悪闘L&A


PHASE 9

路上は濡れていた。
みんなも濡れそぼっていた。
それは雨の所為の『カラダ』と、闘いの所為での『ココロ』。

これを日のごとく乾かしてくれる太陽のような女が側に
いるとは思わなかった


「フゥー…フゥゥ……」
もはや、さっきまでの無いようで実はあったこいつなりの
甘さはない。
トガイの怒りは頂点だった。
大きく息を吸い込み、そして、


『コオロォシテヤルルルルゥゥゥ!!!!』

その叫びに木が揺れ葉を枯らし、はばたく鳥を殺し、
見える者すべてに苦しみを与えた。
「くっ……!!野郎……!!」
壮介も動きたい、トガイの叫びを止めたいのだったが、
あまりの叫びの力に、体が押し潰されそうな感覚が生まれ、
体ひとつ動かすこともできないでいた。
「……この重圧感は何……?」
そしてリリスも動けぬまま、トガイを見つつ
また何か強烈な重圧感を感じていた。
「コロス……生きる者は生きる価値などないいいい!!」
奴が奇声とともに歩いてくる。
「生きるということは!即ち!!」
トガイの目が光り、口が開いた。
「な!?」
「………いったい何が」
トガイの口に、エネルギーが満たされていく………
死の始まり。
「死ぬことなンだよォオオオオッ!!」

「おやめ」

「!?」
その言葉ひとつで、トガイは充填をとりやめた。
そこにいたのは、あのアテナ。
「まさか!貴様、あの俺の叫びを感じないというのか!!」
トガイの叫びの力は、この惨状を見て明らかである。
木々は見事なまでに枯れはて、水は黒く汚れ、
空も黒くなり、生きる者を殺すほどで、
現に目の前には体を動かせなくなった者が二人いる。
それほどの力の影響をまるで受けてないアテナ。
「あなたを…倒す!」
            ☆
「アテナ」。
赤い髪の、赤い瞳の聖女。
それはいまの麻宮アテナの姿であり、
今の人格でもあった。
別名『鳳凰』。
このアテナは、悪を、倒す神か。
「光影浄化(ライトシャドウ・ブレス)!」
アテナは両手から薄赤色の光を発して
トガイに光を浴びせた。
「ぐうううっっ!」
トガイは目をすぐさま抑えたが、時は遅かった。
行動が間に合わなかったため、目がくらみ、
『力』がきれてしまったのだ。
(これで…リリスと壮介を…解放できる)

「う……」
「……どうやら……やってくれたようだな。あいつ」
トガイの『力』が一時ながらきれたので、
リリス、壮介の二人は立ち上がろうとしていた。
「しまっ……!!」
(やった!)
トガイは余裕がなくなっていき、逆にアテナは表情が
軽くなっていく。
「何故…こんなことになる…!なぜお前らは助かる!!」
くっそおおお…!こんなことはあるはずがない!!」
屈辱だ、失態だ、愚かなことだ。
自分の最悪とも云えるミスに、トガイは声をはりあげ、
地面にしゃがみこんで拳を突いた。
その動きが、小さく水溜まりを跳ね上がらせた。
「残念がるのは、それまでだぜ」
「何!?」
「今度はこっちの攻撃のラウンドだよ」
「……………くっっ!!」
壮介、そしてリリスも完全復帰。
「二人とも。準備はいい?」
そして赤髪の「鳳凰」アテナを交え、
「……貴様らァ……!!」
本当の、闘いがいま始まる。



「悪闘L&A」16へ
「悪闘L&A」14へ
図書館に戻る