もう一つの未来〜もし、この星が…


NO.1

作者 クラッシュさん


20XX年…

「うっ…。」

一人の若い男が寝ていた布団から、長身の体を起きあがらせた。
そして、大きなあくびと深呼吸をした。

窓からは朝日の射す気配もない。でも、それは毎朝の事である。

そう、これはもう一つの未来。
1999年、ノストラダムスの予言通りになってしまった、地球の姿。
世界は「恐怖の大王」の召喚した「アンゴルモア」によって水や草花は枯れ果てていった…。

「チッ…。」

男の目覚めは最悪のようだ。
男にしてはかなり長髪に情けない寝癖を立てている。

「起きたようだな。ムロフシよ。」

一人の中年の男性の声が聞こえる。

ムロフシ…そう、それが若い男の名前だった。

「悪い夢でも見たか?普段から悪い目つきがさらに悪いぞ。」

冗談なのか、本気なのかどちらにしても、機嫌の悪いムロフシという名の若者に追い打ちをかけたのは間違えない。

「うるせぇよ。テメエは人類を救う方法でも考えてな。残り少ない人類のな。」

ムロフシは人事のように言う。

「まあ、そう言うな。現在においては外に出るための酸素を作り出す特殊バリアも必要だろ。でないと、おまえらが戦えないだろ?最近の獣共は以前にも増して強力になってきているしな。力のない者を守ってやらないとな。本当に人類滅亡になりかねん。」

「へっ…力のない者を守る?バーカ。自分だけでも精一杯だってぇのに、他人なんぞ守ってられるかよ。相も変わらず、お人好しだな。自分の心配はしねぇのか?えっ!ハマサキ博士?」

中年の男性をハマサキ「博士」と呼ぶと言うことは、ひねくれ者のムロフシでも認めている科学者のようだ。

ムロフシは汗で濡れたシャツを脱いでそのままハンガーにかけた。
その後、ボロボロの青い胴着に袖を通した。

「それよか、トモヤ達はどうした?」

胴着の帯を結びながらハマサキ博士に聞く。

「朝に豆と水を飲んだあと、訓練室に行ったぞ。」
「…ったく、行くなら起こせって言ったのによ。」
「起こしたが、お前が起きないからだ。」

ブツブツと言いながら、ムロフシは部屋から出ていくのだった。

・続く


 

NO.2に続く
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