餓狼伝説
〜狙われた狼〜
作者 タイ米
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| 一人の命の灯がまさに消えかかろうとしている。 彼の名前はロイド・クラウン。 マーシャルアーツの天才と呼ばれた格闘家である。 傷だらけの彼の姿を見つけた少年は、ロイドの元に 駆け寄った。 「父さん!!」 「で、デイルか…」 ロイドは力なくデイルに話し掛けた。 「酷いよ、この傷。誰にやられたの!?」 「知って…どうする?」 「決まってるじゃないか! 仕返しの為にそいつをぶ ちのめすんだよ!」 「父親思い…なんだな。嬉しいよ。たった一人の我が 子が、こんな風に育ってくれて…」 精一杯、息子に笑顔を振りまくロイド。 「だがな、デイル。お前にはまだ早い。あいつは…、 レオンは強すぎる」 「レオン?」 「奴は、全てにおいて私を圧倒している。おかげで… このザマだよ」 幾つもの格闘大会で優勝をかっさらっているロイド にしては、いつになく弱気な発言だった。 それほどまでに、レオンという男の力は凄まじいの だろう。 「とにかく、まずは病院に行かないと…」 デイルがそう言うと、ロイドは首を横に振った。 「わかっている。私の命は…もうすぐ尽きる」 「え?」 ロイドの言葉が、デイルに深く突き刺さった。 「だから、デイル。これが私の最期の教えだ…」 「そんな…ダメだよ!」 デイルが目に涙を溜める。 今にも流れださんばかりの勢いだ。 「デイル、強くなれ。今より…もっと、誰より…ずっ と」 「父さん…」 「デイル…」 ロイドの目が徐々に閉じようとしている。 呼吸もどんどん小さくなっていく。 「すまない。お前を…一人ぼっちにし、て」 一人の命の灯が消えた。 彼の名前はロイド・クラウン。 デイルを生んだと同時に亡くなった母親の代わりに、 男手一つでデイルを育てた。 ストリートファイトで稼ぎ、無敵の強さを誇ってい た父親を、デイルは心の底から尊敬し、目標とした。 「〜〜〜〜〜〜!!」 涙を大量に流し、悔しさを、悲しさを全身で表現す るデイル。 そして、次の瞬間に彼は叫んだ。 「父さんーーーッッ!!」 数時間、彼は涙枯れるまで泣き続けた。 夜、デイルはロイドの遺体を自宅まで運び、彼を土 に埋めた。 (父さん…強くなるよ。そして、いつか必ず…) デイルが心の中で固く決意しようとしたその時だっ た。 「そうか。死んでしまったのか…」 背後で聞き慣れない声がした。 振り返るデイル。 そこにいたのは金髪の男。 髪型からか、その姿は獅子を思わせた。 「誰だ、あんた!?」 「レオン・バーンズ。あんたの親父を殺した男さ」 「!?」 デイルの中で衝撃が走った。 |