外伝 F・O・W
〜忘れ得ぬ光〜
第8話
作者 神人修羅
| 『鈴鳴君 これが最後のテストだ これを倒せたら 君を新しい『8月』として歓迎しよう 逃亡した『8月』のコピーだ 相手にとって不足はあるまい』 外伝F・O・W 〜忘れ得ぬ光〜 第八話 遠い過去の使命 戦闘用プロテクター? 何故私こんなものつけているの? (どうだ 梨華の様子は) (全てにおいて予想以上の数値が出ております) (無論だこの私の最高技術に 素体はあの『最強の戦闘員』なのだからな 思わぬ拾い物だ データだけならいくらでもあるが DNAデータを直接手に入れるのは中々難しいからな 例の『惨劇』で大半の幹部は蒸発した 今なら残った幹部を始末し暦を支配するのはたやすいことだ) (それと 『素体』のDNAを調べていたら 色々不可解なデータが検出されました) (『奴』は 元々経歴自体が怪しいものだ 今更どんなデータ検出されようと不思議ではあるまい いまは梨華を完成させるのが先だ 今が頃合だからな) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「またあの夢・・・?」 彼女はここ最近彼女は奇妙な夢を見るのだ そこにはまったく覚えのない記憶と 邪悪な眼光を持つ自分が存在しているのだ ふと彼女は 忘れかけていた2年前の出来事を思い出していた 2年前・・・・ 柳崎の地下研究所 扉の出現によっておこされた『世界異変』 その事件の黒幕 柳崎との死闘を繰り広げられた決戦の地である 彼女・・・梨華は 研究所の中枢 心臓部に居た 先ほどから上の階から発していた巨大な黒い波動は消えた 柳崎は倒されただろう 「あとはここを破壊すれば・・・・」 心臓部を制御できる装置は柳崎の体内に埋め込まれている 柳崎が倒されたとなると恐らく制御装置ももはや機能しないだろう そして制御を失った心臓部は暴走をはじめていた このまま暴走を続ければ 研究所は大爆発を起こし 地上の都市は跡形もなく吹き飛んでしまう しかし自分の力をフルに放出し捨て身で心臓部を破壊すれば 被害を最小限に食い止めることができる 無論 彼女の自身もただではを済まないのだが 彼女はそれでよかったのだ 平和の理想郷を作るために戦ってきた しかしそれは柳崎の野望の片棒を担いでるに過ぎなかった そして自分自身の存在も 『自分でない存在』の遺伝子から作られた偽りの存在・・・・ 世界の人々は自分が居なくても 歩んでいけるだろう 偽りの茶番劇も 「・・・・これで全て終わりにします」 心臓部を爆破する覚悟を決めた次の瞬間であった 巨大な柳崎の頭部のホログラフが突如として現れた 「フッフッフ 健気な覚悟だな 梨華よ」 「柳崎?!」 「月影家といい あの格闘家共と言い全くもって忌まわしい存在よ 私もこの研究所も ここまでだが・・・・ 我が野心は消えることはない!!」 「そうは行きません あなたも 私も ここで全て終わりにします!」 そう言い柳崎に向け 気を発射するが ホログラフである柳崎には通用せず 素通りした気は心臓部の部屋の天井を破壊する そして次の瞬間であった 「!!」 柳崎の口から発せられた光の一閃が梨華を貫いていた 「安心しろ 殺しはせん 貴様には本来の使命があるからな・・・・・」 「・・本来の・・・使命・・?」 梨華は薄れ行く意識の中で 柳崎の含みのある言葉に疑問を抱きながら 研究所の心臓部が爆発していくのを感じていた 「ここは」 研究所付近の廃墟で彼女は目を覚ました どうやら爆発による被害は小さく 最悪の事態は免れたようである 「私 生きているの?」 柳崎に腹部を貫かれ なおかつ地下の爆発に巻き込まれたのだ いくら 彼女が常人以上の肉体を持つとはいえ無事でいられるはずがない 彼女は不可解に感じた 貫かれた腹部も無傷である 空を見上げると『扉』は消えており 後に確認した情報によると 柳崎も行方不明の事だそうだ 先の出来事は彼女にとっては 解らず終いだったが とりあえずは終わった 彼女はそう確信していた ・・・・ あれから二年・・・ 身寄りのない梨華は 陣とともに暮らしていた 質素ながら不自由のなかった生活 しかしここ連日の用にみる奇妙な夢 覚えのない 遠い過去の記憶が 彼女に大きな不安感を与えるのであった そしてその不安は現実となり 彼女を悲劇へと追い込むのである そう遠くない日に・・・・・ 続く |