餓狼伝説
〜狙われた狼〜

作者 タイ米

17


「なるほど。道理で似てる訳だ」
 これはデイルの話を聞き終えたテリーの感想だ。
「これでわかっただろう。俺は何としてでも、親父の
仇を討たなきゃならねぇ。その為には、こんなところ
でのんびりしてる暇はないんだ!」
 デイルが席から立ち上がり、再び戦闘の姿勢を取っ
た。
「まだ戦いは終わっちゃいねえ。構えろ、テリー!」
 復讐にこだわる少年の顔を見て、テリーは一つ、大
きな溜息をついた。
「お前の気持ちもわかる。だが、お前はレオンへの復
讐が済んだら、どうするつもりなんだ?」
「決まってるだろう。親父の言葉通り、今よりも、そ
して誰よりも強い奴になる為に生きていくだけさ」
「そうか。なら、この道を歩んだ先輩として、お前に
一言だけ言っておくぜ」
「?」
「復讐の後に残るのは『喜び』じゃない。『虚しさ』
だけだ」
「どういうことだ?」
 言葉の真意が掴めず、デイルはテリーに尋ねた。
「お前はレオンを『殺した』後、それを全て受け止め
られるか?」
「一体、何言ってやがんだ!?」
「俺の言ってる意味がわからないんだったら、復讐な
んてのはやめた方がいい。お前みたいな少年には、少
々きつすぎる行動だぜ」
 そう言い、テリーは店の外に出ようとした。
「逃げるのか!?」
「追いたきゃ追いな。その代わり、こっちも容赦しな
い」
 テリーの気迫に、デイルは何もする事ができなかっ
た。
 そんな彼の姿を見て、テリーは黙って店を後にした。

「くそぅ! どうすりゃいいんだよ!!」
 デイルはテーブルに拳を思い切り叩きつけた。
「あいつなら、テリーならわかってくれると思ったの
によぉ!!」
 デイルの目には大量の涙が溢れていた。
 やはり、彼もまだまだ少年であった。
 その時、デイルの肩を誰かが叩いた。
 振り向くと、そこにはロックの姿があった。
「あんたは?」
「俺もあんたに話がある。少し付き合ってくれないか?」
 デイルは何も言わず、ロックの後について行った。

 テリーは刺客探しを再開しても、依然としてデイル
の事を考えていた。
(やはりあいつは昔の俺だ。だからこそこれ以上、俺
の二の舞になる奴だけは作っちゃいけないんだ。これ
以上は…)
 テリーが考えに耽っていた時、ふと視線に誰かが地
面に横たわってるのを発見した。
 しかも凄い出血量だった。
 ハッとしたテリーは、倒れてる人物の元に駆け寄る。
 すると、その人物の正体にテリーは愕然とした。
「ま、マリー!」
「何、やってるの…よ、テリー。遅い…じゃない」
「一体何だよ、この傷。誰にやられた!?」
「あら? 始末の最終段階に入ろうって時に、お目当
ての人物がやってきたわね」
 声の方を振り返るテリー。
「お、お前は、あの時の!?」
 そこにいたのは、テリーにキング・オブ・ザ・ファ
イターズの招待状を渡した女であった。
「久しぶり。私の名はカレン・ローズ。あなたのター
ゲットであるレオンの刺客の一人よ」
「レオン、ディン、オオトモ、そしてお前で4人目か。
カレン!」
「そうね。今日はあなたの力を拝見させていただくわ」
「OK。存分にかかってこいよ!」
 両者共、戦闘の構えに入った。
 周りの空気が張り詰める中、再び壮絶な戦いが始ま
ろうとしていた。


 
第18話に続く
第16話に続く
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