悪闘L&A
DARK PHASE 4「HALF PAST 2」
もう、どうしようもないのかと彼女は思い初めていた。
爆弾の止めかたはわからない、この倉庫は開かない。
それに……
「……アテナ…?」
最後の不信感、『友が目を覚ましてくれない』のは、
気宥に変わってくれた。
アテナにとって、この目覚めは嬉しいのほかなかった。
目を覚ましてくれなかったら…
起きてくれなかったら……
「リリスぅ……う……よかったよおおおおっ!!」
涙まじりの声で、まだ痛いはずなのに、嬉しいものを
感じずにはいられなかったアテナはリリスのほうに飛びつ
いてきた。
「はうっ!!」
ただ、リリスも鎖で縛られていたため、飛んできたアテナ
の勢いでバランスを失い、バタンと後ろに倒れることとな
った。
「…うぐぅ」
★
アテナは、リリスにかけられていた鎖を解く。
だが、さっきから手を酷使していたため、手は血の色に
染まり、指の動きもぎこちなくなり、右手首もおかしく
なってしまっていた。
「大丈夫?」
「無理…しすぎちゃった」
相手の手を心配するリリスに、アテナは痛みを覚えながら
も、
笑って答えてあげた。
「それより。ここから早く逃げるわよ。爆弾…仕掛けられ
ちゃったからね」
「ふわ?」
リリスの口がどういうことと言いたげに開いた。
無理もない。彼女は、あの時は気を失っていたのだから。
そのどういうことかの答えに、アテナは倉庫入り口の
赤い四角の物体を指さす。
「あれ」
倉庫の入口に掛かった箱は、爆発まで時間がもうない。
(あと、20分弱…)
付属のタイマーが、それを教えてくれていた。
「……………………」
アテナの顔つきがそのとき、変わった。
☆
「鎖も解けたんだよ。ここから早く逃げよう」
と、アテナを促すリリス。
だが、アテナは、そんなことは耳に入らず、
爆弾をじっと見、さらに微動だにしないでいた。
(もし、爆弾がここで爆発したら……)
仮に自分たちと、この倉庫が爆発するだけならまだいい。
だけど。
無音からしてこの辺一体は倉庫の並び。
仮に、その倉庫がなんらかの理由で使われていて、
さらにあの爆弾の力が予想以上だったら……!
「リリス!」
「はうっ!!」
いきなりアテナはリリスのほうを向いて名前を呼んだ。
それがいきなりだったので、リリスは思わず声が出た。
だが、この次のアテナの言葉は驚きかつ、真剣だ。
「爆弾を解除するわよ」
とりあえず、ここに閉じ込められたときに荷物は何も
とられていない。なら爆弾解体用に何か使えるものが
あるかも。そうアテナは踏んだからだ。
それに、使われてない倉庫一つでも、壊させたくない
気持ちがあるからだ。
「羽根、出して」
「……うん」
アテナの指示どおり、リリスは背中に隠した
赤い翼を引き出す。
こじあけられるのに最適なものがなかったからだ。
「針みたいにして」
今度は針みたいに小さく形を整える。
そうした時に。
「貸して」
アテナはリリスの羽根を掴み、爆弾の下の僅かな隙間から
針となった羽根を入れ、クリクリと動かしてこじあけた。
「開いた!」
残り時間はあと15分。
「悪闘L&A」5
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