餓狼伝説
〜狙われた狼〜

作者 タイ米

11


 テリー達の前に現れた山崎。
 彼の胸には赤いバッジがつけられてるのが見えた。
「赤いバッジ! まさか、お前!?」
「レオンに自分を売ったのね!?」
 テリーとマリーが口々に叫ぶ。
「ヘッ。どう思うかはてめぇら次第だ。俺はとにかく、
てめぇを殺せればそれでいいのよ!」
 山崎が指差した方向にはテリーがいた。
「お前がどんないきさつで奴の仲間になったかは知らな
いが、レオンに近づく為だ。何としてもお前を倒させて
もらうぜ、山崎!!」
「来な。命を賭けてな…」
 山崎が構える。
 その瞬間、彼の目が赤く光った。
「!?」
 テリーとマリーは今の光景に驚いた。
「山崎。あなたまさか…」
 マリーがそう言った時、山崎は既に動いていた。
 動揺していたテリーは反応が遅れ、山崎の攻撃をまと
もに喰らった。
「テリー!!」
 マリーが叫ぶ。
「離れろ、マリー! ここは危険だ!!」
「でも…」
「早く!」
 テリーの目が見えた。
 彼は必ず倒すと伝えているのが、マリーにもわかった。
「いいわ…」
 マリーがここから避難する準備をした。
「けど、必ず勝ちなさいよ! 私も山崎に聴きたい事が
あるんだから!!」
 その場を駆け足で離れるマリー。
「オッケィ…」
 小さい声でそう呟くテリー。

 山崎の容赦ない攻撃はテリーがダウンした時にも続け
られた。
「ウラァッ!!」
 全体重をかけた踏み付けがテリーを襲った。
「うぐぁっ!!」
 悲鳴を上げるテリー。
 息も相当に荒かった。
 胸倉を掴み、テリーを持ち上げる山崎。
「どうした。いつもの元気はよぉ…。てめぇへのカリは
こんなもんじゃねぇんだよぉう!!」
 山崎が頭突きを喰らわせる。
 火花が散るほどの威力で、テリーは遠くに吹き飛ばさ
れてしまった。
 近づく山崎。
 テリーも起き上がったが、間もなく頭を掴まれてしま
った。
「あぁっ!!」
「チッ。しばらく見ねぇ間にこんなに附抜けやがったと
はな。もうてめぇはいいぜ。サッサと死にな!!」
 山崎がテリーを舞い上げる。
「アァァァァァッッ!!」
 狂気にも似た叫びが上がる。
 テリーが地面に落ちた。
 それと同時に今まで震えていた右手が、凶暴な蛇の如
く、一気にテリーに襲い掛かった。
「ヒャーッヒャッヒャッヒャァッッ!!」
「ガァァァァァァーーーッッ!!」
 山崎の叫びに反応するかのように、テリーがこれまで
にない悲鳴を上げる。
 体中のスミからスミまで山崎の右手がテリーの体にダ
メージを与えていく。
 そして、最後に今までポケットに手を突っ込んでいた
左手を出す。
 そこからは禍々しいオーラが噴出していた。
「いっぺん死んでこぉぉぉーーい!!」
 空高く打ち上げられたテリー。
 そのまま地面に激突した。
 攻撃を終えると、気を落ち着かせるためか、左手を再
びポケットの中に戻した。

 近づき、倒れてるテリーの前にしゃがみこむ山崎。
 唾を一つ吐き、テリーの後頭部を持ち上げ、表情を確
認する。
 血だらけ、傷だらけではあったが、辛うじて息はあり、
山崎を睨みつづけていた。
 それを見た山崎はチッと舌打ちをする。
「たく、てめぇって野郎はよぉ。どうして俺を怒らせる
のは天才的なんだ、アァ!?」
 テリーが何か口を動かしている。
 だが、声はほとんど聞こえない。
「アァ!? 小さすぎるんだよ。もっと大きい声で喋れ!」
「…オン、ぜ……った?」
「言葉になってねぇんだよ!!」
「…レオンの、仲間に…何故」
 その時、テリーの拳が急に動き出し、山崎の顎を襲っ
た。
「なったぁぁ!!?」
 いきなりの奇襲に、手を思わずついた山崎。
 口からは血も出ていた。
 それに気付いた山崎は血を拭う。
「まだあったのかよ。そんな体力が…」
 テリーが立ち上がった。
 今までのテリーと何かが違った。
 どうやら、彼の中にある狼を目覚めさせてしまったら
しい。
「マリーには悪いが、手加減できそうもねぇ。お前を倒
す前に、レオンの事について聴いとかないとなぁ!!」
「そんなに知りてぇか…」
 山崎が急に右手を突き出した。
 信じられないリーチの長さでテリーの顔面に直撃した。
「俺に勝ったら教えてやるぜ!!」
「どうしても倒されたいらしいな。悪いが…」
 テリーの拳の周りにオーラが現れる。
「どうなっても知らないぜ!!」
 拳を前に突き出し、テリーは山崎に突っ込んでいった。


 
第12話に続く
第10話に続く
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