悪闘L&A
PHASE 6「KU.RO.YU.ME(後)」
アテナに向かってきた黒い影。
それは……黒が赤にとって代わられる前ぶれなのか。
「ふふ……」
ついに、トガイがアテナのところまでやってきた。
恐怖に脅え、屈み、何も見ることができない彼女のもとへ
。
「悪夢へようこそ……」
トガイはそういうと、アテナの前髪を掴み、沈んでいた
彼女の顔を自分の目線と同じ高さに引き上げた。
頭を引き上げる際に邪魔な両手は、払った。
「……くっ」
その時、やっとアテナから声が出た。
無理矢理という形で、なおかつ、悲痛な叫びであるが。
アテナもトガイの手を掴もうと、抵抗をしようとした。
その抵抗はできなかった。
地面に捨てられた。
衝撃は地を這う水でいつもよりは軽いが、それでも
頭から足に伝う衝撃は辛いものがあった。
「ああっ!!」
しかし……
『こんなもの』なのだ。彼にとっては。
「そろそろ……遊びにいこうか………」
「僕の教室に、地獄になぁ!!!!」
☆
そのころ。
「無理しなくても……」
「だめだリリ。無理でもしねーとあいつが危ない」
「『あいつ』って……アテナ?」
「ああ」
魔物の少女の肩をつかって、切り傷、刺し傷でカラダが
いっぱいの壮介があいつのもとへ向かう。
アテナと、トガイのところへ。
ちなみにいつから呼ぶようになったのか、リリスは
壮介に『リリ』と呼ばれていた。
「でもよ、本当にこっちの道で合ってんのか」
「…………………はうぅぅ〜…………」
ただ…どうもリリスがあの二人のもとにいける
道を適当…もとい、女の勘(『女』?)で歩いているせいか
、
労力を費するわりには目的地へ辿りつけない。
「……少しは考えて歩けよ!」
「はうっ!!」
そう迷いに迷っていると目的を見失う人も。
壮介はリリスにゲンコツ1発をお見舞いしようとし、
リリスはそれに恐がって目をつぶった。
と、その時。
「……おい……リリ……」
「……うぐ?………!まさか……」
水に乗ってきたのは、赤き流れ。
「壮介!アテナが危ない!」
空が黒い雲に覆われてしまった。
雫という雫、流れという流れが、土やコンクリートに
開けられた穴に吸い込まれていく。
そして夢もココロも、カラダも。
「赤い水がまだ流れてきてる…」
「おい…マジか」
赤い流れ……血の流れを二人は追っていた。
歩くほどに濃くなる流れ。
なぜなら、これがまさかとは思うが……
「とにかく急ぐよ!胸騒ぎがする」
★
「……どうして……ここまでするひつよ……があるの…」
再び体じゅうを裂かれることとなる少女。
今はあいつの手が首に僅かに食い込んでおり、
それで適当な建物に架けられている状態。
力が入らない。
「……知りたいか……」
そんなことでトガイの心はおさまったりなんかが
するわけは決してない。
それどころか、彼は小さくなっていくアテナの様子が、
楽しみでしかたがない。
「好きだからさ。こうも君みたいな子が………
傷ついて、悶え苦しんで死んでいく様子がなあ!!」
トガイはアテナの右肩から左腹部にかけて、あの爪で
斜めに勢いよく引き裂いた。
「ああああああーー!!」
引き裂きの痛みが彼女を叫ばす。
「君は殺される使途イエスキリスト」
次にはその傷口の一つに爪を刺し、グリグリと
中で動かしてさらに痛みを与える。
「殺されるのならもっと聞こえるように叫べ!」
それがトガイ流の礼儀。
涙がこぼれる。
体だけではない。ココロも痛い。
どうしてここまでされなければならないの?
あなたの技は憎むことしか感じられない。
あなたの心は殺す心しか見えない。
………あたし……力が入らなくなってきちゃった……
「ちょっとハリキリすぎたかな……女がダイナシ……
かも」
笑みをつくりながら爪につく血を嘗め取る彼。
「……っく……………」
彼女は血を多く流し、ぐったりと雨に当てられた状態で
倉庫に架かっていた。
一粒の涙あって。
あたし……未来への希望は捨てたくない……
たとえそれがあたしの生命を落とすことになっても。
でも……
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