餓狼伝説
〜狙われた狼〜
作者 タイ米
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| 今にも戦わんばかりの気配のテリーとカレン。 「行くぜ!」 「来なさい!」 テリーが突っ込もうとした時、マリーが立ち上がり、 その行く手を塞いだ。 「ま、マリー! 何やってんだ! そこをどけ!!」 「何言ってるのよ。カレンと私の決着はまだついてな いわ」 テリーの猛りに、静かに応えるマリー。 「フン。そんな怪我で、しかも私の動きも見切れない あなたに何ができるというの?」 カレンが馬鹿にするように尋ねる。 「私はS級エージェントのブルー・マリーよ。どんな 状態であろうとも確実に仕事はこなしてみせるわ!」 マリーが力の限り叫ぶ。 「見上げたプロ意識ね。だけど、それだけではどうに もならない事もあるんじゃなくて!?」 カレンが移動すると、マリーとの差を急激に詰めた。 「速い!!」 テリーをして、そこまで言わせるカレンのスピード は尋常ではなかった。 「私の武器はスピードだけじゃないわ!」 そして、彼女の手刀から繰り出される斬撃。 マリーの体から、またしても血が流れる。 見ると、体中のあちこちに切り傷が出来ているのが わかる。 「まさか、これ全部…」 「そう。私がつけた傷よ。テリー!」 できることなら、今すぐにでも援護攻撃したいテリ ー。 しかし、カレンのスピードが速すぎて、ろくに照準 も取れない状態だった。 「ぐっ!!」 また一つ、マリーのガードの上からカレンが大きな 切り傷をつける。 「無駄よ。私の攻撃にガードは通じない。あなたはそ のまま切り刻まれながら、死んでいくのよ!!」 息が荒く、まともに相手を見る事も出来ないマリー。 カレンはとどめを刺すべく、マリーに向かって行っ た。 「せめてもの慈悲よ。究極の技であなたを殺してあげ る!!」 「うぁぁぁぁぁぁーーーっっ!!」 マリーの叫びと共に、流れるような連続斬撃が彼女 を襲った。 その威力たるや、先程までの攻撃の比ではない。 最後にマリーの心臓部に、カレンが手刀を突き刺そ うとしたその時だった。 「!?」 マリーが血だらけになりながら、カレンの手刀を掴 んでいた。 「忘れたのかしら? 私はコマンドサンボ使いよ!!」 相手の手を掴んだまま、巴投げをするマリー。 カレンは宙に浮くも、態勢を整えようとした。 だが、マリーの追撃が一瞬速かった。 「M.ダイナマイトスイング!!」 相手の体を地に叩きつけた後、ジャイアントスイン グでカレンに大ダメージを与えた。 しかし、カレンもまだ反撃する余力は残していた。 「甘いわ!」 だが、カレンの反撃の手刀は虚しく空を斬った。 「何!?」 「私が何の為にあなたの技を喰らったかわかる?」 マリーがカレンの首を両足で挟む。 「あなたの全ての技のタイミングを、全てこの体に刻 む為よ!!」 マリーとカレンの体が空中で一回転する。 「M.タイフーン!!」 一撃必殺のフランケンシュタイナーが見事に決まっ た。 この威力の前には、カレンも完全に反撃する体力を 無くしてしまった。 「どうかしら? 私のコマンドサンボの味は」 「激マズね。私はあなたの体に切り傷ではなくて、技 のタイミングを刻んでいたわけ?」 「まあ、そういう事かしら?」 「…喰えない女」 「最高の誉め言葉よ…」 そう言い、無抵抗の彼女から、マリーは黄色のバッ ジを奪い取った。 「マリー…」 駆け寄ったテリーが、マリーに肩を貸す。 「サンクス、テリー」 「たく、無理をしやがって…」 「まあね。おかげで戦いの最中から、奴らの事に関し て色々聴けたけど…」 「本当か? とにかく、その話は後だ。今は病院に行 くぞ」 「ええ…」 テリーとマリーがその場を離れようとしている。 (私が…負けた!? このままではレオン様に捨てら れる!) カレンの手が辛うじてまだ動く。 (私は今まで、レオン様の手となり足となって生きて きた。そしてこれからも…) カレンの手がテリーの背中に照準を合わせる。 (こんなところで…、こんなところで任務を失敗する わけにはいかないのよ!!) カレンの体が動いた。 目指すはテリーの背中。 カレンの捨て身の攻撃。 だが、それが成功する事はなかった。 彼女の後ろから、何者かが襲ってきたのだ。 「ぐっ!」 倒れるカレン。 攻撃された方に振り向き、彼女は驚いた。 「お前、何故ここに!?」 「奴は俺の獲物だ。勝手に取るんじゃねぇ…」 その人物は頭にバンダナをしており、三節棍にもな る棒を所持していた。 「……」 「それからもう一つ…」 バンダナの人物の眼光が鋭く光る。 「気ィ失う前に、オオトモとか言う奴の居場所を教え てもらおうか?」 彼の名はビリー・カーン。 ギースタワーで受けた屈辱を晴らすべく、今、この サウスタウンに復活した。 |