餓狼伝説
〜狙われた狼〜
作者 タイ米
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| パオパオカフェ2号店。 ボブの怪我は、決して浅いものではなかった。 しかし、幸いな事に、思ったほどの致命傷にまでは 至らなかった。 「どうやら、彼は、相手の能力、雰囲気をコピーする だけで、威力まではコピーし切れなかったようですね」 ボブが、ディンの事で呟く。 先の戦いから、時間が経ったからであろうか、体力も それなりに回復した。 「とりあえず、これであとバッジはあと1個だ!」 テリーが4つのバッジを手に持ち、そう言った瞬間 だった。 もの凄い殺気、そして爆音がどこかで響き渡った。 「!? な、何だこれは?」 「かなり近いですよ!」 その時、2度目の爆音。 それと共に、今度は2人の悲鳴が聞こえた。 両方とも、聞き覚えのある声。 テリーは嫌な予感がして、外に出た。 何者かの攻撃を受けて、吹き飛ばされた2人。 彼らこそ、他ならぬアンディと舞だった。 「アンディ! 舞!!」 アンディは辛うじて意識があるものの、舞は今の攻撃 で、気絶してしまった。 殺気の主がこちらに近づく。 テリーが、その方向を見ると、そこには、完全に今までの 雰囲気と違ったレイラが立っていた。 「始まったか…」 レオンが急に笑みをこぼす。 「アァ!? 何言ってやがる…」 意味のわからない山崎が尋ねる。 「お前が追いかけてるレイラが、遂に本性を現したのさ」 「本性?」 「俺の刺客の中でも、彼女が一番厄介な存在だ。下手を すれば、この街一つ、吹き飛ばしかねない…」 「んだとぉっ!?」 「まあ、お前にとっては関係のない話だがな…」 レオンが構え始める。 「お前はこれから、人生最大最悪の苦痛を味わう事になる。 どうせなら、レイラにやられた方がまだ楽だったぞ」 「自惚れやがって。てめぇ如きにやられる俺だと思って やがんのか!?」 「少なくとも、俺はそう見てるぜ?」 「馬鹿が。後悔させてやんぜ!」 山崎も構える。 刹那、山崎の右拳が信じられない速さで、レオンに襲い かかってきた。 攻撃は、顔面に見事にクリーンヒットした。 しかし、それでも怯まず、レオンは山崎に近づいた。 「ケッ! 馬鹿だよ、てめぇは!!」 その後も、山崎の攻撃は、レオンの体にダメージを与え 続ける。 傷だらけのレオンに、かすり傷一つついてない山崎。 状況は一目瞭然だった。 「チッ、くだらねぇ! 大口叩いてた割にはその程度か!?」 この戦いを終結に導くべく、山崎は強烈なアッパーで、 レオンの体を打ち上げた。 「オギャァァァァァァーーーーッッッ!!」 この雄叫びは山崎の最高の技、ドリルが来る事を示して いた。 「ヒャーッハッハッハッハッ!!」 連続で放たれる蛇使いが、容赦なくレオンの体に新たな傷を 刻む。 「いっぺん死んでこーーーいッッ!!」 ポケットに封印されてた左手の一撃が、レオンを遠くにまで 吹き飛ばした…かに思えた。 「!?」 しかし、レオンは倒れなかった。 しかも、左手の一撃を受けても、実際は吹き飛びすらしな かった。 レオンは下を向き、荒い息を整えている。 「俺の技を、耐え抜きやがった…だと!?」 あのテリーですら、ドリルの前にはダウンを余儀なくされた。 だが、レオンはダウンもせずに、耐え抜いた。 「これで、終わりか…?」 レオンの周りから、どんどんと殺気が噴き出してくる。 「てめぇ…」 「…じゃ、俺の番だな!」 レオンがこちらに顔を向ける。 彼の眼光が、山崎を鋭く射抜いた。 「見えるか、リッパー?」 「ああ。あの女が暴れてる。オーラがこちらにまではっきりと 見えてる」 未だ、ビルに宙吊りにされてるリッパーとホッパーが会話 していた。 レイラの放つオーラが、また一段と強くなった。 それと共に、彼らの命綱であるロープの耐久力がまた弱く なる。 「くそっ! あいつ、こちらの気を抜いてやがるな!」 またしても、レイラのオーラが強くなる。 この気の膨れ上がり方は尋常じゃない。 「まさか、あいつ、俺達の事を忘れかけてるんじゃないだろうな?」 ホッパーが最悪の予想をし始める。 「あの女の殺気がまた強くなった。悪いが、この分じゃ、俺達の 事を考えてる余裕はないんじゃないか?」 リッパーが、何とか心を平静に保ちながら、今のレイラの状況を 推察する。 またしても、ロープが切れかかった。 もはや、彼らが落ちるのは時間の問題だ。 ホッパーが下を見る。 そこには、ホンフゥ達が用意したマットがあった。 「落ちるか?」 「助かる可能性は、あそこしかないだろう!」 その時、彼らの後ろで凄まじい爆音が響いた。 それと共に、ガラスが割れる音、さらにはロープの切れる音 まで、はっきりと聞こえた。 宙吊りの状態から解放され、マットに落ちていくリッパーと ホッパー。 だが、落ちているのは二人だけではなかった。 今の爆発に巻き込まれた山崎も、タワーから投げ出されて しまったのだった。 3人が落ちていく様を見るレオン。 どうやら、マットによって、一命は取り留めたようだった。 だが、レオンにとっては、彼らの生死など、どうでもいい。 これで、邪魔者は消え失せた。 「後は、テリー・ボガード。お前が来るだけだ。お前がな…」 未だに闘気が溢れだした状態のままで、レオンが呟いた。 |