目立たないのが目立つ男
〜縁の下の力持ち〜


第1話


年齢:18歳
性別:男
身長:160cm
体重:約55kg
得意スポーツ:バレー・バスケ・空手

あなたは、こんな小さな格闘家を知っているだろうか?
そう、あの「室伏軍団」(属性不良軍団)の小さな男だ。

「えっと…名前なんだっけ?」

…っと言った方、無理はない。彼は本当に目立たない。
今回はそんな彼にスポットライトを当ててみようと思う。



それは、ある日の放課後の出来事であった。


「頼みがある!!」
毎日、見ている暑苦しいロンゲの男が唐突に話しけてくる。
この男の名は「室伏 崇」今回はサブ。
とにかくタフで浮気者である。

「今度は何を企んでるんだ?…やばそうなら手は貸さないぞ。」
このセリフを返したのが今回、主役の「木原 武士」小さくても高校3年。
中学生に間違えられることがあるが、力は凄い!背が伸びないのに対して、本人は気にしてない。

「実はさ、8組の女の子とさ、カラオケ行きたいんだけど金がなくってさ!貸してくれ…」
体がでかいくせに小声で言う室伏。
「絶対に拒否!!」
体が小さいくせに大声で言う木原。

「何だよ!!何でだよ!!ちょっとぐらい、いいじゃんか!!」

「阿呆か!!?お前は!この前だってそのネタで俺が苦しんだんだ!!」
顔を青くして木原が叫ぶ。

「ん?この前?」
室伏は何かを思い出そうとしてる。

「思い出せ…この前、お前に金を貸したとき、ボコられたんだ。」
頭を抱えて彼は言う。

「ああ、ホープが「金を貸した、木原クンも有罪。よって、罰を受けるべきである」って判断した時だろ?大丈夫だって、かすり傷で済んだじゃないかぁ〜。」
対照的に笑顔で言う室伏。
ちなみに「ホープ」と言うのは一応「室伏の彼女」である。かわいいけど、怒らせると怖い。室伏も浮気をして、何度か半殺しにされている。

「阿呆!!マウントパンチの刑だったよ!!マジで死にかけたわっ!!」
涙目で彼は叫ぶ。

「あ、かすり傷で済んだのは、その前か。」
すらりと平気な顔して言う室伏。

「そう言う問題じゃない!!とにかく今回に関しては手は貸さないからなっ!!」
とりあえず、木原は関わりたくなかった。

「んだよ…せっかく、お前も誘ってやろうと思ったのに…」
室伏は舌打ちしながら歩いていく。
「…待った!!今なんて言った!」
木原は即座に止める。
「「誘ってやろうかと思ったのに…」って所か?」
「あ…そこそこ…。確か、8組の女子って言ったよな?」
何故か女子に興味を引かれる木原。硬派な彼にしては珍しい。
「何、あっ!まさか…お前も気になる娘いるわけ…?かー!!やるねぇ!!」
「え、ああ、まあ…ね。」
木原は少し赤面して言った。
「金貸してくれたら、誘ってやるよ。智也や青島も来るから。」
「え…?だったら、智也から貸してもらえばいいのに。智也は金持ちだし…。すぐ貸してくれるんじゃないか?」
木原の言葉に「おおぉ!」っと、何か気がつくした顔をした室伏。

「………。」
「………。」





「その手もあったか…っつったら、阿呆だぞ、お前…。」
「…その手もあったか…、はははは…。」

彼は阿呆そのものだ。(断言)
とりあえず、話題を元に戻す。

「じゃあ、ホープにチクるなよ?」
室伏が汗をかきながら言う。
「わかったよ。だけどなぁ…また、バレたら…」
「今度は、マ、マウントパンチだけじゃ、すまねぇぞ!」
室伏が声を震わして言った。

「なぁに話してるのぉっ?」

高めの声が室伏と木原を震え上がらせた。
その声の主こそ、「室伏軍団最強女性」ホープ・グリーンである。

「あ、えっえ、えっと、今度遊びに行くところだよ!な!木原!!」
室伏の言葉に大きく縦に首を振る。

「え?私も行きたぁ〜い!」
無邪気な顔をして、ホープは言ってみせた。
女の子らしい動作が可愛らしいが、室伏達は見慣れていた。

「だ、ダメだ!!今度は男の友情を語り合いたいんだ!!」
木原は咄嗟に叫ぶ。
「そーそー!!」
室伏も目を充血させて言う。

「ふーん…じゃあ、しょうがないかっ!そのかわり今度デートしてよね!室伏クン!」

「ああ!!するよ!!OK!先帰っていいぜ!」

「うん、わかった。夜にメールするね!!」
こういって、彼女は大きく手を振って帰っていった。
ちなみに最近の高校生はこんな会話も多いのです。(実話)

「ふぅ…じゃあ、再来週の日曜日、時間は8時半!わかったか?」
室伏は唐突に言う。
「あ…ああ…。(こいつ、このことバレたら、マジ死ぬな…)」

小さな男は少し不安になった。


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