父の肖像
7
| 突然の巨大ロボ降臨に、三人組はえらくビビっていた。 それもそうだろう、三本足は戦車より少し大きいぐらい、 かくいうレイ・ファーガは、その倍以上、高層ビルぐらいあるのだから。 「あわわわ・・・わわ」 「ど、ど、ど、どうしますアネサン!こ、こ、こ、こんのままじゃあ!」 「がたがた言ってるんじゃないよ!とにかく、先手必勝!後手必敗!」 やつぎばやに、三本足から砲撃が飛ぶ。 だが、しかし。 いかんせんウェイトと装甲の差がありすぎたようで、 奴さんは豆鉄砲喰らったほどにも感じていない。 「くの!くの!くのっ!」 なんかい撃っても無駄だった。 「・・・・・・・・・・・・・・・アネサン。」 「なんだい!?」 「これ・・・」 突然、三本足のモニターに映ったのは、巨大な 足の裏。 「にげろおおおおおお!」の掛け声とともにハッチから 三人の人影が飛び出た。 瞬間、三本足の歩行戦車、オル・ガザメルは、 おもいっきり、踏みつけられて、くず鉄と化した。 振り返りもせず、矢の様に走った三人組は、次第に遠ざかり、 プロトの視界から消えた。 レイ・ファーガから、九月の声がスピーカーに乗って流れてきた。 『やはり、巨大ロボはロマンがありますね・・・』 「おつかれさんでした。」 ぶっきらぼうに、プロトは言葉を返した。 「ただいま。」 崩れ落ちたテントを直している父親に、プロト・・いや、 ジョーンは言った。 「・・・・・連中は、ガス欠になって、自爆した。」 大嘘。だが、真実を知るよりはいい。 世の中は、知っていい事と知らないほうがいいことに分かれている。 これは、確実に後者だ。 「そうか。」 「オレはもう飛行機に間に合わなくなるから、行く。」 「そうか。」 あまり親子とは思えない会話である。 「・・・・・・じゃあ。な。」 と、ジョーンは父に背を向けた。 そのとき、バーナードの口が大きく開いた。 「ジョーン、お前はやりたい事をやれ。」 ジョーンは、パッと振り向いた。 「私に言えない事でもいいから、やりたいことをやれ。それだけだ。」 「・・・・もうやってる。」と、言いかけて、やめた。 プロトに戻ったジョーンは、そのままのらくらと、基地の外に出て行った。 その後、英国防空システムが、上空を飛ぶ巨大な何かをレーダーで、 補足したらしいが、すぐに消えたらしい。 UFOかと騒ぎになったが、誰も、 巨大スーパーロボだとは気付かなかったようだ。 |
| 第8話に進む |
| 第6話に戻る |
| 図書館に戻る |