餓狼伝説
〜狙われた狼〜
作者 タイ米
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| テリー達の前に姿を現したレイラ。 彼女の周りで噴き出している禍々しいオーラは、時が 経つにつれて、だんだんと量が増していく。 「冗談じゃねぇぜ。こちらが気圧されるなんて…。なんて 気を持ってやがんだ!」 テリーが呟く。 レイラの胸には、相変わらず、桃色のバッジがついている。 彼女を食い止めなければ、レオンと戦う事ができない。 「ククッ。テリー・ボガード。その命、私がいただくわ…」 レイラが言葉を発する。 今の彼女は、魔女と言っていい雰囲気だった。 「面白い! 受けて立つぜ!!」 テリーが構えようとしたその時だった。 「待ってくれ、兄さん。彼女の相手は、僕が引き受ける!」 声を発したのは、起き上がったアンディだった。 「アンディ! しかし、その傷じゃ…」 「彼女には、舞が酷い目に遭わされている。このままで済ます わけにはいかない!」 アンディの目はまだ、死んではいなかった。 少しの間、考えたテリーは、ある決断をした。 「よし、わかった。ただし、必ず勝つんだぜ!」 「ああ!」 テリーは、アンディに戦いの場を譲り、倒れている舞を抱き 抱え、ロック達の方に戻った。 「フフフ。己の力量もわからないとは、哀れだな」 レイラが不敵に笑い出した。 「そうかな。僕には、君の方がよっぽど哀れなようにしか思え ないが…」 アンディが、いつになく強気な発言をした。 彼は怒っていたのだ。 舞を、彼女の操り人形にした事を…。 「今から僕は、不知火流の全奥義を持って、君と対峙する。 したがって、命の保証までは…」 アンディが構え、瞬時にレイラとの差を詰めた。 「…できかねないよ!!」 レイラの胴部分に、アンディの肘が突き刺さる。 斬影拳。 この技のスピードを見切る事は、テリーを持ってしても難しい。 そして、アンディはさらに裏拳の追撃まで入れた。 吹き飛ばされるレイラ。 アンディはお構いなしに、彼女の元に駆け寄る。 「フフ、どこを見ている?」 突然、アンディの背後で声がした。 振り返るアンディ。 そこには、先程、裏拳で吹き飛ばされたはずのレイラがいた。 「変わり身…か」 アンディが呟いた。 「馬鹿め! 気付くのが遅すぎる!!」 レイラの手のひらには、大きな気弾が浮かんでいた。 「死ねっ! アンディ・ボガード!!」 レイラが、腕を振り下ろす。 アンディは、後ろに退いたが、地面に着弾した瞬間、大きな爆風 が、彼を飲み込んでいった。 「アンディ!!」 テリーが叫んだ。 「フハハ! 愚かな!! 跡形もなく消え去ったわ!!」 レイラが大きく笑い出す。 その時、彼女の横で、気が感じられた。 「何!?」 「幻影不知火!!」 跡形もなく消えたはずのアンディが、レイラに攻撃を仕掛けた。 反応しきれなかったレイラは、それをまともに喰らう。 「馬鹿な!!」 「言ったはずだよ。不知火流の全奥義を持って君と対峙する、と」 「クッ…」 「行くぞ!!」 気に乗じたアンディは、その後も猛攻をかけた。 防戦一方になるレイラ。 「フフフ、まさか貴様がここまでやるとはな。正直、これほどの 強敵はレオン様以来だったぞ…」 「レオン…だと?」 レイラの発した、意味のわからぬ言葉に、一瞬、隙を見せて しまったアンディ。 もちろん、レイラはそれを逃さなかった。 「もらった!!」 両手から放たれたビーム砲は、アンディに多大なダメージを 与えた。 「ぐはっ!!」 すかさず、今度は上空から現われ、アンディの腹部に急降下 して着地する。 「うあぁっ!!」 アンディの悲鳴がこだまする。 今の攻撃で、骨の2〜3本は砕けたようだ。 再び、レイラが手のひらに大きい気の玉を浮かばせる。 「さあ。この状態では逃げる事などできまい…」 アンディは、荒い息の中、ようやく片目を開ける事ができた。 「もはや、貴様の命は、私の手の中だ。だが、このまま殺すのも 芸がない。そこで、今一度、貴様に選択肢を与えてやる…」 「…!?」 「選ぶ道は二つに一つ。このまま私の手によって、木っ端微塵に なるか、私の下僕となり、一生の忠誠を誓うかだ」 「な、にっ…!!?」 「さあ、考える時間は5秒だ。早く選ばなければ、この気の玉が 貴様の命を奪う事になるぞ!」 レイラが、アンディの選択を強要する。 だが、彼の中では既に、考えは決まっていた。 「ふざ…けるな! 誰が、お前なんかに…」 「フッ。あくまでつまらん意地を張るつもりか。ならば、それを 抱いたまま、地獄に落ちるがいい!!」 レイラが腕を振り下ろす。 「アンディッッ!!」 弟の名を呼ぶテリーの叫びが、辺り一帯に響き渡った。 |