餓狼伝説
〜狙われた狼〜
作者 タイ米
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| ホンフゥのヌンチャクが出場者達を蹴散らす時間は、さ ほど時間がかからなかった。 「てめぇ! この女の命がどうなっても…」 脅しが終わる前に、ホンフゥはリリィを救い、ヌンチャ クで取り押さえていた出場者を気絶させた。 「と、一丁上がりばい!」 「あの、ありがとうございます」 リリィが礼を言う。 「いや、これも刑事の仕事ばってん、どうっちゅうことな か!」 そう言うも、ホンフゥもまんざらでもない表情をしてい た。 「全く、おいしいところ取りやがって」 テリーがホンフゥを小突く。 「ヘッ。あんたに言われたくなか」 ホンフゥも返す。 二人とも笑いあっていたが、すぐに話題を変えた。 「ところで、リリィちゃん。何故ここに?」 テリーが尋ねた。 「実は、兄が…病院から姿を消したんです!」 「何だって!?」 「畜生。サウスタウンってこんな広い街だったか?」 ジョーが愚痴をこぼしている。 今まで、レオンの刺客を見つけていなかったからだ。 「それとも、俺様が来てるってのに気付いて、恐れて いるのかなぁ?」 ジョーが途端に笑い出す。 その時、背後から何者かが攻撃を仕掛けてきた。 「!?」 すかさず、ジョーは避けた。 「てめぇ!」 「寝言は寝て言え、ボケが!」 そこにいたのはビリーだった。 「病院にいたんじゃなかったのか!?」 「ざけんな! あんな窮屈な所、一秒だって入れやし ねぇ。それに、俺にはやるべき事があるんだよ!」 「やるべき事?」 「この辺にいるはずだ。俺の獲物がな…」 「獲物…だと?」 陰から姿を現した大柄な男。 彼は胸に青のバッジをつけていた。 レオンの刺客だった。 男は、ビリーの姿を見て驚いた。 「貴様、戻っていたのか?」 「まあな。てめぇにはどうしてもカリを返しとかなく ちゃ収まらねぇんだよ!」 ビリーが構える。 「まさか、こいつがお前を病院送りにしたっていう…」 ジョーが尋ねる。 「いちいちうるせぇ野郎だなぁ! こいつがその張本 人のオオトモって奴だ!」 「なるほどね。格闘家って出で立ちじゃねぇが、闘気 だけはビンビンと伝わってきやがる」 ジョーが武者震いをする。 「言っとくが、てめぇの出番なんざねぇぞ! こいつ は俺が倒すからな!」 「そこを譲っちゃくれねぇか。俺もリリィちゃんを悲 しませた野郎を許しちゃおけねぇんだよ!」 ジョーも構える。 「てめぇの口から妹の名を出すんじゃねぇ。次は燃え カスにしてやんぞ!」 「まずはこいつからだろ?」 「だからこいつは俺の…」 その時、ビリーがかなり遠くまで吹き飛ばされた。 オオトモの一発のパンチによって…。 ビリーも辛うじてガードしたが、その威力はそれを 易々と突き抜けるほどだった。 「私は二人同時でも構わん。戦力的にはそれで十分だ ろう…」 オオトモがそう言ってのける。 「ヘッ、馬鹿言っちゃいけねぇ。この地上最強のジョ ー様を、こんな病人と一緒にすんじゃねぇって!」 「誰が病人だと! コラァ!!」 立ち上がるビリーをうざがるジョー。 「オオトモとか言ったな。ちょっと待ってな」 オオトモを待たせ、ビリーの方に近づくジョー。 「何だ、てめぇ!」 すると、ジョーがいきなりビリーを攻撃した。 「!?」 一発目のストレートをガードするも、その後のロー キック、リバーブローを連続で喰らってしまった。 「てめぇっ!!」 腹を抱えこむビリー。 「まだベストじゃねえじゃねえか。そんな反応じゃ、 あいつには何もできねぇ。しばらくそこで休んでな!」 「くっ!」 動こうとするも、体が言う事を聞かない。 ジョーは再び、オオトモの方に戻っていった。 「いいのか? 人数は多い方に越した事がない」 「勘違いしてねぇか? これはKOFだぜ? やるな らタイマンに決まってんだろうが!」 ジョーが構える。 「さあ、始めようぜ!」 「身の程知らずめ。命の保証はしないぞ…」 ゆっくりと構えるオオトモ。 いよいよ2人の戦いが始まる。 |