餓狼伝説
〜狙われた狼〜
作者 タイ米
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| 少年が店員達の制止を振り切って奥に入る。 そして、冷たい瞳でテリーを睨んだ。 「よぉ。いつか会うと思ってたぜ」 テリーが話し掛ける。 だが、少年は全く応じない。 ただ一言、こういい捨てた。 「テリー・ボガード。あんたを倒す…」 怪我をしているとはいえ、相手はあのテリー。 少年に勝機があるとは思えない。 しかし、彼は自分の敗北など微塵も考えてない表情を していた。 テリーもそれに応えた。 「OK。やろうか…」 テリーが立ち上がる。 「テリー!!」 「心配するな。こっちも負けるつもりはない」 ロックを安心させると、テリーは構え始めた。 少年も構える。 「言っとくが、怪我したから負けたなんて言い訳はなし だぜ。そんなモンは自業自得だからな」 「もとより、そんなつもりはないさ」 ジリジリと距離を詰めあう二人。 先に動き出したのは少年の方だった。 攻撃を紙一重でかわすテリー。 「HYU。見かけによらず、きつい攻めしてくれるじゃ ねえか」 「まだだぁっ!!」 少年の猛攻は続いた。 しかし、テリーはそれを丁寧にかわす。 実力差は誰の目にも明らかだった。 確かに、少年の腕もその年齢にしては、かなりのもの だ。 だが、いかんせん相手がテリーでは根本的に全てにお いて差がありすぎる。 しかし、それでも少年には諦めの表情を見せなかった。 「でやっ!!」 テリーの拳が、少年の頬を捉える。 仰け反る少年。 ここぞとばかりに、テリーは一気に攻め立てようとし た。 その時、少年がテリーの目を睨んだ。 次の瞬間、彼が腕を突き上げたと同時に、剣状のオー ラがテリーを襲った。 「!?」 反射的にテリーは避けたが、頬には切り傷が一つつい ていた。 少年の懐に飛び込むテリー。 「うらぁっ!!」 渾身のボディブローが少年を襲う。 腹を思わず押さえる少年。 行動不能にするには十分な攻撃だった。 「勝負あったな。少年」 「ま、まだだ…」 痛がりながらも決して諦めようとしない少年。 「その根性は見上げたものだ。だが今の状況を見ればわ かるはずだ」 「状況が…だからなんだ!? 俺は、こんなところで立 ち止まるわけには、行かないんだよ…」 苦しい表情をしながらも、力を振り絞って喋る少年。 「似てるな。何もかも…」 テリーが呟く。 「こっち来いよ!」 少年を誘ったテリー。 当の本人は、何が何だかわからず困惑気味だった。 「な…に!?」 「いいから!」 テリーが無理矢理少年を席に座らせる。 そして自分も少年の向かい側に座った。 「一体、あんたは誰に復讐したいんだ?」 「!?」 急に驚いた表情をする少年。 「俺もあんたみたいな人種だった。復讐する者の顔は見 ればわかる」 「……」 「名前、聞いてなかったな」 少年は少しの間、黙っていた。 だが、次の瞬間に口を開いた。 「デイル。デイル・クラウンだ」 「デイル…ね。で、あんたを復讐の少年にした張本人っ てのは一体誰だい?」 「今回の主催者、レオン・バーンズ。あいつが俺の親父 の『仇』だ!!」 レオン・バーンズ。 その名を聞いた瞬間、周りの空気が一気に凍りついた。 |