を待つ主の館

ファイル1「招待」
「その場所って、なにがあんだろうな…」
どこまでも続く道を、バイクに乗って、
ある男がある目的地まで走る。
「さあね。あれには、私が話しただけしか書いてなかった
から」
そのバイクの後ろにまたがって同行する女。
「まあ、いろんな意味で楽しければいいけどな」
男はそれでも、どこかたのしそうだ。
ではなぜ、彼らがその目的地へ向かってるか。
            ☆
今から数時間前。
この場所、マリー・ライアン邸に1通の手紙が届いたから
である。
「珍しいわね。手紙なんて。どれ…」
マリー・ライアン邸に住む女性ながら優秀な腕をもつ
フリーエージェント、ブルー・マリー。
彼女は、その手紙を封筒から開け、中身を読む。

   こんにちは。マリー・ライアン様。
  このたびは、いきなりこのような手紙をお出ししてし
  まい、申しわけありません。
  さて、このような手紙をあなたに出した理由ですが、
  ぜひ、あなたの格闘の腕が確かなら、

     私の館に来ていただきたい

「場所、ライトタウン…差出人………
                『Z』」
手紙の内容はまともだ。だが、肝心の内容、それに
差出人は…
「……どうもキナ臭いわね」
…になってしまう。
マリーは手紙を封筒にしまい直し、
外を見て少し考えた。
「……相棒を呼ぼうかしら」
            ☆
それが今バイクを運転している男、『サウスタウンの
英雄』テリー・ボガードなのだ。
彼はネスツ壊滅後、マリーとともにエージェントの
仕事をしていた。
「確かここをまっすぐ、だよな。いくぜ!マリー!!」
「オッケイ!!」
そこは地平線まで続く長い直線。
            ☆
「HYUU!!!」
みとれる程に豪華なはね橋をあがる直前で抜ける。
そしてどうやら……
「おっ、どうやらあれのようだぜ」
明らかに他とは違う形をした純白な城風の館。
まだかなりその場所からは遠いはずなのに、
目にはっきりと移ってくれるあれ。
「あれが招待された場所だな。とばすぜ!マリー!
しっかりつかまってろよ!」
「OK!」
テリーはにこやかに笑うと、バイクの速度を上げる。
後ろにまたがるマリーは頷くと、振り落とされないよう、
テリーの肩にしっかりとつかまる。

館はその2人を称えるかのように、姿形を濃くしてゆく。
            ☆
走ること約30分。館の前についた二人。
テリーはバイクを止め、バイクを降りて
カギを抜きとると、それをマリーに投げ渡した。
そして館の扉を見るなり。
「でっけぇ扉…」
そんな言葉が漏れた。
自分の背丈の10.20倍はあろうかという扉。
「差出人の『Z』って…怪物じゃないわよね」
マリーもそんな事を言う。
確かに、普通に押してでは開けられないとみる。
「……しょーがねぇ、不躾ながら」
ため息まじりにテリーはそう言うと、拳に力を込めて、
それを扉にぶつける。
「HAII!!!」
扉は思ったよりもろく、人間の大きさくらいの穴が
拳一発で開いた。
「…こんな事して、よかったのかしら…」
「しょーがねぇだろ。呼び鈴もなんもないんだから」
扉を壊して二人がそんなやりとりをしていると、
扉は鈍い音を立てて内側に開き始めた。
そして扉が完全に開くと、二人は入り口となった扉のほう
を見る。
「…どうやら、呼ばれてるみたいだな」
「そのようね…」
「…引き返す余地はないよな?」
「オフコース」
前にテリー、後ろにマリーと並んで、
館の中に入ってゆく。
そこは、その館は、『恐怖』、が待っていた…



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