も形からですから…」
「!?」
 K´の心の呟きが何故か、かりんに通じた。
 これだけでも十分に怪談モノである。

 かりんの話によると、そのファン達は、BBBの事務
所のある所に向かったが、そこには巨大な城しかなく、
側には砕けた天狗の面と、初老の空手家がぐったりと倒
れていた。
 おかしいなと思っていると、突然彼女らの周りを光が
包み込み、数分後にはファン達の姿はなくなっていた。

 それから数ヶ月後、依然として彼女達は誰にも発見さ
れておらず、同じような事がそれ以降も何回もあったそ
うだ。

 もちろん帰還者はゼロ。

 噂はどんどん大きくなり、かりん達の間ではBBBの
事務所があるといわれている場所は、一種の恐怖スポッ
トとして広まっていった。

「そういう事ですの。だから私達もBBBの事務所に入
った事はありませんの…」
「なるほど…」
 と、突然、K´の視界を何者かが遮った。
 見ると、天井から逆さ釣りにされたミイラがこちらを
睨んでいた。

「グギャアァァァァァァーーーッッッ!!」

 あまりにも凄まじいK´の悲鳴。
 彼はそのまま泡を吹いて気絶してしまった。
「あらあら。この程度で気絶なさるとは…」
 かりんは全く動じてない様子。
「何事も『形』から。怪談のオチとて例外ではありませ
んのよ?」
 よく見るとそれはバイオハザードのミイラの張りぼて。

 しかし、そこは金持ちの神月家。
 リアリティは徹底的に追求するタチであった。



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