餓狼伝説
〜狙われた狼〜
作者 タイ米
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| テリーとロックは大会会場である、サウスタウンに到着 した。 テリーは、ここに到着したら、必ずと言っていいほど、 最初に立ち寄る店がある。 パオパオカフェ。 サウスタウン一、人気がある喫茶店で、美味しい料理を 安価で食べられるのが、魅力の一つだが、マスターがカポ エラ使いということもあり、ストリートファイトの場も提 供してくれる為、格闘家達の間でも評判の店である。 経営も良好なのか、サウスタウンに二つも店を構える程 にまで成長している。 普段、テリーは一号店、二号店と交互に寄っているが、 今日は二号店に行く事にした。 店に入るや否や、若い店長であるボブが出迎えてくれた。 「やあ、テリーさんにロック君。いらっしゃい!」 テリーとロックが客席に座り、適当にメニューを注文す る。 「いいんですか? テリーさん。例によって、ツケはなし ですよ」 「ハハ、大丈夫だよ。昨日稼いだファイトマネーがあるか ら」 テリーが財布から金を取り出し、ボブに見せる。 「わかりました。テリーさんの為に当店今日だけの特別コ ースも用意いたしますよ」 「頼むぜ、ボブ」 ボブはいったん、厨房に戻る。 数分後、テリー達の頼んだメニューがやってくる。 それを、一気にたいらげるテリーとロック。 その様子を見たボブが、テリーに話し掛けた。 「あの、テリーさん。やはり、ここに戻ってきたのは、例 の大会で?」 「ああ。ボブ、お前も出るんだろ?」 「ええ。まあ、そのつもりです。今回は例え、テリーさん が相手でも負けはしませんので、そのつもりで」 ボブが自信に満ちた表情をテリーに見せる。 対するテリーも笑みを浮かべる。 「ヘッ。期待してるぜ…」 テリーが言ったその時だった。 「おい、お前ら。肝心要のこの俺様を忘れてもらっちゃ困 るぜ!!」 ドアから姿を現したのはムエタイの若きチャンプであり、 テリー達の親友、ジョー・ヒガシであった。 「ジョー。お前も到着してたのか?」 「まあな。後、妙な噂をリリィちゃんから聞いたものでな。 ここに来るのを少し早めた」 「噂?」 ジョーの言葉に耳を傾けるテリー。 「ああ。何でも、ビリーとリッパー、ホッパーの3人が何 者かにやられたって話だ」 「何だって!?」 テリーは今の言葉に、自分の耳を疑った。 「一体、誰に!?」 「わからねえ。だが、その倒した奴らは、今もギースタワ ーに潜伏してるって話だぜ」 「ギースタワーか。行ってみるか!」 テリーが立ち上がろうとしたが、ジョーに止められた。 「いや、今あそこは立ち入り禁止らしい。警備の方も相当 固い。中に入るだけでも結構な手間になっちまうぜ」 「じゃ、どうしろと…」 その時、テリーはカレンから言われたあの言葉を思い出 した。 サウスタウンに来ればわかる。 まさか…。 テリーに言い知れぬ予感が走った。 「ジョー。ビリー達は今、どこにいるんだ?」 「サウスタウン近くの病院にいるらしいが、どうするつも りだよ?」 「そこで真偽を確かめる…」 「ハァ!? テリー、気は確かか? 今の話はあくまで噂 なんだぜ。それに、もし本当だったとして、ビリーが俺達 に事件のことなんか、話してくれるわけないだろ?」 「リリィちゃんはどうしてるんだ?」 「ああ。リリィちゃんも病院に行くって言ってたな。もう 俺らより先に着いてるだろうな」 「だったら、彼女に聞こう…」 テリーが出口に向かう。 ジョーもようやく、テリーの言わんとした事が飲み込め たようだ。 「そうか。お前…」 「誰も、ビリーに聞くとは一言も言ってないぜ!」 「ま、待てよ! テリー!!」 ロックも席を立ち上がり、テリー達の後についていく。 「よし、行くぜ!!」 『おう!!』 テリーの掛け声に、2人が応じる。 3人は駆け足でその場を去っていった。 ボブはその光景を見守っていたが、しばらくしてある事 に気がついた。 「あ! お代貰ってないじゃないか!!」 店の外に出て、テリー達を追おうとしたが、既に視界か らは消え、後の祭りとなってしまった。 ボブは今後の教訓として、テリーにだけは金は前払いに する事を固く決意するのだった。 |