『光に浮かぶ翼』

第3夜「PHOBOS〜フォボス」


「どうしてこの機械がここにあるの…?」
心底から驚いていた。
驚くしかなかった。
金色の巨大な砲筒、糸目、変形自在そうな体。
バラバラに壊れてはいたが、間違いなくフォボスだった。
「どうして…フォボスがここにあるの?」
リリスの体はその人形に恐怖を感じて後ずさっていた。

ボクは…ここに呼ばれたのかな…
ボクは…ここでどうするのかな…
ボクは…この人形と………………


   『砲撃開始』


(えっ!?)
悪い予感は不幸にも現実のものとなり、
彼女を再び闘いの場に戻す。
フォボスが再生をした。
そして。
『ターゲット確認:………攻撃開始!!』
リリスに向かって攻撃を開始した。
最初は「ファイナルガーディアン」。
「うわあっ!!」
一点集中砲撃をリリスはなんとか避ける。
しかし、リリスは避けても。
「………!草が……!」
後ろを振り替えると、さっきのファイナルガーディアンの
余波で草が燃え始めていた。
            ☆
燃える草。草原。大地。
それは地球の…
大好きなトコロの嘆き、悲しみ…
「……あ……あ……」
リリスの表情が、燃えるばしょを捉えて霞んでゆく。
だが、そんな悲しみだけで、フォボスが止まる筈はない。
『ターゲット・デストロイ』
フォボスの目から、リリスめがけビームが発射される。
羽根を大きく広げ、高くジャンプして
ビームをかわすリリス。
それでも、フォボスの頭はビームごと回転して
リリスを追う。
(!!)
今度は横に体をひねってビームをかわす。
しかし、
「うっ……!」
避けることはできないかった。
右の腕から間接までの肉を切られるようにビームの
熱を受け、痛みで空から下に墜落する。
しかし、彼女はこんなことで負けられない。
「まだ…負けられない!負けたくない!」
すぐさま立ちあがる。
フォボスが早くにリリスに向かってくる。
そこにリリスがカウンターで、無傷の左手から
ソウルフラッシュをくりだす。
光のコウモリは、フォボスの顔に向かい、爆発を起こす。
…それだけだが。いや。顔のメッキははがれた。
それでもフォボスは何もなかったようにリリスに向かう。
腕からは刃が出ている。
リリスもその動きをみると、拳を握ってフォボスに
向かって走る。
そして、お互い擦れ違う寸前で。
『デストロイ』
「はぁぁぁぁ……っ……やぁっ!!」
攻撃しあう。

静寂がきた。
風が消える。
あの火も消えた。
「…うっ……く…」
倒れたのはリリスのほう。
右の脇腹を押さえてうつぶせに倒れこむ。
(そんな……)
自分は、あの時と違い、何もできなくなったのか。
いや。
ガタン。という音がした。
見ると、フォボスが足のバランスを崩している。
それに、顔に深い傷が。
『タ・ターゲット・デ・デ…』
フォボスの目から光が消えた。
(よかった…)
リリスは深い息をついた。
(さっきの攻撃が…候を奏した…のかな…?)
さっきのソウルフラッシュをフォボスの顔面に当てた
理由は、フォボスの顔面の耐久力を下げるためだったのだ。
リリスのさっきの『そんな…』は、フォボス自身を
倒すことができなかったことからきたのではなく、
顔面のソウルフラッシュは無意味に終わっていたのかと
思ったからだ(結果は予想以上のようだが)
ゆっくりと立ち上がると、一伸びをして呟く。
「ん〜っ、これで光の理由も絶たれたし、
あとはこれをなんとかしてイギリスに帰ろ。
でも、ケガ、その前に直したほうがいいかな…」
そんな事を言って、彼女はそこに
バッタリと仰向けに寝転がった。

そのきり立った崖の上。
「もういいな…ナイトメア(悪夢)のスタートも」
奴が笑みを浮かべている。


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