餓狼伝説
〜狙われた狼〜

作者 タイ米

10


 突如、戦うことになったテリーとマリー。
 二人ともいつでも始められる態勢になっていた。
「今回の主催者、レオンに近づく為なの。悪く思わ
ないで…」
「こっちも手加減はできないぜ!!」
 共にジリジリと差を詰める。
 緊迫した空気が周りを包む。

 先に動いたのはマリーだった。
「ストレートスライサー!!」
 当然、この攻撃は読んでいたテリー。
 後方に退き、マリーの隙を誘った。
「見えたぜ! バーンナックル!!」
 マリーが立とうとする中、テリーは拳にオーラを
纏わせ、そのまま突進した。
 だが、マリーには動揺の色は見えなかった。
 それどころか、余裕の笑みすら浮かべている。
「かかったわね。テリー…」
 バーンナックルが当たる寸前のところで、体を横に
反らす。
 それだけでなく、テリーの背後に回りこみ、バック
ドロップを炸裂させた。
「ぐあっ!!」
 あまりの痛さに思わず叫ぶテリー。
 コンクリートの床で頭からぶつかったのだ。
 当然と言えば当然だ。
 おまけに頭部から血が出ている。
「あなたの戦い方はとうに知り尽くしている。私の
コマンドサンボに死角はないわ!」
 マリーがそう言い放つ。
「確かにお前のコマンドサンボは強い。だが、俺だって
このまま終わるわけじゃないぜ!」
 今度はテリーから攻める。
「わかってないわね」
 テリーの放った拳を掴むと、マリーはそのまま空中に
テリーを持ち上げた。
「バーチカルアロー!!」
 浮いているテリーに鋭い爪先が突き刺さる。
 尚もマリーはテリーの首を両足で極め、体ごと地面に
叩きつけようとした。

 その瞬間だった。
「ぐっ…」
 マリーが突然痛々しい表情をした。
 よく見ると、彼女の足にテリーの肘が突き刺さっていた。
 痛みが襲った瞬間に、一瞬だが足に力が抜けてしまった。
 テリーはそれを利用して脱出に成功した。
 マリーも何とか立ち上がったが、予想以上にテリーの
攻撃が効いているのか、足が幾分震えている。
「俺の戦い方は何でもアリなんだ。死角がなきゃ、
強引にでも作り出すまでだ!」
「戦略も何もあったもんじゃないわね」
「当然…」
 テリーが一気にマリーとの間合いを詰める。
 マリーが攻撃を入れようとするも、一瞬テリーの
アッパーが先に入った。
 そして、再びテリーの拳にオーラが纏わりつく。
「バーンナックル!!」
 マリーは攻撃を喰らうのを覚悟した。
 だが、テリーは当たる寸前で攻撃を止めた。
 テリーに纏わりついていたオーラが消える。
「どういう事?」
 テリーの取った謎の行動にマリーが尋ねる。
「これ以上の争いは無意味だ。お前程の手練ならそ
れがわかるはずだ」
「全く。S級エージェントなんて肩書き、つけるん
じゃなかったわ…」
 マリーが溜息をつく。
「それにお前とはやはり味方でいた方がいい。主催
者について知りたいのは俺も同じだからな」

 その時、テリーがある殺気を感じた。
「何だ、これは? 今までの奴らとは段違いの気配
だ…」
 テリーが気配の主の居所を探す。
「そこだぁっ!!」
 地面に拳を打ち付け、パワーウェイブを放つ。
 だが、次の瞬間、パワーウェイブが掴まれ、それを
そのまま投げ返された。
「何!?」
 あまりの速度に、テリーはガードするしかできな
かった。
「い、今の技はまさか…」
 マリーが呟く。
 気配の主が姿を現した。
「見つけたぜ…。テリー・ボガード」
 両手をポケットに突っ込み、白いコートを肩から
重ねている男。
「山崎…竜二!!」
 テリーが叫んだ。
「てめぇから借りたいくつものカリ、まとめてここで
返してやるぜ!」
 舌が山崎の上唇をペロリと嘗め回した。


 
第11話に続く
第9話に続く
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