KOFXXシリーズ
漆番隊
柔らかな傷痕・後編
作者 蓮華
| 「暇ね……殺されちゃってないかしら?」 看守の少女はドアの前に座り込んでいた。暇そうにしていた。あれから少しの時間が過ぎたのだが面会者が一行に出てこなかった。 殺されると言うことはないだろう。少なくとも、この牢獄ではそうだ。牢獄は看守の少女の庭のようなものなのだ。 少女が座り込んでいると、携帯電話が鳴った。人と話すと言うよりも本部の人間と話すために使われているものであった。 「もしもし。はい……え?解りました……良いんですか?……決定?それなら良いですが……」 携帯電話をきると看守の少女は立ち上がる。納得は行かなかったのだが、決定なのは仕方がなかった。 振られた剣はカルバラックであっても一瞬しか見ることができなかった。そして切れたのはカルバラック自身ではなく 拘束をしていた両手の手錠と足枷だったのだ。剣はフルートに戻っていた。 「これが処分です」 「……処分?」 問い返してしまった。鎖はすでに切れていて自由に体を動かせるようになっていた。 「隊長殺しをして、罪をかぶったカルバラックさんは死んでしまいましたから」 「……何でそれを?」 隊長殺しをしたカルバラックだが、殺したくて殺したというわけではなかった。任務の時、隊長が他の組織のスパイだと 言うことが解り、隊員を殺した。隊員はカルバラックの同僚だった。そしてカルバラックはその隊長を殺した。 組織の人間も殺した。部屋も心も身体も血塗れとなっていた。隊長は尊敬をされていたし、慕っていた者も多かった。 それを他に教えるわけにもいかなかったので、隊長殺しと他の隊員殺しの罪をかぶった。 罪を犯した。いっそのこと全て抱え込んで死んだ方が楽だったのだ。 「罪を犯さずに人は生きられませんよ、償わずに生きることもまた然りですよ」 面談者の言葉を聞いて、少しだけカルバラックに世紀が戻ったが、それでも完全に戻ることはなかった。 「だが、俺は死んだんだぞ?」 「ロストナンバーズって知っていますか?」 カルバラックは知らないと言った風に面談者を見た。ロストナンバーズを訳すれば失われた番号などの意味があった。 面談者は紙をカルバラックに渡した。それを見るとロストナンバーズについて書かれていた。 様々な特典の代わりにそれ以上に厳しい戒律が書かれていた。 「……俺にこれには入れって言うのか?」 「入るか入らないかは自由ですよ」 カルバラックは紙を見つめていた。隊長殺し……様々な罪があった。罪を犯さずに人は居きられないと面談者は言った。 それを償わずに生きることもだ。償いがこれで出来るとするならば………。 「やろう」 その眼には生気があった。 「そう言うと想いました」 部屋のドアが開いた。入ってきたのは看守の少女で真新しい洋服とジェラルミンケースを持っていた。 「連絡があったわ。はい」 「ありがとうございます」 「道具も全部入ってるから、出るときは言ってね」 ドアの前にそれを置くと看守の少女はドアを閉めた。カルバラックはジェラルミンケースと真新しい服を持った。 「ところで、アンタの名前は?」 「ロキです」 「覚えておこう」 ジェラルミンケースを開けると、中には良く入ったなと言われるぐらいの暗器が入っていた。彼の武器だ。 手を伸ばして、触れてみた。しばらくは触れていない感触があった。 あれからしばらくの時が過ぎた。 自分が居たときよりもロストナンバーズのメンバーは増えていたし、新しい番隊にも入っていた。 入っていると言うよりも力を貸していると言うべきかも知れないが少しは罪滅ぼしが出来ているのかと考えていた。 居たのは地下にある施設で少し薄暗かった。座って、考え事をしていると背中を軽く叩かれた。 『本、読んで……』 その声は頭の中に響いていた。慣れているらしく頷くと、本を見た。 沢山の制約はあるけれどそれと同じぐらいに幸せもあるのだ。……そんな彼だったが本のタイトルを見て、手を止めた。 「……イリス、これ、どこから持ってきた?」 『ランディが……』 「アイツか…」 本のタイトルは『アリス・イン・ナイトメア』だった。訳することはなくヌルはとりだした百円ライターで本を燃やした。 百円ライターにしては火炎放射器並みの威力があるそれは本を跡形もなく焼いてしまった。 「……別の本、読んでやる」 後にぶっ飛ばしてやろうという気持ちを抑えつつ言うと別の本を探し始めた。 【Fin】 後書き ……って分けでカルバラック事ヌルの話です。いつの間にか設定が変わっていたという特異なキャラだったりするんだが ロストナンバーズとかにも入っちゃっているしね。とりあえず考えている話などは文章にしないと落ち着かないような 変な癖がついてしまったのでこんなになってしまったりしたんだが、小説掲示板のログが……春休みだし良いよね アリス・イン・ナイトメアは検索すれば解りますが恐ろしいです。看守については名前は決定しました。 久留間緋雪(くるまひゆき)さん、口調で年齢を判断しては行けません。 まあ……出来れば次回に逢いましょう。 |