餓狼伝説
〜狙われた狼〜

作者 タイ米

29


 翌朝、レイラの言ってる事が本当かを確かめるため、
テリーはホンフゥと共に、ギースタワーへ向かった。
「ここか。どれどれ…」
 テリーが二人を見つけるのに、さして時間はかからな
かった。

 確かに、ビルの外には宙吊りにされてる黒づくめの男達
二人がいた。
「間違いない。しかも宙吊りにされてるのがリッパーと
ホッパーとはな…」
「あの高さじゃ、救い出すのは容易じゃなか。しかも、
あのロープはギースの部屋につながっとる。きっと、
レオンは、あそこにいるばい!」
「やっぱり、助ける為には戦うしかなさそうだな」
「オイラは、二人が落ちてきた時のために、マットを敷く
ばい! テリーさんはレイラっちゅう少女を探すばい!」
「ああ、そうする。そうだ! マリーは?」
 テリーは思い出したように、マリーの容態について尋ねた。
「マリーさんなら無事ばい。順調に回復しとるっちゅう
話っちゃ!」
「実は、マリーから聞かなきゃいけない情報があったん
だが…」
「レオン・バーンズの事か?」
「あ、ああ!」
 ホンフゥの言葉に反応するテリー。
「マリーさんを病院に連れていった刑事が、ちゃんと聞い
てるばい。どうやら、彼女が体に無理して話したらしいっちゃ」
「そうか。できれば、その情報を聴かせてくれないか」
「おお、ええよ…」

「ふぅ…」
 アンディは溜息をついていた。
 大会が始まって、2日目。
 ターゲットでもないのに、彼を狙ってくる輩が後を絶たない。
 テリーを狙う前に、アンディで力試しをしようという魂胆
であったが、テリーと共に、世界でもトップクラスの実力を持つ
彼の前には、全く相手にすらならなかった。
「弱ったな。いつまでもこんな調子では先に進めない。こっちも
レオンの刺客探しをしているというのに…」

 その時、アンディの背後で殺気が感じられた。
「この気、今までのファイター達とは訳が違いそうだな…」
 振り返るアンディ。
 すると、彼の前に一本の扇子が襲い掛かってきた。
「む、飛翔拳!!」
 アンディの掌から放たれた気によって、扇子の勢いは一気に
落ちた。
「この扇子、まさか!?」
 扇子の放たれた先を見る。
 そこには、いつもは彼を慕ってやまない不知火舞の姿があった。
「舞。まさか、お前が!?」
 アンディはいささか、この状況を信じられずにいた。
 舞が自分に敵意を向けるとは思えない。
 しかし、この殺気は紛れもなく、彼女から放たれているもので
あった。
「これは、一体…」
「アンディ、あなたを殺す…」
 心がまるで感じられない舞の言葉に、驚くアンディ。
「待て、舞! 本気か!?」
「行くわよ!」
 アンディの頭がパニックになってるところを突いた舞。
 不知火流の奥義の一つ、必殺忍蜂が襲い掛かる。
「くっ!」
 辛うじて、その攻撃を防ぐアンディ。
 だが、舞の躊躇ない攻撃に、まだ、頭が正常に働いていなかった。
「何故だ。何故だ、舞!?」
 アンディの問いに、舞は答えない。
 その後も、彼女の攻撃は続く。
「龍炎舞!!」
「ぐあっ!」
 不知火の焔が、アンディの体に引火した。
 転がって、火を消す事に務めるアンディ。
 しかし、舞は構わず、転がってるアンディに蹴りで追撃を入れる。
「うおっ!」
 足で体を踏まれ、動きを止められるアンディ。
「どうしたの、アンディ。あなたの力はこんなもの?」
 舞が尋ねる。
 瞳には輝きがない。
 アンディは悟った。
「お前、まさか!?」
「終わりよ…」
 舞の周りが、炎に包まれる。
「陽炎の舞!!」
 巨大な火柱が上がり、アンディは声をあげることすらできず、
その身を焼かれていった。


 
第30話に続く
第28話に続く
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