餓狼伝説
〜狙われた狼〜

作者 タイ米

12


 テリーは山崎にバーンナックルで突っ込んだ。
「ケッ、突進か。くだらねぇ!!」
 山崎が右から繰り出される脅威のジャブ、蛇使いを
放ったその時だった。
「甘い!!」
 テリーが自らの拳を山崎の右拳にぶつけた。
「何!?」
 衝撃で腕を後ろに引っ張られた山崎。
 バーンナックルの勢いはまだ止まらない。
「うぉぉぉぉーーっっ!!」
 山崎の頬にバーンナックルがヒットした。
 遠くに吹き飛び、地面を強く体に打ちつける。
 すぐに山崎は起き上がったが、テリーの攻めの方が
速かった。
 次々とヒットしていくテリーの攻撃。
 ピンボールのように弾け飛ぶ山崎の体。
 まさしく、狼のような怒涛の攻撃であった。

 だが、山崎とてここで黙ってるわけではなかった。
「ガキが…。調子に乗んじゃねぇ!!」
 左のポケットからドスを取り出した。
 そして、それを横に薙いだが、テリーには間一髪の
ところで避けられてしまった。
「そんな武器で俺を止められるかぁっ!!」
 さらにテリーの攻撃は激しくなった。
 ドスも落としてしまい、反撃の糸口もなかなか掴め
ない山崎。
 意識も何度も飛びそうになった。
 体中が痙攣し、全てがギリギリの状態になっていた。

 その時、山崎が自分の右拳をギュッと握った。
 そして、真っ白になりそうながらも、焦点をテリー
に合わす。
 血だらけの状態で、彼は小さく呟いた。
「どこまでも、どこまでも調子に乗りやがって…」
 テリーは山崎の殺気が急に大きくなったのを感じた。
 山崎のアッパーがテリーの顎を襲う。
 避けようとしたテリーだが、山崎の攻撃の方が速か
った。
「この…、アマチュアがぁぁっっ!!」
 テリーの顔面を抑え、後頭部を地面に擦り付ける。
 最後は天高くテリーを持ち上げた。
 倒れるテリー。
 なおも踏みつけ、山崎の追撃は続く。
「このっ! このっ! このっ!!」
 左手は相変わらずポケットに入っていない。
 今の彼には理性はなかった。

 テリーも気絶寸前だった。
 最後の最後で振り絞った気も、限界に近い。
(くそっ! あと一発だけでも!!)
 山崎がとどめの踵落としをテリーの腹にぶつけよう
とした。
 その瞬間、テリーの耳にマリーの言葉が甦った。

「必ず勝ちなさいよ!!」

 テリーの目がカッと見開き、山崎の踵落としを転が
って回避した。
「野郎!!」
 山崎が蛇使いを放つも、それはテリーによって避け
られた。
「お前の技は見切った!!」
 カウンターで渾身のストレートを入れるテリー。
 顔面にまともに受けた山崎は、体が反った状態だっ
た。
「決着だ!!」
 テリーがありったけの気を拳に集約させ、それを地
に叩きつけた。
「パワーゲイザー!!」
「ギャァァァァァーーッッ!!」
 山崎の断末魔の叫びが、街中に響き渡った。
 倒れたのを確認すると、テリーは山崎の元に駆け寄
った。
 そして、胸の赤いバッジを取った。
「これで1個か…」
 テリーが呟く。

 その時、山崎が何かテリーに語りかけてきた。
「おい。テリー…ボガー…ド」
「何だ?」
「教えてやるぜ。てめぇのご所望の情報を…な」
 テリーは山崎の言葉に耳を傾ける。
「早く話せ…」
「へヘッ。俺は…レイ」
 次の瞬間、山崎の体に雷が落ちた。
 反射的に後ろに下がるテリー。
 再び、山崎から情報を聞き出そうとしたが、既に意
識はなくなっていた。
「くそっ。口を割ろうとしたら即座にこうなる仕組み
か!」
 テリーは山崎から情報を得るのは諦めることにした。
「どうやら、直属の部下から情報を聞き出さなきゃな
らないみたいだな…」
 赤いバッジをポケットにしまい、主催者の情報を得
る為、テリーは再び刺客探しに出かけた。


 
第13話に続く
第11話に続く
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