悪闘L&A


PHASE 2「まにあいのサイコロ」

俺は……死んだのか……
死んだのか………
…………?

「………え?」
『死』という道を、覚悟していた青年、日野壮介。
しかし……閉じていた目を開いたとき、その目に
見えたものは。

「間一髪……だったわね。壮介君」
間に合った。
壮介の目に見えていたのは、赤い服の袖、グローブ。
それに、赤い光を放つ大きな鏡。
鏡は、爪というものによって貫かれはしているが。
「………へぇ……脱出してたんだ……やっぱり」
爪の男、トガイはそれだけ述べると、リフレクターから
爪を引き抜いて距離をおいた。
ただ、その後ろには。
「動かないで」
運命の金の矢、ロビンフッドアローを持ったリリスが、
トガイの後頭部に矢を当てて構えていた。
「……フン……いい待ちだね」
目だけを後ろに向けて、答えた。

「麻宮……アテナ」
その名前を、壮介は横に転がっていた彼女の目を
見ながら、うわごとのように口を動かしていた。

(なぜ俺は…助けられなきゃなんねぇんだ……?)
(なぜあいつらは……お前らを『騙した』俺を助けようと
するんだ?)
内心、そんな考えを無意識に催す。
たしかに助けられる義理なんてない。
そればかりか、彼は…
「騙してた……か。言われてみると、確かにそんな気が
しないでもないわね」
半身を起こして、麻宮アテナはそう言った。
「え……」
自分の考えていたことを悟られ、壮介は一瞬あせる。
「なんで、俺の考えが……」
「ごめんね。テレパシー…他人(ひと)の心を見る力で…
あなたの考えてたこと、さっきまで何があったか
解っちゃった」
「……………お前……」

これを聞いて、壮介の顔から、さっきまでの非常さが
消えていく。
こいつら……ホントは信用がきくんじゃねぇか?
あいつのほうが……ホントの『相手』なのか?
そうだと思うぜ……

「なぁ……」
「喋らないで。その傷を治してあげるから」
一度壮介の喋りを止め、キズだらけの彼に、両手をかける
アテナ。
青い、目映い光が、彼を包む。

「……これで、動けるはずよ」
「……ああ……傷が……ねぇよ。ある意味恐ろしいな」
「ふふ…」
あれだけの大怪我。普通の治療では1ヶ月以上かかる
ようなものを、あの光だけで完治させてしまった。
「……お前なら、あの馬鹿男をなんとかできっかもな」



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