『光に浮かぶ翼』

第6夜「BELIEVE〜ボクの、心」


少女は痛みを伴うものに。
人形はそれをまっすぐ殺すものに。
男は見届けて笑うものに。
            ☆
(体がうごかないよ…)
リリスは地面に顔を向けて倒れていた。
地の緑が赤で覆われてきていている。
さきほどの巨大な機械のレーザーは、身体、心、
そして…弓をも傷つけた。
さらに今、リリスの右腕は、さっきのレーザーの
衝撃で血が溢れ、骨が砕けていた。
「ボクには…もう…えっ……っぐっ……」
頼みの綱の金の矢も巨大フォボスには通じない。
もう、矢をつくるだけの力も残っていない。
痛み、悲しみ、悔しさ。

全てが混じったような声で泣こうとしていた。
『デストロイ』
だが、そんな暇を運命は与えてくれなかった。
巨大フォボスの足が、リリスを押し潰そうとしている。
「……!!」
影が自分の足となってそれを踏むところで、リリスは
その影を転がって避ける。
機械の足は轟音を立てて地面についた。

「うぅっ…ボク、もうダメなのかなぁ…」
きしむ体を大の字にして、彼女は呟く。
「カラダもボロボロ…矢も折れちゃった…
うぐぅ…どうすればいいんだよぉ…」
草が赤く染まっていく。
血がとまらない。
もう、彼女は…

「……うん?なんだろ?」
リリスの顔になにかのカケラが落ちてきた。
肌を跳ねて落ちたカケラ。その上をみやると、そこは…
「ボクが背中をぶつけた岩棚…かな」
知らないうちにそこまできていた。
さっき、リリスが勢いよく背中をぶつけた、
この島が一望できるほどに高い岩壁。
「………」
目を閉じて考える。
「…これなら…あれを倒せるかも…
ボクのカラダ…お願い…もう一度動いて!!」
自分を励まして、もう一度、残った力をふりしぼり
体を立ちあがらせる。
「いくよっ…フォボス!!」
そして、フォボスの顔にまで一気に飛びあがった。
『ターゲット・デストロイ』
            ☆
(右手は使えないけど…)
完全に砕けた右手は動くことすらままならない。
なら、左手に力を溜める。
「ソウル……」
それを放つ……前に。
『デッド・ターゲット・オブ・ミッション』
フォボスもレーザーのほうが先に放たれる。
(待っていた!!)
溜めていた魔力をもどし、横に体をひねってレーザーを
避ける。
リリスのもとを外れたレーザーは、彼女の後ろにある
ものにあたる。
(成功!)
岩壁だ。
ただ、そのレーザー1発では、岩壁は傷はついても
壊れない。
(……ボクの、願いは!!)
岩壁をみると、何を思ったかリリスはそこに突撃していく。
フォボスはレーザーでリリスを追う。
それもなんとかかわしていくリリス。
そしてそれは、岩壁にどろみができ、崩れを催す
最悪の結果となった。
だが…
「この島よ……ごめんなさい!!」
それがリリスの狙いだ。
こわれものの上にあがり、崩れかけた岩にむかい、
最後のソウルフラッシュ。

岩壁が岩になる。
島が揺れる。
そして……それが人形を飲み込む。
『タ・タタタTATATA……………』
悲痛な鳴き声をあげて、殺人の機械は岩の中に。
            ☆
「うっ……うぐ……うう……ハァ……ハア…………」
その荒い息づかいの後、リリスは飛んでいた空から
地面にふらっと落ちていった。

「……勝った……よ…ボク……勝ったよね……」
地に落ちて、目も開かないまま、粗暴な息づかいでそんな
言葉を吐いた。
「フッ……そうだったら……よかったがな」
(えっ……うあああっっ!!)
不意に首をつかまれる感触。



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