血塗られた歴史と炎
ラウンド1「京と柴舟」
樹々が葉を少しずつ落とす寒い季節。その季節を肌で
解らせる風が吹く。
そんな季節にある家の屋根の上で一人ごちる青年がいた。
「あーあ、ったく家にいっと退屈だ。面白ぇ事はなーんも
起きねぇし、俺より強い奴はいねぇし…」
青年の名は草薙京。15歳で父、草薙柴舟を越えたとされる
草薙流の技の使い手で、『三神器一族』の一つ
『草薙の剣』の継承者でもある。
「おーい京、今から真吾君が来るそうじゃが」
「勝手に教えるなりしてろよ」
今、京に声をかけた初老に近い男こそ、草薙柴舟。
京の父親で、元草薙流伝承者である。
現在は、ある草薙に憧れる青年を鍛えてるそうだが。
「ふー…ここにいたってお日様見るだけになっちまうな…
そらっ!」
そう言うと、起きて屋根から飛び降りた京。開いていた
窓から部屋に入ると、今度は皮ジャンを着て
玄関から出てきた。少し前に着ていた、
あの皮ジャンである。
「?どこへ行く気じゃ?」
柴舟が目を丸くして訪ねると、
「さーな。そこらへんをプラプラしてくんだけ…
だと思うぜ。
ユキとか真吾とかからなんかきたら、
適当になんとかしてくれ」
京はバンダナを締め直して後ろを向いたまま手を振ると、
そのまま走り去っていった。
ただ、柴舟には、京が「プラプラしてくるだけ」
と言うのは、嘘だと判っていた。
「…さては、修行にでもでかけおったな?
わしでは役不足だと思いおって、京」
その自分の思い込みに柴舟は何かと嬉しげだった。
息子が強くなってくこと、それをさらに強くしていく京。
いや、考えていることー京が修行にいったのは
「当たり」なのだが。
最近は、自分の力不足の感もあり、自主トレを
秘かに行っているようだ。
ただ、秘かにというものの、その場所も時間も
かなりの人にバレているようだが。
京がどこかにいって約2時間。
彼がいない間に草薙の武術をある人に教えていた柴舟は。
「よし、今日はここまでだ、真吾君」
「ありがとうございます!」
元気なあいさつを矢吹真吾はすると、元気よく草薙家から
帰っていった。
(余談:なぜ真吾が柴舟から草薙の武術を習っているのかは
、「KOF2001」の日本チームのEDを見て欲しい)
「…ふぅ、京ではないが退屈になってしまったわい」
どうやらこの歳でも、そういうものは変わらないらしい。
「ちょっと釣りにでもいってくるかの。えーと、道具は
どこじゃったかの…」
そんな事をいって彼が立ち上がろうとした時、
コンコン
ドアを叩く音がした。
しかし、頭の中が釣り道具探しだけになってしまっている
柴舟には全然聞こえてなかった。
そんなことだから、今度は怒りの声が聞こえた。
「燃やすぞくらぁぁぁぁぁっ!!」と。
「お?京、もう帰ってきたのか?お前にしては
早かったな。どうじゃ、釣りにでもいくか?
しかしお前、声変わっとらんか?」
そんな暢気(のんき)な事を言いながら玄関の戸を開ける
柴舟。ただし、入ってきたのは、
血の色をした、大蛇薙であった…。
「あち、あちちち、いきなり何をするか!」
手加減してたらしいとはいえ、まともに大蛇薙を
くらった柴舟は、炎をすぐに振り払ってそいつに
怒鳴りつけた。
「誰が『京』だよ…人違いもいいとこだぜ」
そいつもそいつであっさり言い返す。
「それよりも…京ってのが今のアレ…現草薙の伝承者
なのか?てことはてめぇは元草薙流ってワケか!
ヘッ!腕が落ちてないかどうか!元草薙の実力、
試してやらァ!」
「勝てると思うのか?わしに?元だからといって、
実力は落ちたわけではないぞ」
玄関の外に出て、挑発する『そいつ』を迎える柴舟。
戦闘の開始である。
ラウンド2に続く
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