もう一つの未来〜もし、この星が…


NO.2

作者 クラッシュさん


ムロフシは階段を下りていった。目指している場所は地下の訓練室である。

「ふあぁ…、チッ…。」

昨夜の夢は、とても良いものではなかったようだ。あくびと共に舌打ちがもれる。そんな行動を繰り返しながら、地下に着いた。

「おう、おまえ、いつもより目つき悪ぃ〜ぞ。」

朝見るものとしては少々刺激的なオレンジ色の髪の色をしている。起きた時と同じようなセリフを聞いたムロフシは呆れたのか、一言でその場を済ませようとした。

「…るせぇ。その髪の色どうにかしてから言え。」

そう言うとすぐにその男を横切るようにして、歩く………が

「まあ、待てよ。トモヤに用か?それともホープちゃんか?」
「まさか!バカ言うなよ。なんで、俺があの色気のねえ女に用があるんだよ。」
「ははは…だが、バカにしてるわりには、最近は随分、仲がいいじゃないか?」
「…ケッ。ついでにバカでアホで間抜け顔でのんきにプカプカ浮かんでる青い島には用はないな。」
「青い島…?」
「略してアオシマ…。お前の事だよ。あばよ。」
「おいおい…。バカにしてるのか…?」

ムロフシはそう言うとアオシマという男の言葉に振り返ろうともせずに訓練室に向かって歩いた。

「悪かったわね。色気のない女で…。」

曲がり角でボソリと聞こえた声。女性の声であることは間違いない。

「…あ?…ホープか…。何か用か?」
「全く、私に声を掛けるときはいつもそれで始まって、用事がないとすぐに「どけ。」で終わるんだから。」

ホープと呼ばれる女性はムロフシの前に立ちはだかった。

「…って事は用事はないようだな?…ったく、アオシマもお前も限りなく暇人だな。まあ、死ぬのはテメエらの勝手だ。好きなだけサボってな。」

ムロフシは冗談なのか本気なのかわからない口調でそう言う。

「相変わらず、随分なご挨拶ね。じゃあ、聞くけど仮に私が殺されたら感情を抑えきることができるかしら?」
「はぁ?お前が殺されても、何とも思わねぇよ。テメエらとは違って、甘くねぇんだよ。」
「…甘くない…か。おっと、私そろそろ行かなきゃ。訓練、しっかりやってよね。夜の見回りまで8時間はあるから。」
「言われなくたって、やってくるよ。おめぇらみたいにサボらねぇよ。」
「じゃあ、また夜ね!」

ホープはムロフシの態度にふくれたりはしない。何故ならいつもの事だからである。さすがに毎日こんな態度されれば慣れてしまうものだ。
ホープはムロフシと話した後、鼻歌を歌いながら歩いていく。

ムロフシは時間を気にしたのか走って訓練室に向かって行った。


・続く


 

NO.3に続く
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