を待つ主の館

ファイル2「一階」

館の中は本当に広かった。
中にはシャンデリア、人の形をした巨大な黄金像などの
金目の者。
窓は全て摺りガラスというまさに豪華な場所。
それに、先が道が長すぎて見えない。
つまり廊下が異様に長い。
「中も随分と豪華なつくりになってんな…」
歩きながら館を浅く見回すテリー。
「そうね。でも、何があるかは解らないわ。
油断だけはしないで」
それとは対照的に慎重なマリー。仕事のせいか。
「油断ねぇ…」
こんなところにまで気を配って歩く必要があるか?
そうテリーは思った、が。

どうやら気を配ったほうがよかったようだ。
さっきまで何事もなく立っていた人を型どられた
黄金像が、ドミノのごとくテリーたちの方向に向かって
一斉に倒れてきたのだ。
「なにっ!?」
「ちょ、ちょっと!?」
随分と荒く、そしてもったいない歓迎である。
二人は像と像の合間を縫って、なんとかかわす。
かわされた像は、ズズーン…と大きい音とホコリを
たてて、その場に倒れこんだ。
            ☆
テリーたちの後ろには、もうホコリと倒れた像しか
見えなくなっていた。
「まったく、像のセッティングくらい…」
きちんとしろよな。とテリーが続けて言おうとした。
だが。
「テリー」
マリーが口を挟む。
「私たち…なにか深みにはまったかもね…」
そういう彼女の表情は真剣だった。
「深み?」
テリーは聞こうとする。
「私もよくは分からないんだけど……とりあえず、
一つ言えることはこの館のご主人さま。
この館なんてどうでもいいと思ってるわ」
「なんで。立派なとこなのに」
テリーが質問すると、マリーは壁に向かう。
「見て。像に隠れて見えなかったんだけど、
暗くても分かるくらいに壁がはがれてる。それに…」
今度は倒れた黄金像のほうに向かって、像を指でなぞる。
「ホコリがひどいうえに、実は傷も目立つのよ。
普通に置いただけじゃつかない傷がついてる。
この像は、私の推測だけど、飾るために
置いてあるんじゃない。
来訪者を試すために置いてあるんだわ」
「…なんだそりゃ…だからなんだってんだよ」
体中にまとわりついたホコリを払うテリー。
「そこまでは…とにかく、上へ行くしか無いわ」
何があるかはわからない。だが二人は、
先へ向かうのみ。


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