世界最強に挑戦!
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その日の夜。
夏香は昨夜と同様にビルを飛び移りながら、どこかに向かって走っていた。
しかし、昨日と違い、夏香はただがむしゃらに走り続けていた。
やがて、とあるビルの屋上で立ち止まると、煌々と照る月にその身を照らし、軋琉から渡された『FOWvsNOB』の招待状を取り出した。
「フッフッフ……楽しみだなあ……」
久々に全力を出して戦える相手を見つけた。
「暦(カレンダー)」を抜けた頃から、アルシャンクのようなのは別として久しく無かった「強敵」。
全力揮っても勝敗定かにならぬ互角の死闘を演じうる、己に勝るかもしれない「闘技者」の出現。
そして、今度こそ、世界最強と謳われたあの男と真剣勝負ができる。
もう誰にも邪魔されない。いや、誰にも邪魔はさせない。
そう考えるだけで、夏香の気持ちは十二分に高ぶり、じっとしてはいられなかった。
「狩夜軋流……首を洗って待ってなさい……今度こそ私があんたを直々にブッ倒してやるからね!」
眼鏡を怪しく光らせ、空に向かって吼えながら、夏香は軋琉への闘志をさらに燃やすこととなった。
しかし、その後、自分のパートナーが「謎の生命体」なることなど、夏香は夢にも思わなかったのであった。
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