餓狼伝説
〜狙われた狼〜
作者 タイ米
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| 「リリィ!」 「お兄ちゃん!!」 ビリーとリリィが共に駆け出した。 リリィは兄の胸に飛び込み、そして泣きじゃくった。 「本当にどこ行ってたの! 心配したんだから!!」 ビリーもこの時ばかりは、兄の顔に戻っていた。 「…悪かった」 ただ、一言だけ謝ると、リリィの後ろからテリーとホンフゥ が現れた。 「本当にその通りだぜ、ビリー」 「て、てめぇら!」 「全く、そちらの妹さん、あんた探しに一人で危ない通りに まで行くけん。オイラ達がいなかったらどうなってた事か…」 ホンフゥが愚痴をこぼす。 「サッサと病院に戻っとけ。リリィちゃんに心配かけない ように…」 本当なら、この際、自らの獲物と決着をつけたい気分だった が、この状況ではそんな事も出来ないだろう。 それに、やはり体調はベストではない。 「仕方ねぇ。今日は退いておいてやるぜ…」 心なしか、笑みを浮かべるビリー。 だが、すぐに視線をテリーに向ける。 「だが今度会った時は、こういうわけにはいかねぇぞ。首を洗っ て待ってるんだな!」 「ああ。そうさせてもらうぜ…」 帽子を目深に被り直すテリー。 餓狼同士の約束であった。 「それから、テリー」 ジョーがオオトモから奪った青いバッジを渡した。 「ちと、てこずっちまったが、やる事はやっといたぜ」 「ああ。かなり手を焼いたみたいだな…」 「全くだ。ヤキが回ったのか、余計な傷を負っちまったよ。これ じゃこの先は使い物にならねぇな。悔しいけどよ…」 ジョーは本当に悔しそうだった。 「OK。ジョーは傷の手当に専念してくれ。あとは俺達で何とか する」 「悪いな、テリー」 そう言い、ホンフゥの車に乗り込もうとするジョー。 だが、その前にテリーにもう一度顔を向けた。 「テリー…」 「何だ?」 「負けんじゃねえよ!」 テリーはただ無言で親指を上げた。 ジョーもそれに反応し、親指を上げて返した。 「それじゃ、テリーさん。オイラはこの2人を病院に連れてく ばい」 「頼むぜ、ホンフゥ!」 ホンフゥは車に乗り、進路を病院に取った。 「さて、と。後は刺客探しか…」 残るバッジはあと2つ。 その時、妙に知っている気が遠くの方で、一瞬だけ漂った。 「何だ、今のは? …気のせいか」 そう割り切って、再び刺客探しをしようとした瞬間… 「まただ。この邪な気。だが、そんな馬鹿な!?」 テリーは動揺した。 あり得なかった。 この世に存在しない者の気が、はっきりと感じられるなど。 テリーはその気の場所に向かって走り出した。 「何故だ! 何故感じるんだ!? あのギース・ハワードの 気が!!?」 |