カプエス
DJステーションシリーズ
『新・BOFストーリーズ』

ライブ11

作者 タイ米

 とある日のキムプロ事務所。
 1本の電話がかかってきた。
 秘書のチョイが応対する。
「はい。こちら、キムプロでヤ…」
「おい、貴様! 高嶺響がまだスタジオに到着していないが何をしている!?
すでに5時間待ちだぞ!!」
「そ、その声はロレントプロデューサー!」
 響の曲のプロデュースをしているロレントからクレームが入る。
 それが終わらないうちに次の電話が入る。
 今度はチャンが応対する。
「はい、キムプ…」
「おい、トーク番組『ごきげんどう?』のディレクターの嘉神だが、高嶺響さ
んはまだ到着してないのか? こちらは10時間待ちだ…」
「そ、それが未だ行方不明中で…、こっちも…」
「言い訳は聞きたくない。来るのか、来ないのか。知りたいのはそれだけだ…」
「い、今、全力で捜してるッスよ。実は…」
「なるほど。響さんはどうやら、うちの番組のゲストに来る気はないようだな。
今後は響さん含め、お宅のタレントをゲストに呼ぶ事は考えさせてもらうよ」
「あ、それだけは! 下手な事したら旦那のネリチャギ、いやいや、ゲキが飛
びますって…」
「私も十分、ゲキを飛ばしてるつもりだが…」
「あ…」
「とりあえず、収録は響さん抜きで行う。さらばだ…」
「ま、待って…」
 電話が切れる。
 チョイの電話も同時に切れたようだ。
「ハァ、チャンの旦那。こってりロレントプロデューサーに絞られたでヤンス」
「こっちもだぜ、チョイ。秘書の仕事も楽じゃねえよなぁ…」
 同時に溜息をつく二人。
 そこに、キム社長が現れる。
「どうした、二人とも…」
「あ、旦那! 例によってまた高嶺響へのクレームの電話でヤンス!」
「またか! 彼女は現場にいないのか!?」
「レコーディングスタジオにも、テレビ局にもいないそうッス!」
「クッ、どういう事だ! 彼女が突然、仕事を放棄するとは…」
 その時、アテナが突然、慌てて部屋に入って行く。
「しゃ、社長! 大変です!! 響さんが…、響さんがぁ!!」
「どうした、アテナ君!?」
 直後、響が部屋に入ってきた。
 だが、彼女の様子が明らかに違った。
 顔は黒く塗りつぶされ、両目の辺りには縦に直線が入っている。
 そして何より、スッキリした表情を浮かべ、大量の荷物を抱えていた。
「ハァ! やっぱり最高ですね! BBBのクリザリッドさん!!」
「響くん!」
 キムが呼ぶ。
「あ、社長」
「一体、何をやっているんだね。プロデューサーや番組関係者からは君へのク
レームでいっぱいだぞ!」
「そ、そうでしたか。どうもすみません」
 意外にあっさり謝る響。
 キムもホッと胸を撫で下ろす。
「いいんだ、響くん。わかってもらえれば。今からでも現場へ…」
 と、ここで時計を見る響。
「あ、もうこんな時間ですね。そろそろ次の現場へ行かないと、クリザリッド
さんの入り待ちができない…」
 そう言い、荷物を置いて、どこかに行こうとする響。
「ちょ、ちょっと待ちたまえ! どこに行くつもりですか!?」
「ええ。これから、クリザリッドさんの出演するラジオのスタジオへ。BBB
のファンとして、入り待ちは当然の義務ですからね…」
「響くん! 君の仕事は…」
「今の私の仕事は、クリザリッドさんの追っかけをすることです…」
 そう言い、部屋を後にする響。
「待ちたまえ! アテナくん。後を追いかけて!」
「はい!!」
 部屋を駆け足で出て行くアテナ。
 残った3人。
 チョイが荷物の中身を見る。
「こ、これ! 全部、BBBのグッズでヤンスよ!!」
 袋に山積みにされたBBBのグッズ。
 特に、彼女はクリザリッドの商品を重点的に買っていた。
「社長、これって…」
 見合うキムとチョイ。
「うむ。ただ事ではなさそうだな…」

ライブ12の会場に向かう
ライブ10の過去を振り返る
図書館に戻る