8×8の勝負
チェス閑話休題
| =チェス閑話休題= フィーア「閑話休題って何を話せばいいの?どうして私たちなの?」 ジーベン「俺たちの出番が多分これから先ないだろうからが二番目の理由だ」 フィーア「最初の理由は?」 ジーベン「本当は後書きに書くはずだったことをここで少し書いておくというわけだ」 フィーア「私たちが出る予定はなかったんでしょう?」 ジーベン「まあ、チェス勝負の理由だな。そして勢力図でもある」 フィーア「……確かに勢力争いをチェスで片付けましょうとかですむほど甘くないからね」 ジーベン「それなら俺たちは必要が無くなるしな」 フィーア「これはクロスオーバーだから細かいことは考えちゃ駄目だよね」 ジーベン「考えてみたら、十三番隊隊長とかお前とかの設定も狂う」 フィーア「大まかにはあわせちゃったけれど、私たちが話していた事件とか」 ジーベン「エルサレム消滅作戦とかだな。あれは聖騎士団が解決してることにした」 フィーア「犠牲者は多かったけどね……」 ジーベン「作者設定だと、いくら俺たちでも救助確率ってのはそんなにない」 フィーア「アメリカの番組とかの救助番組は派手に書いているだけで実際の救助確率は10%にも満たないし」 ジーベン「これは実話だからな」 フィーア「人様のキャラを借りて動かすわけだからこの辺が神経を使うって作者が言っていた」 ジーベン「俺たちは作者が作ったからまだ何とかなるにしろ、涅槃と暦は他の人が作ったからな」 フィーア「快く貸してくださる皆さん。改めてここでお礼を申し上げます」 ジーベン「まあ、何処かのアレのようにキャラが話しそうにないことや意味不明な行動は取らせないようにしてる」 フィーア「……ジーベン、それ、何の話?」 ジーベン「察しろ」 フィーア「出来るだけキャラ設定を読んだり、キャラが出てくる話を読んだりするんだよね」 ジーベン「それでもミスをすることがあるから、作者さんに見てもらったりとか」 フィーア「キャラについては親が一番良く理解しているのかな?つまりは作者さん」 ジーベン「そうでもないだろう。他の人に言われてキャラの一面が解る時もあるし」 フィーア「えっと、これからもチェスをよろしくお願いします。何とか完結させるので」 ジーベン「複線は回収していくからな。そして本格的な後書きは最後の方でだ」 フィーア「……それで、この後は……」 ジーベン「没にした本当は閑話に入れるはずだった話を置いておく」 フィーア「そうなの?」 ジーベン「仮に図書館にアップする時は点線より下はアップしないでクレだそうだ」 フィーア「私の秘密もちょっと解りますので、どうぞ」 ジーベン「……タイトルは豪勢に闇を纏いし者に捧げる輪舞曲だった」 「五人目、と」 「うっ……速すぎ」 相手が倒れるのを数えていたのは、高校生ぐらいの青年だった。片方の手にはナイフを一本持っていた。 気絶をさせただけなのだが、しばらくすれば、起きるだろう。そのしばらくは半日以上立ってからではないと来ないのだが。 沢山のビルがある場所の、そのうち一つのビル。階層は五階ほどだろうか。現在は三階にいた。 「不味いな。段々血のにおいが強くなってる」 「……生きてるのかな?フィーア、心配だよ……」 「何で俺たちが出ないと駄目なんだ」 「借りだって」 「仕方がないか。それより、別の姿になれ」 「嫌なの?」 「それが敵がいるところに行く姿か?」 青年は隣にいる少女を半目で睨み付けた。薄い色の桃色の髪の毛をロングにしていて、それと同じ色の瞳だ。 初デートにでも行きそうな服装を着ている。昨日は確か、少年の姿だった。一昨日は確か赤ずきんの服装をしていなかったか? そう考えて、七浦誠はフィーア・ウィルリラを見ていた。 「酷……雰囲気を変えてみようと想ったのに」 「変えなくても良い。良いか?そう言うのはテレビのあれだけで十分だ」 昨日見ていたテレビを想い出して、誠はおぞましいモノでも想い出したかのように首を横に振っていた。 話しながら階段を上っている。エレベーターでも良かったのだが、万が一のこともあってか、階段にしていた。 ここに二人が来ているのは、六時間ほど前にここを調べていた者達が未だに帰ってこないからだ。 「本当に忙しいよね。あたしたちはさ。借りにあたしたちが暇になっても他が……とかで」 「俺たちが暇になるって言うことは、沈静化しているかか何かだろう。あるいは犯罪撲滅か」 「それはないなぁ……必要なくなるよね。あたしら」 歩いている二人は、足音を全くと言っていいほどに立てていない。四階を覗いて……四階には誰も居ない……五階へ行くことにした。 政府武力組織『ホーリーナイツ』暗躍するテロリストや組織などを倒すために作られた政府公認の武力組織だ。 「何処の連中かは知らないが、手間を増やすな」 「!、……ジーベン……!!」 誠は殆ど名前で呼ばれることはない。七浦という名字の七をドイツ語のジーベンに直した言葉で呼ばれていた。 靴に着いていたのは紅い液体だ。そこから、慣れてしまった匂いがしていた。紅い液体は、絨毯のように 五階にある部屋の一室に繋がっていた。 「吐かない自信はあるか?」 「うーっ、……頑張る」 ドアの前に立つと、一層濃くなる血のにおいを感じながら、誠はノブに手をかけた。 「見るな……フィーア……」 吐かない自信があったところで、こんな状況は見せられたものではなかった。 それは、壊れたマネキン人形が捨てられていたゴミ捨て場のようだ。壊れたマネキン人形は今も腐臭と血のにおいを 放っていて、誠やフィーアのように慣れた……それでもフィーアは眩暈がしていたが……者でなければ立っていることすら 難しいであろう状態。 「……殺された、の?」 「まだ生きている奴がいるな。……お前はこの場を頼む。誰かを呼んでも良い」 フィーアは頷いた。 これ以上言おうとしても声が出ない。部屋の中にいるのは全員で十人はいたかも知れないが、生きているのは少なすぎた。 耳についているイヤーカフスを抑える。 「何処に行くの?」 「呼んでる」 それだけを言うと誠は部屋を出て行く。 「……ナノマシン……」 こみ上げてくる吐き気と涙を抑えながら、フィーアは呟いた。 マザーグースを想い出していた。だらしのない男という歌で、手足や首がバラバラといった歌だが、これはそれ以上だ。 元がなんなのか判別出来ないぐらいに切り刻まれていて、人間をかけるフードプロセッサーでもあるのではないかと ブラックジョークを考えてしまうぐらいだ。……生きている者もいるが、それこそ、生きているだけの状態だ。 警察官も、ホーリーナイツも、一般人も、それこそ、関係のないぐらいに、ここは血塗れで、バラバラだった。 階段を上っていく。 このビルの屋上へと向かうに連れて、身体に静電気が当たるかのようにビリビリしていた。 窓の外から見えるのは、夜。星の輝きがよく見えない。少しだけ欠けてしまった満月に近い月が見えた。 ドアがあった。 片手にナイフを握ると開ける。夜風が誠の着ているコートをはためかせていた。 |
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