『光に浮かぶ翼』
第5夜「ARROW〜運命の矢を放て」
「きゃあああああーーっ!!」
その声は痛みを象徴する声。
そして、あの男の心を奮い立たせる声…
「ふふふ……どうだ?その痛み、苦しみ、嘆き、悲しみ!
地獄というもの、味わうのだ!!」
空に昇り、『苦しむ』という光景を奴は…
愉しむ。
☆
「うぐ……っう…」
体のあちこちに傷がつき、今は膝で立っていたリリス。
その前に、奴が大きすぎる。
大きさも強さもなにもかも。
『ミッション』
砲撃を遠慮なしにかます巨大フォボス。
悪魔がついたような砲撃手段は、標的のリリスを確実に
とらえ、しかもこの島を焼いている。
リリスも攻撃はしていたのだが、第一、大きさが
蟻と人なみに違う巨大フォボスの前では、
攻撃が攻撃になっておらず、逆に退治されてしまうのだ。
「ボクは……ボクは…」
叶わないという悔しさから涙がでそうになったが、
そこをこらえ、
「ボクは、負けないから!!」
羽根を再び広げて立ち上がり、飛びあがった。
『デストロイ』
それに魅せられるかのごとく、フォボスの目から
レーザーが発射される。
もちろん、普通のフォボスとは違う。
太い、長いレーザー砲が。
このままではリリスに当たる。
「壊させない!」
が、リリスは避けようとはしなかった。
このままでは自分に当たらなくても、世界のどこか、
宇宙のなにかに当たり、それが壊れ、無くなりそうな
気がしたからだ。
レーザーを見るや手を広げ、その両手に魔力の光を
集めだす。
その光は片手に弓、片手に矢となってリリスの前に
あらわれた。
それを構え、自分に向かってくるレーザーに向かって
弓をひく。
「疾風のロビンよ、運命を切り開け!!」
リリスのもとから矢が放たれた。
光が尾をひき、大きさもフォボスのレーザーに
見劣りしない。
ぶつかりあう光。
「ほう。『運命の矢』を使うか。しかし…」
「それでこのフォボスに勝てるなどという、
浅はかな考えはよすんだな」
「……ボクの矢が……」
それは幻ではない。
奴に起きた奇跡でもない。
現実だ。
リリスの矢は、フォボスのビーム砲で消えた。
彼女のしたことは意味がなくなった。
そして、リリスの矢を消したビームが、本来の的、
リリスを狙う。
「……こんな…ことって……」
あとにのこるはリリスのいたみ。
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