餓狼伝説
〜狙われた狼〜
作者 タイ米
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| ジョーとオオトモの戦い。 2人は隙を伺っていた。 (なるほどね。動いた所を狙おうってハラか。ならば…) 先にジョーが動き出した。 「行くぜ!!」 ジョーが攻撃を仕掛ける。 オオトモは丁寧にそれをかわしていった。 「でかい図体の割には、随分と消極的じゃねぇか!」 ジョーが挑発する。 「消極的? 無謀な攻めはしないだけだ…」 ジョーの攻撃の一つに照準を合わせ、カウンターを放 つ。 それは、すんでのところで空を斬った。 「当たったら重そうな一発だ。だがな…」 ジョーが懐に飛び込む。 「当たらなけりゃ意味ないぜ!!」 ボディブローが炸裂した。 これを皮切りに、ジョーの怒涛のラッシュが襲いかか った。 主導権は完全にジョーが握っていた。 「オラオラァッ! どうした!? 反撃してみやがれ!」 辛うじて、ガードをしているオオトモだが、ジョーの 必殺級の連続攻撃の前には、反撃の糸口すら掴めなかっ た。 ジョーの拳が、オオトモのガードをこじあける。 「これで終わりだ! スラッシュキック!!」 オオトモの腹に、ジョーの鋭い蹴りが突き刺さった。 壁に激突するオオトモ。 ジョーは余裕の表情だった。 「ヘッ。どうしたよ? ビリーを倒した実力ってのも、 その程度なのか? それとも俺様が強すぎるだけか?」 ジョーの言葉に反応するかのように、オオトモは起き 上がった。 「なるほど。伊達にムエタイのチャンプは張っていない ということか。だが、様子見はこれで終わりだ」 オオトモが再び構える。 先程とは、噴出している気の量が違う。 「ほう。ついに本気になったかい?」 「本気…か」 すると、急にオオトモは視界から消えた。 次に現れたときは、ジョーの目と鼻の先にまで間合い を詰めていた。 「何!?」 「ヌゥゥゥゥゥゥゥンンンッッ!!」 オオトモのストレートが、ジョーの顔面にヒットした。 衝撃は凄まじく、かなり遠くにまで吹き飛ばされてし まった。 尋常じゃない破壊力に驚きを隠せないジョー。 「何だよ。まだ相当な一撃を残してるじゃないか…」 「そうだな。今のが大体7割くらいの力だ…」 「!?」 今の状態でも、まだ手を抜かれていた事にさらに驚く。 「これで7割だと? 冗談じゃねぇや。本気になったら 一溜まりもないぜ」 「だから言ったのだ。一人では無茶だと…」 「馬鹿言うな! 喰らわなけりゃいいだけの話だ!」 ジョーが突進する。 先程よりもさらに厳しいラッシュがオオトモを襲う。 「本気じゃないのがてめぇだけかと思ったかよ!?」 「甘いな…」 「!!」 ジョーの攻撃をスウェーで避け、隙に攻撃を当てる。 今度はジョーもガードしたが、衝撃はその上からでも 十分伝わった。 「くそっ!」 ジョーがガードを解こうとした瞬間、オオトモはまた もや距離を詰めていた。 既に攻撃モーションに入っている。 「ケッ。そう何度も同じ攻撃を喰らうか!」 ジョーが飛び上がり、オオトモの脳天に踵をぶつけた。 「黄金のカカトォッ!!」 仰け反ったところに、ジョーが再び懐に飛び込み、パ ンチの連打を浴びせた。 「爆裂拳!!」 最後のアッパーまで綺麗に決まった。 しかし、オオトモは倒れなかった。 「ぬるいな…」 オオトモはまっすぐジョーを見つめていた。 急にアッパーが襲ってきた。 ガードを敢行するジョー。 だが、オオトモのアッパーの方が先に入った。 空高く、舞い上げられるジョー。 オオトモも飛び上がり、両拳を組んで、ハンマーの容 量でジョーを叩きつけた。 「ガァッ!!」 腹にも大きい衝撃を受けたジョー。 何本か骨が折れてしまったようだ。 着地するオオトモ。 ダウンしているジョーの下に近づく。 「これでわかっただろう…」 ジョーの呼吸は荒く、オオトモの言葉を聞く余裕すら なかった。 だが、オオトモは続けた。 「戦いはただ『力』だけで決まる。小さい攻撃をいくら 当てたところで、大きい山を動かす事など適わんのだ…」 無情な言葉だけが、ただそこに響いた。 |