『光に浮かぶ翼』
第7夜「Re〜諦めない」
「………く……ああ……っ」
片手が、細い、白い首を締めあげている。
もがいても、これをとることはできない。
恐ろしい握力だ。
「気分がいいだろ?」
その苦しむ様子を悦に入りながら、その男は彼女の
首を容赦なく締めてゆく。
「う…気分よくなんて……ない……」
苦しみながらに訴える声。
「そうだろうな」
そいつ、ザルゴスはその答えを待っていたのか。
声を聞くや、掴んでいた『遊び道具』に火をつけ、
放り捨てた。
「…………う」
巨大フォボスと闘ったときについた傷、
それが直っていない時に相手を傷つけてくる男。
部下の犠牲を払って相手を倒そうとするところは、
ある意味の策士そのものだ。
さらに。
「今、声を出したな?」
「……え」
痛みでかすかに漏れた小さな声を聞き入れていたようだ。
「声を出したな、と言ったんだ。
…クク、まだ元気なようだな!」
それがザルゴス流の元気かどうかの確認。
いや、死んでなければ、嘆きの声さえ聞ければいい。
リリスの顔の前までくると、右胸骨の辺りをガッ、と
踏みつける。
「…………!!!」
骨が粉砕される感触。
内臓もどうなったかわからない。
口元がガクガクしてきた。
心の中は、この気持ちで充たされていく。
痛い、辛い、泣きたい、
そして、死にたくない。
「どうした?そんなものか?お前を殺して価値が
出ると思った私の勘違いだな」
気持ちの悪いものを避けるごとく、ザルゴスはリリスの
髪をつかんで、自分と相手の目を向きあわせた。
(そんな…もの…?それに殺すって…
ボクと君が…殺し合うの?)
違う。
ボクはそういうことで闘ってるんじゃない。
闘ってたんじゃない。
今までも、これからも。
みんな生きとしいけるものが自由に生きれるトコロが
欲しいから……!
光を失っていたリリスの目に、赤い光が戻った。
(そんな殺しあうなんてこと…絶対に…!)
心をバネにして再び立ちあがった。
そして手をザルゴスに向ける。
「命の生まれない闘い、悲しみの生まれる闘いなんて…
嫌だ!!」
心が彼女を支えている。
この星の命が、この地球の生命が、
彼女に…力を。
「まだ立ち上がれたか…愚かな」
ボロボロの、でも立とうとするリリスを見て、
奴は口を緩ませる。
「………」
あの言葉はリリスの耳には入っていた。うつむいていた
リリスだが、顔を起こす。
「……それでも、ボクは君を…なんとかしてみせる!」
リリスはザルゴスに向かっていった。
「…面白い!!」
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第6夜を振り返る
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