餓狼伝説
〜狙われた狼〜

作者 タイ米


「たく、見つからないな…」
 比較的、人の多い通りに出たテリー。
 レオンの放った刺客を探そうとするも、ここ数十分で
全く収穫はなかった。
「とりあえず、他の場所を当たってみるか…」
 そう言い、この場所を去ろうとしたその時だった。
「おぉぉぉーーっっ!!」
 背後から一人の男がテリーに襲いかかった。
 その男は、一般出場者用のバッジをつけていた。
「チッ。もう見つけられたか!」
 男の攻撃をかわしつつ、呟くテリー。
 敵は後からどんどんわいて出た。
「くそっ。ここじゃ思い通りに戦えない!!」
 テリーは人通りの少ないところに場所を移すべく、駆
け足で逃げていった。
 出場者達も当然ながら追いかける。

 中には車やバイクを使って追いかける者までいた。
 場所を変えたはいいが、あっという間に囲まれてしま
うテリー。
「全く、広いんだか狭いんだかわかんねぇよ。この街は…」
 愚痴をこぼす。
「覚悟はできてんだろうなぁ?」
 テリーに勝ったという名声だけを得たい出場者達は、
狂気にも似た笑いを上げた。
「仕方ねぇ。ここらで一戦といくか!」
 構えるテリー。
 それにつられて、出場者達も次々と戦闘態勢に入る。

『うおぉぉぉぉーーっっ!!』
 一斉に攻め込む出場者達。
 だが、テリーは困ったような素振りは見せなかった。
「言っとくがな。これくらいの人数じゃ、俺は止められ
ないぜ!!」
 そう言い、体を逆さまの状態で、回転しつつ舞い上が
った。
「喰らえ! ライジングタックル!!」
 多くの人間は、この技で吹っ飛ばされたが、これを見
切った僅かの人間は、この隙にテリーに襲い掛かった。
「くっ! 全員は無理だったか!!」
「死ね! テリー・ボガード!!」
 テリーに攻撃が当たるその時だった。
 襲い掛かった人間の一人が、突然悲鳴を上げて倒れこ
んだ。
 皆、悲鳴の方に顔を向けた。
 すると、そこには一人の女性が立っていた。
「ま、マリー!!」
 テリーが叫んだ。
「Hi。苦戦してるみたいね…」
 マリーがテリーを狙う出場者達の顔を見る。
「ふぅん。なるほどね…」
「て、てめぇ! テリーの味方か!?」
 出場者の一人がマリーに尋ねた。
「さて。どうかしらね…」
 不敵な態度を取るマリー。
「ただ、一つだけ言える事があるわ…」
「言える事だと?」
「私はあなた達の敵だという事よ!」
 マリーの大胆な発言に、戦慄が走った。
「当然といえば当然でしょ。仮にあなた達がテリーを倒
したところで、今度は私があなた達を狙う番なんだから」
 確かに、テリーが倒したところでそこで大会は終了で
はない。
 テリーのバッジをギースタワーに届けなければ大会は
いつまで経っても幕を閉じないのだ。
 しかも、届ける間にそれを横取りする事も可能なのだ。
「さあ、どうする。テリーにやられるか、私にやられる
かどちらか選びなさい」
 マリーが一歩、出場者達に近づく。
 それに反応してか、出場者達も一歩後退する。
 ここで出場者達は皆、顔を揃えて何か打ち合わせをし
ている。
 そして、それが終わるや否や、皆、思い思いの方向に
逃げ出した。
「エスケイプ。正しい選択ね…」
 マリーが出場者達の背中を見て、こう呟いた。
「Fu。助かったぜ、マリー」
 テリーが助けてくれた礼を言う。
「いえ。どうって事ないわ。私もあなたに用があったし…」
「用?」
「ええ…」
 その瞬間、いきなりマリーはテリーに向かって構え始
めた。
 この光景に目を疑うテリー。
「どういう事だ?」
「私、あなたの味方なんて一言も言ってないわよ…」
「俺と戦う気か? マリー」
「これも仕事には必要なの。悪いわね」
 マリーの目はどうやら本気である。
「そうか。エージェントの仕事も楽じゃないな…」
 そう言い、テリーも構える。
「俺も探さなきゃいけない奴等がいる。お前がそういう
行動に出るなら、こっちもそれなりの対応をさせてもら
うぜ!!」

 テリー・ボガードとブルー・マリー。

 いきなり、2人の対決が実現しそうになった。


 
第10話に続く
第8話に続く
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