『光に浮かぶ翼』
フォボスを倒して少し時間が流れた。
「朝日が綺麗だなぁ」
リリスはまだ、あの場所から仰向けでねそべったまま、
ごろんと動かないでいた。
日の光が心地よかったのだろう。
「…ボク、もうさすがにイギリスにかえったほうが
いいかな」
もう右半身のいろいろな箇所の傷は回復しかかっていた。
少し笑みをこぼしながら、そう言って
起きあがってきびすを返す。
すると。
『その必要はないぞ』
「…っ……今……」
リリスにも、声と飛んできたもの……『光弾』が
はっきりと捕らえられた。
しかも、確実に怪我してた右の脇腹を捕らえた。
再び、リリスは膝を崩すことになる。
「……誰!!」
それは悪夢。
違う。
哀しいことに…
第4夜「BAD DESTINY〜地獄に匹敵するサダメ」
現実だ。
「成程…アメリカンに続いて今度の弱者は光の運命…
とでも言っておこうか」
リリスのもとに歩いてくる一人の男。
「……誰なの!!」
左手で倒れそうな体を支えて、相手を睨むリリス。
もっとも、今ここにきたこの男…『ザルゴス』には、
そんなことは通用しないだろうが。
「まあ落ち着くんだな。犬みたく吠えると…」
ザルゴスはわざわざリリスの前に歩いていき、
地面に片膝をつくと、鬼にも似た形相でリリスを
睨み返した。
「……殺すぞ……ククッ……」
リリスはその表情を人目みるだけで、
背筋が凍る思いがした。
強力すぎる。
悪魔にも似たあの目。
(……あ…っ………)
何か恐さが彼女を襲い、動くこともままならない。
「どうした?動けないのか…?」
恐怖にたたずむ彼女の前でザルゴスは立ちあがると、
「ならば動かしてやる…」
そんな台詞を一言言うと、姿勢が崩れたままのリリスを
遠くにおもいきり蹴飛ばした。
「きゃあああああっ!!」
後ろにあった巨大な岩壁、いや、岩棚に背中を打ちつけて
崩れおちるリリス。
そして、今、ピシッ、ミシッ、という、亀裂が
岩棚に入った。
「……っ……うぐっ……」
眼がかすみかけたが、まだ大丈夫。
足が折れそうになったが、大丈夫。
フラフラしつつもリリスはゆっくりと、自分を
震いたたせるかのように立ちあがる。
「ふん…最初のテストは合格だな。
ならば。これは耐えられるか」
腕を組んでいたザルゴスは、腕をほどき、その片腕を
天にかざして目を閉じ、声を出し始めた。
『我ハヨブ止マシのツクヨミ
我ハトナエル死ノコドフ
イマココニシトハカイノネンヲモチ
ニンギョウヨヨミガエレ』
空が暗くなり、草や花が輝きを失う。
見ているだけでもそれは手にとるようにわかった。
「何したの!?」
「あれを見ろ」
ザルゴスに言われるとおり、リリスがあちらのほうを
見ると。
「………そんな!!」
倒した者は再生し、大きくなる。
大きくなっていく。
それも、今までの人間大の何十倍に。
「さあ、この『巨大フォボス』で、泣け!喚くのだ!」
第5夜を迎える
第3夜を振り返る
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